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№308 日本はものすごい額の借金を抱えているー!という印象操作。

日本はものすごい額の借金を抱えている、
そんな話を聞いたことがあるかもしれません。

財務省の発表したところによれば、
国債や借入金、政府短期証券を合わせた
「国の借金」の残高は
2021年12月末時点で1212兆4680億円。

ネットなどの記事では、
「国民1人当たり約983万円の借金を抱えていることになるー!」と書かれています。

「日本にはお金がないんだー!ヤバい!国がこんなに借金を抱えていては、社会保障なんてひどくなるぞ一!」
と思われたでしょうか?

しかし、この数字は
そのまま鵜呑みにはできません。

数字が嘘だというのではなく、
借金だけを取り上げても意味がないからです。

資産とは自分のお金と
人から借りてきたお金を合わせたもの。

「100万円の借金がある」とだけ言われたら
「大変だ」と思うかもしれませんが、
「でもね、実は1000万円の貯金があるんだよ!」と言われたら、
100万円くらいの借金なんて
どうということはないでしょう。


日本の一般会計、特別会計というのも、
お金の出入りだけを表しているだけで、
「いくら資産があるのか」
「そのうち借金がいくらなのか」は表していません。

国の財政をバランスシートを使って
診断しようという動きは、世界的にも進んでいます。

IMFが発表したレポートでは、
各国政府(中央銀行や政府関連機関も含む広義の政府)がどれだけの資産を持っているのか、
どれだけ借金しているのかを分析しています。

国のバランスシートをどう作るのかについては、
さまざまな計算方法があるため
一概には言えませんが、
日本の国富はだいたい5000兆円から
6000兆円の間だと言われています。

バランスシート左側の資産が
5000兆~6000兆円。

右上に来る有利子負債が1000兆円。

国と企業では単純な比較はできませんが、
財務が健全な製造業の企業の場合、
自己資本比率はだいたい3割くらいです。

自己資本が3000億円の会社なら、
7000億円くらい借金しても
大丈夫ということになります。

そうやって見ると、
意外に日本のバランスシートは
健全だと思えてきませんか?

また、財務省が発表している
対外資産負債残高にも興味深いデータが載っています。

政府や企業、個人が
海外に保有している対外資産残高は
1097兆7310億円。

この対外資産は、
どれだけ海外にお金を投資しているのか
を示しています。

一方、海外から
日本にどれだけ投資されているか?
(日本がどれだけ借金しているか)
を示す対外負債残高は733兆2060億円。

対外資産残高から
対外負債残高を引いた対外純資産残高は、
364兆5250億円になります。

何と29年間連続で「世界最大の対外債権国」なんですけど、皆さん知ってました?

日本は高齢化が進んでいるということもあって
日本国内に対する投資は難しくなっていますが、
海外に莫大な投資をしています。

日本という国全体で見ると、
世界中にお金を貸しまくって、
そこからの「アガリ」を得ている、
不労所得で食べている国になっているんですね。

日本にはお金がないのではありません。

国全体は十分な資産を持っていて、
そこから得られる配当や利息で暮らしている大金持ちなのに、
国民にうまくお金を分配することができていないだけ。

日本の「失われた30年」とは、結局のところ、
この再分配の失敗に尽きるとボクは考えています。



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