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最近よく見ている動画が、様々な理由で放置された土地・建物などを巡る”廃墟の旅”です。かつては栄えていた場所が、現在は過疎や無人の地になっています。栄枯盛衰・諸行無常を感じさせる動画は、ワクワク感はありませんが、何か心に刺さるものがあります。

現在の日本は高齢化が進み、限界集落と呼ばれる地域も数多く存在します。また、その地域の主要産業の衰退や社会構造の変化などによって、繁栄⇒廃墟/過疎になった例も少なくありません。

通称・軍艦島と呼ばれている端島はしまは、長崎県長崎市(旧:西彼杵郡高島町)にあります。この島は、明治から昭和にかけて海底炭鉱によって栄え、日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅も建造されるなど、1960年代には東京以上の人口密度を有していました。しかし、1974年の閉山にともない、島民が島を離れてからは無人島になっています。

軍艦島とほぼ同時期に栄えていた場所に、松尾鉱山があります。松尾鉱山は、19世紀末から1969年まで岩手県岩手郡松尾村(現・八幡平市)に存在した鉱山です。主な産出鉱物は硫黄で、黄鉄鉱も産していました。一時は日本の硫黄生産の30%、黄鉄鉱の15%を占め、東洋一の産出量を誇りました。最盛期の1960年には、この地域の人口が1万3594人に達しました。

しかし、高度成長期になると硫黄の需要減や輸入の増加で採算が悪化し、閉山しました。閉山後は鉱山は放棄されましたが、鉱山労働者が住んでいた鉄筋アパート群が廃墟となって現存しています。西の軍艦島、東の松尾鉱山は、日本廃墟界の二大横綱です。

どちらの廃墟にも言えることですが、繁栄が未来永劫続くわけではありません。しかし、両者の過去の繁栄が、現在の日本を築き上げたことは間違いのない事実です。

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