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英語が聞き取れない理由 音節とモーラ

 中学と高校で6年間も英語を習ったのに、英語が話せるようにはなりません。これは、大学受験を意識した文法中心の英語教育にも問題がありますが、最も問題なのは、やはり日本語と英語の”音の塊”の違いです。

 英語の音の基本は”音節”で、音節は”子音+母音+子音”で構成されます。また子音は単独ではなく、いくつかの子音を一緒に使うこともできます。それに対して、日本語は、基本の5母音以外は”子音+母音”が必ずペアで使われます。また、きゃ・きゅ・きょのような拗音以外は子音が重なることはありません。この子音と母音のペアが、モーラ()の基本単位です。

 力を表す英単語stlengthは、stl+e+ngthと子音(群)+母音+子音(群)に分解できますが、この8文字で1音節です。発音するときは、どこも区切らずに、一気に発声します。これを無理やり日本語的に発音すると、-----となり、6モーラになります。英語と日本語の発音には、音の基本単位にこんなに大きな違いがあります。よく、日本人はLとRの区別が曖昧だとか、THの発音が苦手だとか言われますが、”音の基本単位”の違いに比べれば、ほんの些細なことです。

 たぶん日本語脳では、母音の後の子音を、前の音との続きでは無く、次の新しい音の始まりと判断しているのだと考えられます。例えば、This is a pen. は4音節ですが、ディ-ス-イ-ズ-ア-ペ-ンとなり7モーラの音になります。こんな短い文章でも音の単位が約2倍なので、文章が長くなれば音の基本単位数の差がどんどん広がって行きます。日本語は、英語に比べて音の基本単位(モーラ)が極端に多い言語のようです。

 韓国語の発音も基本は子音+母音ですが、日本語にはないパッチムと呼ばれる子音+母音+子音の発音があります。ハングル文字は、このパッチムにも対応して作られているので、英語を無理やりハングル表記しても、読むだけで英語っぽく聞こえるようです。日本語には子音で終わる発音が無いので、どうしても英語と大きく違う発音になってしまいます。私が良く注意された-ingの発音も、~イングではなく、~イン(グ)です。この発音も韓国語なら普通の出来ます。

 モスラではなく、モーラの呪縛から逃れるためには、子音+母音+子音の音節を意識して、ひたすら練習するしかありません。最初は下手でもいいので、何度も口に出して繰り返していると、脳の回路がつながっていきます。そうすると、気付いた時には英語耳になっているはずです。

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