日本経済は過去30年間にわたって低迷しています。OECDのデータで1990~2020年までの賃金の推移を見てみると、米国の賃金は148%、OECD全体では133%と上昇していますが、日本はわずか107%で、30年間で7%しか増えていません。これほど長期間にわたり労働者の賃金が縮小し、成長が横ばいな先進国は日本だけのようです。
日本の賃金は横ばいですが、これまでは物価も横ばいだったので、大きな問題はありませんでしたが、これからはそうはいきません。〇シアのウク〇イナ侵攻などもあって、世界中で様々な物資が不足し、価格が高騰しています。その影響を受けるのは、日本も例外ではありません。身近なものでは、石油・天然ガスなどのエネルギーや、小麦などの穀物の値上がりです。
若者にも貧困の影響が出ています。少し前のデータですが、世帯人員1人あたりの平均所得金額は、29歳以下が177.8万円、30歳から39歳までが174.8万円で、世代別では30代が最低値になっています。この原因の一つが非正規雇用の増加です。今では3人に1人が非正規雇用者といわれていて、その数は100万人〜270万人と推計されています。
非正規雇用でも、働いて給料をもらい、きちんと税金を納めているので、何ら問題はありません。しかし、引きこもりのように無職の人が増えれば、平均所得は減ってしまいます。現在、国内の引きこもり数は遂に100万人を突破したと推計されています。アンケートを基にした推計では、40歳~64歳までの引きこもりは約61万人、40歳以下については約51万人となりました。つまりこの合計の約112万人が、引きこもり人口と推計されます。
日本の人口は減少していますが、それとは反対に引きこもり人口は増加しています。特に30代以上の引きこもりは、2000年と比べて1.5倍以上に増加し、さらには引きこもりの高齢化も進行しています。若年層の引きこもりは大きな問題ですが、中高年になって引きこもり状態になる人もいて、80代の親が50代の子供の暮らしを経済的に支える8050問題も浮上しています。
若年層も中高年も貧困の危機にさらされています。気付かない間に、じわじわと貧困が忍び寄っています。将来の不安を煽る気はありませんが、”どうする日本”、と一抹の不安を感じてしまいます。
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