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「着る」をかんがえてみよう
コンセプトのある旅動画を投稿してくださっているBappa Shotaさんが、バングラデシュからの映像を公開しました!
これまでも「船の墓場」と言われる海岸沿いの町や、首都ダッカのスラムなども紹介してくださっていましたが、今回は、ファッションに焦点を当て、昨今、輸出量もどんどん増え続けているバングラデシュの縫製工場やバングラデシュの人々の暮らしを取材してくださいました。
動画のなかに登場する縫製工場は、取材OKを出しただけあり、非常に明るくて、きれいで、良い環境ですが、
私の義兄がお店を出しているビルの中で見た縫製工場は、もっと狭く、暗く、製造環境も機材もよくないところでした。
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写真を探したのですが、義兄のお店やその周辺は、いつもごちゃごちゃしているため、写真がありませんでした(汗)
上&下の写真は、同じビルの中に入っている、甥っ子の卸売り店の一部。
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甥っ子が見せてくれた中には、日本語のタグがついたものもいくつか見られ、それは私も知っているし買ったことのある会社のものでした。。。
義兄がお店を営んでいるのは、首都ダッカから南にバスで約1時間のNarayongonj(ナラヨンゴンジ)
ダッカほどの大都会ではないものの、バングラデシュ国内では、比較的、栄えている大き目の町。
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首都ダッカと農村部の間ということもあり、ダッカほどの喧騒や汚染もなく、それなりに大きくてきれいな商業施設などもでき始めている町で、
夫が10年以上前に購入した家も、このエリアにありました(昨年、無事に売却して、今は夫の田舎に家を建てています)
一般的な日本人であれば、外国人も暮らせる首都ダッカに住みたいと思うのかもしれないですが、
私はダッカの喧騒、渋滞、汚染の中では、生きていけません(涙)
Shotaさんの動画では、社会課題に焦点をあててくださっていたので、取材や動画を出してメッセージを発信してくださったことには、感謝しかないです!
しかし、バングラデシュはただただ汚くて問題にまみれただけの国ではないことも、少し知ってほしくて、私は私の見たもの・体験したことを書いてみたいと思います。
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ここは、夫の生まれ育った村。
周りは、ずっとこんな風景が続いていて、空気も夜空も、とってもとってもきれいなんですよ。
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小道を抜けると、2軒の機織工房があります。
一軒の中には、10~12台ほどの機織があり、この日は、その片方で3名ほどが作業をしていました。
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昔ながらの手機織工房 夫の生まれ育った村は手機織が主な産業でした
夫の父は、若いころに手機織のサリー工場を持っていて、その当時は100台以上の機織があり、たくさんの人を雇っていたそうです。
時代の流れとともに、機械織がメインとなりましたが、今もこうして田舎の工房には、20数台ほどが残っていて、
イスラム教のコーランを暗唱できるようになった優秀な子どもたちだけがもらえる特殊なストールを作っています。
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ちょっとした照明はあるものの、基本的に電気・ガスなどなんのエネルギーも必要としない機材を使って
手際よくどんどん織り上げられていくストール・・・ずっと見ていられます
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この工房では、今はこのストールしか作っていないとのことで、衣類を作りたいと思ったらそれに合う幅や長さを決めて織らなければならないとのことでしたが、
それでもこの村に機織があり、織り手がいるということは、たとえ電気やガスなどすべて止まっても、ここでは生地が作れるということです。
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出来上がったストールは、この村だけでなく、首都ダッカや、ナラヨンゴンジでも売られているそうです
私は自分が生まれ育った横浜で、機織をしているところを見たことがなく、製品を作って販売するという形で社会の中で機能している工房の存在も知らないのですが、
横浜どころの話ではなく、調べてみれば、日本国内で作られている衣類は、なんとたった1%程度とのことです・・・
それも、統計として出てきた内容としては、あくまでも「国内で縫製された製品」とのことで、製品化される前の生地は輸入品がほとんどであり、原材料となる綿は国産0%(工業製品として)
バングラデシュの「目に見えて悲惨な製造業や暮らし」とは対照的に、日本は「目に見えないけれど相当、危機的な状況」と言えるのではないでしょうか・・・
私は、2005年に初めてバングラデシュを訪れ、そこから、自分の身の回りにある衣食住に対して、少しずつ意識をし始めてきたということもあり、
2020年には、初めてスピンドルでの手紡ぎを教わる会に参加しました。
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アサバアートスクエア(横浜市金沢区) にて ヒマラヤのむつみさん(Bella Terra) から貴重な羊毛とスピンドルをいただき、紡ぎ方を教わり、ヒマラヤのお話をたくさん聞かせていただきました!
