出産直前にぎっくり腰になってそのまま出産した話
2018年1月22日。
都内に大雪が降った。と言っても10cm程度で雪国の人たちからしたら積雪とも言えないだろうけど、東京都民からしたら10cm以上積もれば大雪だ。
(追記※記憶では10cm程度だと思ってたけど調べてみたら20cm以上の積雪だったらしく、なかなかの大雪でした)
そうだ、雪だるまを作ろう!!〇ッキーの形の雪だるまを作っていた。
27歳、出産予定日を1週間後に控えた39週1日目の妊婦の私。
夫は朝出勤したら翌日の昼に帰ってくる勤務形態。夫が仕事で家にいない日は夜中に何かあると困るといけないから、あとは家事炊事のサポートにと母親が家に来てくれていた。
雪国で暮らしてるわけでもなく、防水仕様の手袋を持っていないのでゴム手袋をして〇ッキーの雪だるまを作っていた。ゴム手袋で雪遊びってとてもやりずらいし冷たいなと思っていたら家の中から声がした。と、同時に玄関の扉が空いた。
「あんたこんな寒い中何やってるの!!?早く家に入りなさい!!!」
結婚して実家を離れてから1年、しばらく母親のうるさい声を聞いてなかったのでこの感じ久しぶりィ!と少しテンションが上がった。
しょうがない、家に入るかと立ち上がろうとした瞬間腰がピキィ!!!!!!!となった。
やってしまった。ぎっくり腰。
19歳の時にパチンコ屋でアルバイトしてた時に初めてやったぎっくり腰。それ以来、くしゃみをすればぎっくり。咳をすればぎっくり。たまに肩甲骨あたりがぎっくり腰になることもあったりと、華の20代ほぼぎっくり腰と共に生きてきた。(整形外科では背骨が曲がってると言われ、とても腰が弱いらしい)
ぎっくり腰を経験した方ならわかると思うが、1mmも動けないのよ。座ってたら立ち上がれない、少し振り向こうとしただけでも悲鳴あげるレベルなんだから!✩.*˚
この時の私は臨月妊婦。ただでさえ立ち上がるのにも苦労するのに…。
とんでもない悲鳴をあげながら、まずは玄関の中まで入った。靴を脱げない。母親が必死で私の靴を脱がす。足が上がらない。
「あんたちょっと足!!!上げて!!」
「無理だよぉぉぉ!!!痛い!!!」
棒立ちの叫ぶ妊婦とその母親。すごーーーくゆっくり痛みに耐えながら玄関に座る。やっと靴を脱ぐ。その後、また後悔する。なんで座ってしまったんだと…。リビングは2階なんだ。私の横には14段の階段がある…。
また悲鳴を上げながら立ち上がり、階段を登ろうとするが足が上がらない。母親が後ろからサポートしようとしてくれたのか身体に手が触れた瞬間
「痛い痛い!!!!触らないで!!!」
「じゃあどうしろってんだ!!!!(怒)」
ここまでくるのに15分くらいかかってる。さすがに我慢してくれてた母親もイライラし始めたのか、階段の前で言い合う2人。普段言い合いなんてしないのに。なんか新鮮。
結局、言い合いしながら、そして叫びながら30分かけて階段ミッションをクリアしてリビングのソファに座った。もう一生ここから動かないと誓った。
あんなに言い合いしてたのに母親は無言で膝にブランケットかけてくれるし、温かいお茶入れてくれる。
あぁ…母はいつまでも母だな…と思った。
私ももうすぐ母親かぁ…。こんな小学生みたいな娘が母親になれるのか?と、不安になった。
2日後、破水疑惑があり病院に行くことに。まだ腰は万全ではないが必死で病院に行った。
「張りが強いから今から入院する?」
と言われたが、何を思ってか翌日の朝から入院することになった。
(今思うとそのまま入院セット持ってきてもらえば良かったのに…)
家に帰り、翌日に義母と共に歩いて病院へ。
まだまだ腰は痛くて歩くのも困難。支えられると余計に痛いのに、義母は優しさからか肩を貸してくれる。
自分の母親に対しては触るなと言えるのだが、義母には言えん。まじで今は本当に大丈夫なんで!!!って言っても「大丈夫よ!支えるからゆっくり歩いてね」しか言わない。
違う、そうじゃない(白目)
1月25日、入院。
その日の夜中、ベッドに横になりながら破水したらどうなるんだろうと思いググろうとした瞬間、パンっと音がなりジョワァァァと温かい液体がお股から出てきた。
破水だ!!!!!!!
