東京歯科大学2023年度物理の過去問解説 第4回
こんにちは私立歯学部予備校のデンアカです。シリーズとして東京歯科大学の2023年度の物理の過去問解説をします。本日は第4回です。
前回分はこちら
力学解説(問5~問7)
図1のように、水平方向の床の上に、水平方向と角度 $${\theta}$$ をなす斜面(長さ $${L}$$)と水平面(床から高さ $${H}$$)からなる上面をもつ台が固定されている。水平面に物体Aを置き、さらに斜面の最高点に物体Bを静かに置いたところ、Bは斜面上を滑り出し、斜面の最下点をなめらかに通過し、Aに衝突した。衝突後、A、Bとも台から水平方向に飛び出した。
A、Bの質量はともに $${m}$$ であり、Bと斜面との間の動摩擦係数を $${\mu}$$ 、重力加速度の大きさを $${g}$$ として、水平面とAやBとの間の摩擦、A、Bの大きさや空気抵抗は無視できるものとする。以下の設問に答えよ。
問1 斜面上でBに働く垂直抗力の大きさを求めよ。
問2 斜面上でBに働く動摩擦力の大きさを求めよ。
問3 斜面上を移動中の、Bの加速度の大きさを求めよ。
問4 Aに衝突する直前の、Bの速さを求めよ。
以下では、問4の答を $${V_B}$$ とし、AとBとの間の反発係数を $${e}$$ とせよ。
問5 AとBの衝突直後の、Aの速さを求めよ。
問6 AとBの衝突で、A、Bが失った運動エネルギーの和を求めよ。
問7 問6で求めた、A、Bが失った運動エネルギーの和は、主にどのようなエネルギーになったか。簡単に説明せよ。
問4までは前回解説しています。問5から考えてください。
考えてみましょう!
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問5: AとBの衝突直後の、Aの速さを求めよ
AとBの間の反発係数を $${e}$$ とします。反発係数の定義により、衝突後のAとBの相対速度は次のように表されます。
$$
e = \frac{V_A' - V_B'}{V_B - V_A}
$$
ここで、$${V_A'}$$ と $${V_B'}$$ は衝突後のAとBの速さ、$${V_A = 0}$$ は衝突前のAの速さ、$${V_B}$$ は衝突直前のBの速さです。Aの初速度が0であるため、式は次のようになります。
$$
e = \frac{V_A' - V_B'}{V_B}
$$
また、運動量保存の法則より、衝突後のAとBの速度は次の式でも結びつけられます。
$$
m V_A' + m V_B' = m V_B
$$
これらの2つの式を連立させて、Aの速さ $${V_A'}$$ を求めます。まず、2つ目の式を整理して $${V_B'}$$ を表すと、
$$
V_B' = V_B - V_A'
$$
これを反発係数の式に代入します。
$$
e = \frac{V_A' - (V_B - V_A')}{V_B} = \frac{2V_A' - V_B}{V_B}
$$
これを $${V_A'}$$ について解きます。
$$
2V_A' = eV_B + V_B
$$
$$
V_A' = \frac{(1+e)V_B}{2}
$$
したがって、Aの衝突直後の速さは
$$
V_A' = \frac{(1+e)V_B}{2}
$$
問6: AとBの衝突で、A、Bが失った運動エネルギーの和を求めよ
衝突前後のAとBの運動エネルギーの差を求めます。運動エネルギーは
$$
E = \frac{1}{2} m v^2
$$
衝突前のAの運動エネルギーは0であり、Bの運動エネルギーは
$$
E_{\text{before}} = \frac{1}{2} m V_B^2
$$
衝突後のAとBの運動エネルギーは、それぞれ次のようになります。
$$
E_{A,\text{after}} = \frac{1}{2} m V_A'^2 = \frac{1}{2} m \left(\frac{(1+e)V_B}{2}\right)^2
$$
$$
E_{B,\text{after}} = \frac{1}{2} m V_B'^2 = \frac{1}{2} m \left(\frac{(1-e)V_B}{2}\right)^2
$$
したがって、衝突後の総運動エネルギーは
$$
E_{\text{after}} = E_{A,\text{after}} + E_{B,\text{after}} = \frac{1}{2} m \left(\frac{(1+e)V_B}{2}\right)^2 + \frac{1}{2} m \left(\frac{(1-e)V_B}{2}\right)^2
$$
これを計算すると、
$$
E_{\text{after}} = \frac{1}{2} m \frac{(1+e)^2 V_B^2}{4} + \frac{1}{2} m \frac{(1-e)^2 V_B^2}{4}
$$
$$
E_{\text{after}} = \frac{1}{8} m V_B^2 \left((1+e)^2 + (1-e)^2\right)
$$
$$
E_{\text{after}} = \frac{1}{8} m V_B^2 (2 + 2e^2)
$$
$$
E_{\text{after}} = \frac{1}{4} m V_B^2 (1 + e^2)
$$
したがって、失われた運動エネルギー $${\Delta E}$$ は、
$$
\Delta E = E_{\text{before}} - E_{\text{after}} = \frac{1}{2} m V_B^2 - \frac{1}{4} m V_B^2 (1 + e^2)
$$
$$
\Delta E = \frac{1}{4} m V_B^2 (1 - e^2)
$$
問7: 問6で求めたA、Bが失った運動エネルギーの和は、主にどのようなエネルギーになったか。簡単に説明せよ。
AとBが失った運動エネルギーは、主に熱エネルギーや音として変換されます。
解説:
衝突の際に、物体間の摩擦や変形によって熱が発生し、また衝突音としてエネルギーが外部に放出されます。これにより、運動エネルギーが減少しますが、エネルギー保存の法則により、エネルギー自体は熱や音などの形で別の形態に変換されています。
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