№330 なぜボクたちは、わざわざ行列に並んでまでラーメンを食べようと思うのか?同調バイアスについて考えてみるよ。
同調バイアスってなーに?
「他人がどう行動するかを参考にして、自分の行動を変えちゃうこと。」
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▼人気店の行列がさらに長くなる理由を考える
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お祭りに行くと、
めっちゃ美味しそうな、
たこ焼き屋さんが2軒並んでいました。
どうやら同じ系列店のようで、
店構えがそっくりです。
しかし、一方には行列ができているのに、
もう一方には客が1人もいません。
さて、 皆さんは
どちらの店でたこ焼きを買うでしょうか?
急いでいるときであれば、
これはラッキーじゃん!と思って
お客がいないほうで買うかもしれません。
だけど、
多くの人はこんなふうに考えるのではないでしょうか?
「どちらの店も同じように見えるのに、どうしてこっちの店には誰も並んでいないんだろう? 何か良くないことでもあるのかな?」
「もしかしたらメチャクチャ不味いのかも知れない!」
同じ商品であるのなら
早く買えたほうがいいはずなのに、
わざわざー方だけに列をなしているとなれば、
誰も並んでいない店に対して
不安を感じる人は少なくないと考えられますよね。
そんな人々が、行列のある店を選んだ結果、
行列はさらに長くなるのです。
このように周りに他者がいる場合に、
その人がどのようにするのかを参考にして、
同じ行動をとることを「同調バイアス」と呼んだりします。
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▼同調への圧力
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同調とは「他人の行動や考え方に合わせる」ことですが、 これには2つのメカニズムがあると言われています。
1つ目は情報として、
他者の行動を利用することです。
これは先のたこ焼き屋の例のように、
他者がいっぱい並んでいれば
おいしい店なのだろうと推測し、
自分もそこに並ぶことなどが当てはまります。
2つ目は、他者の行動や考え方を規範として用い、
同じように振る舞うことです。
この場合、
他者の行動や考え方は、
行動を制限するような圧力として働くことが多いようです。
たとえば、終業時間を過ぎ、
今日中にしなければならない仕事は
すでに終わったのですが、
誰も帰らないので仕方なく自分も残業をする、
などという事柄が該当します。
日本は欧米に比べで、
自分の意見を述べることよりも
集団の和を保つことのほうが
重視される傾向にあるようです。
そのような文化の中で、
自分が本当は違う意見であるのに、
周りの意見と異なるがために言うことができなかったり、
意見を曲げたりした経験は、誰にでもあることでしょう。
このような同調への圧力について
実際に検討した実験があります。
大学生7~9名を1グループとして実験室に集め、
長さの違う3本の直線が書かれたカードを見せました。
同時にもう1枚、
直線が1本だけ書かたカードを見せて、
最初のカードのどの線と同じ長さだと思うか?
グループ全員が順に口頭で答えるよう求めました。
実はこの実験の真の参加者は1名だけで、
残りは協力者 (サクラ) であったのです。
協力者たちは最初の2回は正解を答えるのですが、
3回目の課題では、
全員が同一の間違った選択肢を口にするように仕向けられました。
そしてその際、
実験参加者は最後から2番目に
回答するように設定されていました。
この実験の結果、
1人であれば問違えるはずがないほどの線の長さに、
はっきりした違いがあったにもかかわらず、
誤答率は36.8%にもなりました。
このうち12回の試行のうち、
一度も協力者に同調しなかった参加者は
25%でありました 。
ここで分かった事は直線の長さという
はっきり違いのわかる事柄でさえ、
他人の回答に影響を受けずに
正解を言える人は4人に1人だったというのだから、もっと複雑な事象になった場合、
さらに同調しやすくなるのは想像に難くないでしょう。
また、課題の種類にもよりますが、
本人以外の全員の意見が一致している場合、
同調が生じやすくなることも指摘されています。
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▼普段の生活に潜む同調の危険性
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それでは同調バイアスは
実生活でどのような影響を及ばすのでしょうか?
同調の影響が顕著に見られるのは
災害が起こった場合などの緊急時であると
言われています。
たとえば人の多い劇場で火災が発生し、
パニックを起こして
会場から脱出しようとする人がいると、
同調した人々が出口に殺到して
将棋倒しとなり
かえって被害が大きくなることが知られています。
某テーマパークでは、大きな地震が発生した際、
パレード中だったキャラクターたちが
頭を守ってその場にしゃがむよう客に求め、
混乱を回避したという事例もありました。
この場合はキャラクターたちに同調した
客の行動がよい方向に働いた例であるといえます。
つまり、同調バイアスは必ずしも悪いものではなく、
使い方によっては良い結果を生むこともあります。
重要なのは正確な知識を持ち合わせる事と、
適切に用いるテクニックを身につけていることですけど、
それができていないからこそ、
良くない結果をもたらしている事実を
ボクたちは学ばなければならないのです。