ぎっくり腰を忘れて飛び起きた。とんでもなく叫んだ。個室でよかったと心から思った…。
その後、ナースコールを押して看護婦さんにベッドのシーツを交換してもらった。
NST(お腹の張りを検査する装置)をつけられ
「破水したら2日以内に出産になるからね。明日の朝、先生が来たらお話しよう!今日は寝て~!痛くなったら呼んでね」
と、言いながら看護婦さんは出ていった。
1月26日の朝、回診に来た先生にぎっくり腰である事を一番最初に伝えた。ワタシナニモデキマセン。
子宮口が開いてないので促進剤を使い、もしかしたら帝王切開になる可能性もあるとの説明を受けた。自然に陣痛来るの待つ?って提案されたけど、早く産みたいから促進剤をやってもらう事に。
9時から促進剤の点滴をつけられ、促進剤開始。
ジワジワと痛くなってくるがまだ耐えられる。
朝9時、義母がきた。12時、母親が来た。
元々生理痛がとてもキツく、薬も効かずいつものたうち回るレベルだったけど、それと同等レベルで痛い。でも何とか耐えられるレベルの痛み。
母親は義母の手前だからなのか「まだまだこれからなのに、こんな大袈裟にねぇ」なんて言ってて少しイラッとした。
こども産んだことあんのか??!!
あーーーーーん?!?!?!?!?
(母親は3人産んでる)
何だかんだ子供のように「飲み物ちょうだい!!!」「お腹痛い!!!」「はぁ!!!腰も更に痛くなってきた!!!!!!」と叫ぶ私のサポートをしてくれて、これを書いてる今(コロナで面会も立ち会いも出来ない)となればとても有難いことだったのに陣痛中は痛すぎて、とてもじゃないけど周りに気を使うことできないのね…。
こちとら必死で痛みに耐えてるのに、ちょこちょこ話しかけてくる母親たちの存在がとてもウザく感じてしまい、早く帰れとしか思わなかった(申し訳ない)(土下座)
午後に仕事終わりの夫が来て、流石に帰るだろうと思ってたら…結局17時近くまで居たよ。
子宮口まさかの1cmしか開かず、促進剤も終了してしまった。
その日は夫が同じ部屋に泊まる予定になっていた。促進剤がきれてくると、お腹の痛みは無くなった。快適。
1月27日、朝6時くらい。
なんかお腹痛いな……と目が覚めた。あ、これ陣痛だ!!!と自然な陣痛が始まった事に気付いた。
朝、ナースコールから「今日も促進剤やるけど、産まれなかったら帝王切開になるのでご飯無しです」と言われて朝食もなくなった。
8時、子宮口が3cm開いてると言われた。
先生から「卵膜剥離すればすぐ生まれるよ」と言われたけどびびって拒否。そのまま促進剤開始。
友達からのLINEを返し、生理痛が酷い時の痛みレベルにまでなってきた。陣痛って、こんな感じかぁ。ぎっくり腰のが痛いのね。あとは生まれるまで耐えるだけ!!!と、余裕をぶっこいていた
が
2分間隔位になってきたところで、ぎっくり腰よりも数倍痛い痛みに変わってきた。
お腹…!!!!やばいかも…!!!
生理痛もぎっくり腰も比じゃない。私耐えられるかも~!とか思ってしまって申し訳ございませんレベルの痛みがくる。
壁に穴開けても大丈夫ですか?
殴っても大丈夫ですか?