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私も割と器用なほうだと思っていたのですが・・・やってもやっても、むつみさんのようにきれいに糸にならず(涙)
ものすごく苦戦しましたが、帰宅後、持ち帰った羊毛で練習するうちに、少しずつ感覚的にわかるようになってきました!
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日常的に自分が着る衣類としても多くをしめている「綿」を紡いでみたい!という気持ちはずっとあり、
2023年秋、東京スピニングパーティーというイベントに行って、初めて和綿を紡ぐ体験をすることができました!
↑ 今年も、10/5&6に横浜にて開催されます!私も行きます♪
日本でごく普通に暮らしていたら「着る」に困ることはありません。
しかし、その裏側・見えないところでは、バングラデシュのような労働賃金の安い国での目も当てられないような悲惨な現実があり、
ちょっと調べてみれば、我が国・日本は、自分たちが着るものすら国内でほぼ自給できていない現実もあります。
どちらからも目を背けることなく、そして希望ある未来を描いていくために、何ができるでしょうか?
私も参加させていただいている 情熱クラブ では、全国の有志の仲間たちで、和綿栽培に取り組んでいます!
ふだん、何気なく着ているTシャツは、約300gの綿を使っているといわれていて、300gの綿を収穫するには、種も含めると、約1kgの棉(実)が必要になるそうです!
綿の実は、種も含めると、ひとつが約5gと言われているので、半そでTシャツ1枚を作るためには・・・約200個の棉が必要になるという計算です。
ひとつの苗には、平均して7~8個の棉ができるといわれているそうなので、8個で計算しても、25本の苗・・・
もちろん、収穫して種を取る→綿をきれいにして→糸を紡ぎ→生地を織り→布を切ったり縫って→Tシャツを作る
この工程で、まったく1gも無駄が出ないわけじゃないですから、実際には300g以上の綿が必要であり、縫うための糸のことも考えると、
たった1枚のTシャツにも、途方もない労力(工程)と自然のエネルギー、生産するための機械や電力などのエネルギーもかかっているのですよね・・・そして日本はそのほとんどを海外にゆだねてしまっている・・・
Shotaさんの動画を見ることも、綿を育てることも、ひとつひとつ小さなことかもしれませんが、
「意識して暮らす」ことによって、小さな小さな一歩一歩の積み重ねが、何年かたってみたら、ずいぶんと人生が変わるということにつながっていくと思います。
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初めて手紡ぎを教わったアサバアートスクエアに、導かれるようにして娘と出かけたのが数日前。なんと4年ぶりでした。
先だって開催されていた 金沢文庫芸術祭 の会場で、素敵なマダムが「手しごとマルシェ」のチラシを手渡してくださったことがきっかけでした。
ラオスの商品を展示・販売されていた Patuさん と何気なくお話をしたところ、なんとバングラデシュに6年もお住まいだったことがあるとのこと!!
しかも・・・どうやら、2020年のむつみさんの羊毛紡ぎの会にも一緒に参加していたようなのです!!もはや偶然ではなく必然としか思えない出会いでした。
さすが虹の戦士の門があるだけあって、アサバアートスクエアは、不思議な空間🌈 そして糸が紡いでつないでくれたご縁💖
小さかった点と点が、どんどんつながっていくとき、その先の未来もなんとなく見えてきたりするように、
この1か月ほどの間、いろいろなことがありました。
実は、1週間ほど寝込んでしまって、そのうち72時間は絶食(水しか飲めなかった)になり、なかなか痩せないおばさんが(笑)5kgも痩せて、久々に「このまま人生終わるのかな?」と思ったりして、
その時にも、元気になったら私は何をすべきなんだろうか?とぼんやりと思っていたところでした
長くなってしまいましたが(汗)
最後までお読みいただき、ありがとうございます💖
この記事をきっかけに「着る」という当たり前のことについて、立ち止まって、考えたり、調べたり、手に取った服の産地や素材を見たり、手しごと・手作りにほんの少しずつでも時間を持っていただけたら、幸いです。
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