どんどん小さくなる時間 アト秒
今年のノーベル物理学賞は、”アト秒パルスレーザーの実現”に関係する研究が受賞する。アト秒というのは、100京分の1秒(0.000000000000000001 秒)という短い時間です。今回の物理学賞は、ほんの一瞬だけ光るレーザーをストロボのように使い、電子の動きを観測する技術に対して賞が贈られました。
これまで、一瞬だけ光るレーザーでは、1999年にフェムト秒(1000兆分の1秒)パルスレーザーの実現にノーベル化学賞が贈られたことがありました。この技術により、原子の動きを観察して制御できるようになりました。しかし、固体や液体中では量子の波の性質は一般的に約10フェムト秒で壊れてしまい、電子の観測は困難でした。今回の受賞は、フェムト秒よりさらに短い時間”アト秒”での業績です。
原子はアトム(atom)と言いますが、atomはa+tomで、aは否定の接頭辞、tomは断面/分割を意味していて、”これ以上分割できないもの”を表します。時間の単位は歴史とともに、どんどん細分化されていきました。大昔は年や月単位、細かくても日単位の時間があれば生活には支障がありませんでした。しかし文明が発達するに伴って、一日を区切る必要は生じました。その時に出てきたのが、hour(1時間)と言う時間の単位です。これは1日を24等分した時間の単位です。
さらにhourは細かい時間単位であるminute(分)に分割されました。minuteの元々の意味は、ミニ(mini)からも類推できるように、”細かく(小さなパーツに)分割する”と言う意味があります。minute(分)は、”時間の60分の1または円の1度”=”pars minuta prima”という意味で、14世紀後半に使用された言葉です。これは、”最初の小さな部分”を意味します。
最初の分割=”prima minuta”をさらに分割する必要が出てきました。そこで考え出されたのが、二番目の分割=”secunda minuta”です。この二番目のと言う部分がsecondとして定着しました。現在は、ミリ秒、マイクロ秒、ナノ秒、フェムト秒に続き、アト秒まで時間が細分化されました。
この先、時間の分割はどこまで行くのでしょうか?。