この枕引きちぎって大丈夫ですか?
痛すぎると、怒りも出てくるんだね。
出産に対する恐怖は、痛すぎると消えるみたい。
あと、おトイレ行きたい。何回も何回もトイレに行くが出ない。
トイレは廊下にあるため、夫が共に点滴ゴロゴロしてくれて必死でトイレに向かう。
トイレに座ると10分ほど動けなくなる。痛みに耐えられなくて叫ぶ。
11時くらい。喋ることすら出来なくなってきた。助産師さんいつ呼べばいいのか分からない。
あ!!お腹張り始めた。
痛いのが来る!!
来る!!
来る!!
「あ"ぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
ここでナースコールして助産師さんを呼んだらいい。夫、ずっと隣で健気サポートしてくれてる事に全く気づかず。私の中で夫の存在が消えた。
こんな大事な時にどこ行ったん!?
何してんの?!え?!誰か助けて!!!
(この時必死で背中とかさすってくれてた夫。)
昨日の事を思い出した。
他の部屋で陣痛に耐えてるであろう女性の声が聞こえてたんだ。「う~~~~~ん、う~~~~ん」と必死で耐える声が聞こえてて、頑張れぇ頑張れぇと心の中で応援していた。
え、違うやん!!!あんなちっさい声で?!
耐えてたんですか?!これを?!え?!
その後彼女は歩いて分娩室に向かっていったっぽくて。この違いはなんですか????
この時点で子宮口5cm。
先生が降臨した。
「卵膜剥離する?」
「もう!!早く!!なんでもいい!!やってちょーだい!!!早く!!」
陣痛の痛みに合わせ、先生が卵膜剥離とやらを実行した。陣痛の痛みが強すぎて卵膜剥離とやらの痛みは感じなかった。
ジャーーーっと中の羊水が流れた、次の瞬間。
「ぎぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」
とんでもねぇ痛みがオラの身体を襲ってきた。
なにしてくれてんねん?!!
(いや自分がやれっていったんだろ)
痛みのレベル、言葉で言い表せられない。
今指がちぎれても気付かないんじゃないかってくらい痛い。
生理痛酷いから耐えられるかも~とか言ってごめんなさい。
ゴリラ。もう、わたしゴリラ。
大暴れしてるゴリラ。キングコング並に全ての物破壊できると思うの今は(キングコング見た事ないけど)
いんや!!!!出る!!!!!!!!
なんか出る!!
出るって!!!!
これはおかしい!
こんなん分娩室でやる事だよね?!
え?!子宮口全開でしょ!?
昨日の人こんな部屋で叫んでなかったでしょ?!
誰か説明して!!!
昨日の人呼んで!!!!
ええええええ?!
てかなんで部屋に人いないの?!
なーーーんでみんな解散するの?!
誰か来て!!!!助けてぇぇぇえ!!
(ぎっくり腰で動けなくてずっと壁見て叫んでたから気づかなかったけど、助産師さんも夫も部屋に居た)
陣痛の合間にナースコール連打し「もうこれ全開だと思うから産ませてくれよ!!!!!なんか出てくるよ!!子宮口確認して!!」と言ってるつもりが私の口から出てくる言葉は「あ"ぁ"あ"あ"ああ"!!」だったので何も伝わってなかった。
後日談だけど、この時に夫はテニスボールでひたすらおしりを押しててくれてたらしくて「テニスボール押すと、押し返されてたんだ…赤ちゃんの頭に…怖かった…」と言ってた。
助産師さん、やっと子宮口見てくれたみたいで。
「お、全開だね」
お、全開だね、じゃねーーーーよ!
(この時心の中でほんとこんな感じだった。口悪くてごめんなさいね、喋れなくてよかった)
ずっと全開だから見てくれって言ってるだろ!!
