地球はレモンかオレンジか?
17世紀の後半、フランスの天文学者リシェは、フランスのパリで調整した振り子時計が南米のギアナでは、1日に約2分30秒遅れることに気付きました。
振り子は重力によって振動していることが知られていて、重力が小さいほど振り子の周期が遅くなることが分かっていました。そこで、ニュートンは振り子の遅れの原因として、地球の形は遠心力によって赤道方向が膨らんだオレンジ型になっていると考えました。これに対して、パリ天文台のカッシーニなどは地球は極方向に膨らんでいるレモン型と考えました。そこでフランス学士院は、スカンジナビア半島のラップランドと南米エクアドルに調査団を派遣し、緯度差1度に対する子午線長を比較する測定を実施しました。因みにこのときの南米派遣団の団長が、重力異常にその名を冠しているブーゲーです。
その測量結果は、緯度差1度の長さはラップランドで111,992 m、エクアドルで110,657 mとなり、極付近の方が緯度1度に対する弧が長いことが証明されました。ニュートンのオレンジ型説が正しかったのです。地球の大きさは、赤道半径が6,378 km、極半径が6,357 kmであり、扁平率は1/298です。このように、地球は地球楕円体と呼ばれる回転楕円体で、その形を近似できます。
しかし、正確には細かく複雑に歪んだ西洋梨型をしています。このことは、古在由秀さんがNASAの人工衛星の軌道の変動から発見しました。日本の基準である地球楕円体モデルGRS80の楕円体面を基準にすると、最大で約85 mの突出と約105 mの凹みを持っています。
ただし、この凹凸は地球の大きさに比べたら僅かなので、ほぼ球と考えても差し支えありません。