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ブランディングにおける圧倒的差別化とは?

最初は誰もが冷ややかだったザッポスのビジネスモデルが、どのようにアマゾンに打ち勝つに至ったのか?を独自に紐解きます。

起_ザッポス?ナンジャそれ

みなさん、ザッポスという知られざる企業を聞いたことはありますか?2009年アマゾンが約12億ドルで買収した、働きがいのある企業ランキングトップ100に入っている、など情報の断片からその企業の凄まじさが伝わってきます。圧倒的企業力、資本力を持つアマゾンがどうして自社でザッポスのやっていることを再現しようとせず、「買収」という選択を取ったのか?この記事では、ブランディングにおける差別化という観点でザッポスを解説したいと思います。

承_ザッポスはそもそも何を売っとるんやっけ?

ザッポスは、簡単に理解するならば、「アマゾンの靴特化バージョン」がイメージしやすいかと。つまり、「靴」という「モノ」を売っている?と理解しがちかと思います。しかし、ザッポスのCEOや企業文化への取り組みを聞いてみると、その本質は全く異なる、「モノ」の会社ではなく「サービス」の会社であるとわかります。まあ、確かにジェフベゾスも海外のニュースで「We are Focusing on Customers, Customers、カスタマーず」と何度も何度も言っているのでサービス志向は共通しているのかもしれませんね。もし本当に両社サービス志向を徹底しているならば、「あれ?」と賢い読者のみなさんならお気づきかと思います。「なら、アマゾン自前でできんじゃね?」と。ではなぜ、アマゾンはザッポスを自社で真似せず、買収に至ったのか?ここには、「圧倒的な差別化」が鍵として潜んでいます。

転_ザッポスが持つ圧倒的な差別化、コアバリュー

「靴」をオンラインで注文して配達する、その一見何の変哲もないビジネスモデルはある程度資金力があれば明日からでも出来てしまいそうに見えますね。ウェブサイトWordPressで作って、ECっしょ?楽勝っしょ!みたいな感じで。でもちょっと待った。何か見落としてません?靴って、他の商材に比べて圧倒的に不利な点が一個あります。ふっと思いついた読者の方々、合ってると思いますよ!そうです、「足に合わなかったらめちゃくちゃクレームになっちゃう」めちゃくちゃリスキーな商材なんです。そもそも、普通のECやるならこれは選ばないですよね。。。でも、誰も選ばないからこそ、ザッポスは以下の二つのアクション、徹底した差別化で「靴のオンライン販売」市場を制覇したのです。

一つ目の鍵 何度でも返品でき、送料も返品も無料。これは、現在だとアマゾンでも模倣されていますがザッポスがOrigin(起源)と言われています。普通の実店舗だと、店員さんが靴を出してきて履かせてくれますね?でも店舗在庫の制約など物理的な制約で理想的な靴は見つけづらい。でもEcなら仮想店舗として、理論上無限に近い数の靴を扱えて、送料も返品も無料ならオンラインの良いとこどりができる。長所を生かし、デメリットを克服した訳です。このことにより、ユーザーからすると「無限の店舗在庫を持つ、靴屋さん」として認識されることとなります。でも、これを実行するには独自のシステムやサプライチェーンのCapabilityが必要なため一朝一夕で当時のアマゾンが真似するのは難しかったことが推しはかれます。

二つ目の鍵 圧倒的に手厚いコールセンター。ザッポスが通常のECサイト系と異なるのは、コールセンターを前面に押し出していた点です。最近だと、AIチャットボットや手厚い導線まみれの問合せQAフォームが様々なところで見受けられますが、これはコストカットやクレームによる揉め事を回避する、など企業様の事情を反映していることが多いです。ですが、ザッポスは当時その真逆、年中24時間無休、という一見クレイジーなコールセンターを保有していました。凄まじいお金がかかるとは思いますが、顧客に「靴」を売るのではなく「圧倒的な顧客体験をサービスする」という信念があったからこそ実行できたようです。もちろん、コールセンターの対応も一朝一夕で高品質にできるわけではなく、様々な社員教育、文化構築、採用の思想を貫徹することで、その理想を実現したのです。これにより、ユーザーに取って「手厚いサポートも受けられる、世界最高の靴屋さん」へとザッポスは昇華されたと言えるでしょう。

そして、1と2の鍵が達成されると、ザッポスではマスメディア広告など広告費にお金をかけなくても口コミ&リピート顧客で十分な売り上げを稼ぐことができたのです。

結_圧倒的な差別化でブランディングすれば、クレイジーな戦略も成立する

QAサイトでコストカットして、利益率が高くて返品が少ない商材をECで売るんじゃ!それが正しい戦略じゃ!と考えることも正しいとは思います。でも、ありきたりな戦略のため、差別化もできませんし、二番煎じとユーザーに認識された時点でブランディングからは程遠い存在になると思います。ザッポスの事例では、二つの鍵で「無限の店舗在庫を持つ、靴屋さん」「手厚いサポートも受けられる、世界最高の靴屋さん」となることで、マスメディアなどの広告費用をかけなくてもリピート顧客と新規顧客を獲得することができた。その稀有な差別化とブランディングをザッポスから学ぶことができます。

ぜひ、読者の方々も「顧客体験の創造」という観点でクレイジーな、でも実現できるかもしれない戦略、圧倒的な差別化とブランディングの方法を想像してみてくださいませ。

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Denis0903
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