(言えてない)
「分娩室行くよ!旦那さんカメラ!!」
叫ぶ私の横で淡々と進む準備。
助産師さんが車椅子を持ってきて
「腰大丈夫?!乗れる?!」
と、ぎっくり腰だから無理だろうと思って声をかけてくれたみたいだが心配ご無用!!ものすごいスピードでベッドから自力で降りて車椅子に座った。ぎっくり腰の痛みなんて感じないレベルでお腹痛い。早く産みたい。
分娩室着いてからも、分娩台に乗る時に助産師さんが「大丈夫?!分娩台に乗れる?!」と声をかけてくれたが、心配ご無用!!!
秒でのぼった。
分娩台にのぼった瞬間
「いきんでいいよ!」
え、いいの?!?!?!?!
旦那いないけど?!(横にいる)
まぁいいか産めるなら!!!
分娩は陣痛よりは痛くないよ、と周りの経産婦さんたちに教わったので痛くないものかと思ってた。
痛いよ。余裕で人生で二番目の痛みだよ(1番は陣痛)
陣痛に合わせて会陰切開されたのだが、切られた事に全く気付かなかった…。皮膚切るってめちゃくちゃ痛い事だと思うんだけど…。
いきんで!と言われて、やったことも無いのに自然といきめるのってやっぱり本能なのか?お腹に力を数回入れたら
するん!!!
13時48分、男の子誕生。
え???え????
何よりもびっくりしたのが、産んだ瞬間にお腹の痛みがパッと消えたこと。
それにびっくりしすぎてプチパニック。
隣で大号泣してる夫。夫が隣にいたこともびっくり。私が陣痛中に叫んでる時から泣いてたらしい。出産前に「俺って感情ないからさ」とか言ってたくせに大号泣。
腕の中に置いてもらった息子は私の顔をジーッと見ていた。
産んだのか、この子を。
自分の子、って感覚が全くない。感動よりも先に終わったー!!!!!!って開放感が凄かった。
足がガクガクし始め「なにこれ凄い」とか笑いながら会陰を縫われ、先生と「名前決めてるんですよ~」なんて会話をしていた。
個室までストレッチャーで運ばれ、ストレッチャーからベッドに自分で移った。
身体はガクガク震えたまま。あれは何故なのか分からないけど先生が大丈夫だって言ってたから大丈夫なんだと思う。
夫は家に帰り、赤ちゃんは後で来るって話だったけど朝方からの陣痛でとても眠くてそのまま寝てしまい、起きたのは12時間後くらいの真夜中。
友達に出産報告したり、産後ハイで朝まで起きていた。朝になったら久しぶりのごはんが届いた。喜んでいたのも束の間、赤ちゃんが部屋に来た。
怒涛の育児の始まり。2~3時間毎の授乳に、寝かしつけ。やっと寝たと思ったらまた泣いて授乳。
いや今飲んで寝たばかりじゃん???また今のワンセットをやるの??と、母は眠くても寝る時間なんて無いようなもんだし、夜中寝れるうちに寝とけばよかったと後悔した。
産後は会陰の傷も痛いけど何とか座ることもできた。トイレに頑張って行きましょうと言われて渋々起き上がったりしていたが、数日もすれば少しは慣れてくる。何よりもシャワーOKと言われた時にはテンションが上がり、数日間の汗を流すために足早にシャワー室に向かったのを今でも忘れない。
赤ちゃんを抱っこして廊下にあるスケールで今の授乳でどのくらい体重増えたかな~と授乳前と後で体重を計ったり、産後はとても動く機会が多かった。
おわかりいただけただろうか?
ぎっくり腰が治ってる。まさかの、ぎっくり腰になったことを忘れて普通の行動ができるレベルで治ってる。
陣痛の痛みと共に消えたのか、骨盤が1度開いたからなのか…??
先生が「腰痛は妊娠によるものなのかな?腰に来る人はいるけど、ここまでひどい人は見たことないよ。また次の出産の時にならないといいね!」と笑っていた。
しかしこの先生の言葉。
5年後に伏線回収する。
次回、第1子の出産がトラウマで第2子は無痛分娩にしたのにまさかの展開になった話
乞うご期待!!
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