「短い日本語=身近なモノ」仮説
世界史などを勉強すると、語族という枠組みが出てきます。これはもとは同じ言語だったものが、変化して分かれたものを、元々の言語(祖語)で分類する方法です。例えば、英語・フランス語・ドイツ語はインド=ヨーロッパ語族と呼ばれる語族になります。これは、インドからヨーロッパで話されていたであろう祖語から分かれた言語が所属します。
では、日本語は何語族に属するのでしょうか。結論から言うと、不明です。語族だと判断するには、1)文法が似ていること、2)日常的な言葉が似ていること、3)発音が似ていること、が必要です。しかし、言葉というのはたくさんあるので、一つや二つぐらい偶然似ていることもあり得ます。似ていることを示すためには、十分な数の単語の一致が必要です。
日本語には、いまだにそれらの基準を満たすだけの「似ている言語」が見つかっておらず、どの語族に属するか不明なので、日本語は「孤立した言語」と呼ばれています。ただし、沖縄の琉球語(琉球方言)は日本語と密接な関係があると考えられています。日本語学者・大野晋さんは、日本語の起源を南インドのドラビダ語だという仮説を立てて検証しています。しかし、まだ多くの人には受け入れられていません。
日本語の起源がこんなに謎に包まれているのかというのは、ユーラシア大陸の東端にある日本の位置が関係していそうです。日本語の起源を探るには、日本人の起源自体を探る必要があります。現在、考古学的や遺伝生物学の研究から、日本人の起源が少しずつ明らかになりつつあります。私も邪馬台国にはまっているので、日本人や日本語の起源にはとても興味があります。
日本語の起源には関係ないかもしれませんが、私には日本語についての仮説があります。それは、タイトルにも書いた「短い日本語=身近なモノ」仮説です。このままでは、何のことかわからないと思いますので、例を示します。
日本語には、1音節の単語が結構あります。例えば、吾(あ)、猪(い)、兎(う)、絵(え)、尾(お)、蚊(か)、木(き)・・・。言語の発達段階で、いきなり複雑な音の組み合わせが発生することは考え難いので、最初は身近なモノに単純な音を割り当てていたことが想像できます。体の一部である目(め)や歯(は)や手(て)がその例です。しかし1音節で区別ができる数は限られているので、段々と今のような複雑な音の組み合わせになって行ったのだろうと想像できます。
古文で出てくる翁(おきな)や媼(おみな)は、「お+き+な」や「お+み+な」に分解できます。おは、尊敬や年配の人を表わす接頭語、き(男)とみ(女)は性別で、な(大人)は成人を表わします。つまり、翁は老人、媼は老女を表わすことになります。
日本語の起源を探るには、このような1音節の言葉(単語)に着目すべきだと、生意気にも考えています。ひょっとすると、既にこんな理論や仮説があるの?。