Pelikan
Souverän 至高の一品
Pelikanは言わずとしれたメジャー万年筆メーカーです。御多分に漏れず私が人生で初めて手にした万年筆がこのPelikan Souverän M400です。
Pelikan Souveränがどのようなものなのかは語るに及ばず、です。
Pelikan公式より引用
真のクラシック
1929年ペリカン社は世界で最初にディファレンシャル・ピストン・メカニズムを発表しました。万年筆内部に内蔵されるピストン部分は、ふたつの異なったギアによって、インク吸入ハンドルより速く回転して上下します。今日に至るまで、様々なデザインや機構を持つ万年筆が発売されましたが、基本的な吸入メカニズムは同じです。
1950年、モデル400が発売されました。その緑縞の胴軸がペリカンブランドのシンボルとして世界中に知れ渡りました。1980年代になりSouveränと名付けられましたが、ドイツ・ヴァイマル共和政期の政治家シュトレーゼマンのスーツのストライプ模様が有名だったので、シュトレーゼマンというニックネームで呼ばれていました。
胴軸の製造には手間がかかります。ペリカン独自の製法にこだわって、原料のコットンを何段階もの工程で加工し、ストライプの板に仕上げます。それを胴軸のサイズに裁断後、円筒形にし、ダイヤモンドを使用して研磨します。次に、特徴ある二重リングを胴軸とキャップにはめ込みます。この工程ではつなぎ目を全く見えないようにするために非常に精密な作業が要求されます。そして光沢が出るまで表面が磨き上げられ、次にペリカンのくちばしをモチーフにしたクリップが取り付けられます。
クラシックを愛するなら、Souveränが最適です。
使用感
軸とインクの吸入機構が一体化しており、コンバーターをつけずとも、万年筆を買えば、その場でインクを吸わせ、すぐに使用することができます。
この吸入機構は別売りのコンバーターを買う手間もなくなりますし、吸入自体がとても楽なのが魅力的です。万年筆上部をクルクルと回すだけでインクがスムーズに内部を満たしてくれます。
万年筆の魅力は書く、という行為だけでなく、インクを入れるとき、あるいは内部のクリーニングを行っているときにも表れるというのを、一度でも使ったことがある人はわかっていただけるかと思います。
そのいわゆるひと手間さえ、愛おしいと感じますし、きっとその時の私の顔は人様に見せられるような顔ではないのだろうな、と思います。
話を戻すと、Pelikan Souverän M400は Souverän Mシリーズの中でも最も小さいサイズです。M400、600、800、1000とその大きさは変化していきますが、1000にまでなると、本当に太く大きく、それこそ日常的に文字を書くことを生業としない限り使いこなせないのではないかと個人的に思っています。
その点このM400は手帳に使うもよし、日常の筆記に使うもよし、万能選手です。
余談ですが、M400の”M”は吸入式であることを示しています。”P”はカートリッジ式であることを示しています。
また、400の傍線部は大きさを示していることは上記で示した通りですが、末尾の”0”あるいは”5”はトリムカラーを示しています。”0”はゴールド、”5”はシルバーです。
それを含めて、自分にあったPelikan を探すことをおすすめします。
閑話休題。
ただ、ネックなのは前回のMont Blancにも言えることですが、海外メーカーの万年筆は小さい文字を書くにはあまり適していません。
私が所持しているこの一本もEF(極細)ですが、実際は国内メーカーのMくらいの太さではないかと思います。私の場合はメンテナンスをお願いする際に、インクフローを良くしてほしいと言っているので、それもあるかと思います。
私は国内メーカーの万年筆も数本所持していますが、特にセーラーなどは書いていて、カリカリした感じを受けます。
個人的には、手帳などに使用するのに重宝しています。
Pelikanはその一方で、手帳などの細かい字を書く、というよりも、普段使い向きの万年筆であると思います。
ログなどを付ける、じっくり手紙を書く、速記で何かを記す…
どちらにせよ、購入する前には、ご自分で必ず試筆なされることをお勧めします。
「試筆なくして万年筆の購入はならず」
勝手に思っているだけですが、本当にそう思います。
自分の用途にあったものを選ぶなら、必ず実物に触れて、試筆をして、という手順を踏んだ方が良いです。
やはりどれだけ良いものでも、合わないなと感じると使用頻度は各段に減っていきます。せっかくの万年筆は引き出しの奥深くで眠りにつかないようにするには、とにかく行動あるのみです。
金ペン堂に辿り着くまで
Pelikan Souverän M400を私が初めて手にしたのは、というよりも初めて私が万年筆を手にしたのは神保町の金ペン堂です。
大学3・4年の時に通っていたキャンパスがすぐ近くにあったこともあり、近くは何度も通っていました。。
ですが恥ずかしながら、大学4年くらいまでその存在を私は認知しておりませんでした。
それまでの私は大学在学中、レザーアイテムに取りつかれ、各地のレザーを取り扱う店に足を運びました。
片田舎出身の私には勇気がいるような遠出も多くしましたが、銀座を歩き回って、入念なリサーチのもと、お店を回った時の昂揚感は今でも忘れられません。
しかし、昨今万年筆の世界で耳にする機会の多い”沼”。
これが実は”沼”同士繋がっているとは思いもよりませんでした。
レザーアイテムは数多くありますが、その中でもペンシース(ペンケース)があります。私が多くのお店でこれを見たときの衝撃は尋常ならざるものでした。
とにもかくにも格好いい。
1本差しの贅沢感。
これほどまでに堅牢な入れ物に入れるべきペンとはどんなものか、と今度は万年筆への憧憬がすぐさま沸き上がったのは言うまでもありません。
”沼”は深かったです。
レザーからペンシース。そこから万年筆、インク、手帳、ノート、そしてこれら膨大な数の宝物を入れる、置く、使うためのファニチャーなど…
それらは全て繋がっていました。
そういった事情から大学4年時だったと記憶していますが、神保町の金ペン堂に足を運んだのです。
小さいお店なので、入るのにとても緊張したのを覚えています。ですが、最初に手にしたいと思っていた万年筆も決まっており、迷わず入店しました。
金ペン堂ではその人がどのように万年筆を持ち、どのように書くのかをしっかり見てくれた上で、ペン先の調整もしてくれるので、自分だけのペン先を持った万年筆を手にすることができます。
書き方もその時に”指導”を受け、それからはその注意を守って万年筆を使用してきました。
あれから幾年経って、車のように大きい買い物もしてきましたが、あれほどの満足感を経た買い物は今後きっとできないでしょう。
長くなりましたが、このPelikanとの出会いは私のその後の人生を変えました。
最後に
趣味の範疇ですが、Instagramで写真を投稿しています。
よかったら、ご覧になってください。
↓
https://www.instagram.com/den_ebony3909/
deni'm
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