見出し画像

リアルなライバーを見て作る。ペルソナをあえて作らないPococha流デザイン

みなさん、こんにちは🙋‍♀️
DeNAデザイン本部です。

DeNAの開発・制作現場で活躍しているデザイナーの、キャリアや働き方をご紹介するインタビュー企画 「Designer’s Career Crunch」。第二回目に登場してもらったのは、デザイナー の 田村綾香(たむら あやか) です。田村さんはDeNAに中途入社し、ライブ配信サービス『Pococha(ポコチャ)』のイベントデザインを担当。大手メーカーから転職したというキャリアを持つ田村さん、エンタメ領域のPocochaではどのようにデザインに取り組んでいたのでしょうか。

ーーー
<田村綾香さんプロフィール>
多摩美術大学情報デザイン学科卒業。
株式会社ディー・エヌ・エー デザイン本部サービスデザイン部 デザイナー。ライブ配信サービス「Pococha」のデザイナーを経て、現在は、ブロックチェーン技術によるNFTを活用して開発したデジタルムービーコレクションサービス「PLAYBACK 9 (プレイバック ナイン)」のリードデザイナーとして従事。
ーーー


大手メーカーから転職。お客様のより近くへ。

■ 田村さんのご経歴を教えてください。
多摩美術大学を卒業してから、新卒で電気機器などを開発する大手メーカー企業に就職しました。主にIoT機器を中心としたUIデザインの担当しており、家電を操作するためのスマートフォンのアプリや、デジタルカメラのUIや子供向けのプログラミング教育キットなども開発していました。

■ 前職は世界的に有名なメーカー企業ですが、どうして転職を考えたのでしょうか?
当時の勤め先では優秀な先輩デザイナーの皆様に育てていただき、良い会社だったので「一生いても良いかも」とも思っていました。じっくりと考え抜いて、完成度の高いサービスを世に出すことでユーザーに喜ばれる経験もしました。そういう物づくりが期待される会社もあると思います。

ただ、個人的に性格がせっかちなので「早くリリースしたい」と思うことも増えてきました。特にアプリだとアップデートができるので、まずは最低限の機能で出してみてユーザーの反応をみながら改良していく進め方もあるのと感じることもありました。

特にそれを如実に感じたのは、海外の展示会に出展したときです。インタラクティブな作品を作って展示したのですが、お客さんたちが想定していない遊び方をしていたんですね。体験した様子をSNSで公開していたんですが、SNSで”映える”ことを想定しておらず、画面越しにみるとパッとしない印象になっていました。開発の時点でユーザーさんとの距離が離れていることを実感した瞬間でした。机の上でできる限りのことはやっていても、実際に使ってもらうまで何が適切かはわからないですね。これをきっかけに違う会社でも挑戦してみたい思ったんです。

■ 数ある企業の中で、転職先をDeNAに決めたポイントはなんでしたか?

もともと大きい会社に勤めていたので、急に規模の小さいベンチャー企業などに入るとスキルセットがマッチしないかもしれないと思い、ある程度組織規模の大きい会社を探していました。

そういった規模の会社の中でも、DeNAはユーザーさんと対面する機会が多そうなことが決め手になりました。会社を探していた際に、Anyca(エニカ)やオセロニアなど各サービスでミートアップを行っていることを知り、コミュニティを大切にしていることが伝わってきて。ビジネスのメンバーはもちろん、デザイナーもエンジニアもお客様に会って、生の声が聞ける機会をつくっていることが魅力的だと感じました。実際にユーザーに会ったデザイナーの話は、とても具体的で説得力があって、自分もこういう知見をもっと広げていきたいと思いましたね。

画像6

予想外のエンタメサービスへの配属。ライバーさんとファンをつなぐイベントのデザインとは

■ DeNAに入社してからは、どういった仕事をされていますか?
最初に配属されたのはライブ配信サービス『Pococha(ポコチャ)』でした。採用されたときに「ユーザーさんの顔が見えるようなサービスをやりたい」と希望したところ、まさに”顔”が見えるPocochaに配属されました。(笑)当時ライブ配信自体がまだ一般的に浸透していない分野だったので、なんとなく怪しいイメージもあってちょっと戸惑った記憶が……あまり知らない世界だったので、不安はありました。

画像2

■ 不安はどのように払拭されたのですか?
チームメンバーが熱意を持って開発に取り組んでいたので、「熱くさせるなにかがあるんだ」と思い、それを探りました。大学時代の同級生が同じチームでデザイナーをしており、彼女には腹を割って不安を話しましたね。そしたら彼女がユーザーさんのことをたくさん教えてくれたんです。「多くの利用者の一人」というくくりではなく、それぞれのライバーさん(配信者)を認識していて、活動を応援していました。自分もちゃんと配信を見始めたら徐々に楽しみ方を理解してきて、「これはいいサービスかも」と思えました。

今はまだ価値が認知されていないPocochaをなんとかして多くの人に分かってもらいたいと思うようになり、デザインもそれを目指すひとつとして色々な挑戦をしていくのが楽しみになりましたね。

■ Pocochaではどのようなデザインの担当でしたか?
私は主にイベントのデザイン担当でした。Pocochaではサービス内でライバーさんたちが参加できるイベントが定期的に行われており、そのイベントで上位に入賞すると特典がもらえます。特典はPocochaのオリジナルグッズもあれば、CMや雑誌の出演権まである幅広いものです。会話のネタにもなるし、ライバーさんとファンが同じゴールを目指して結束を深めるきっかけとして活用されています。

私はイベントごとにオリジナルグッズのデザインをしていました。単純にグッズといっても、グッズを持って配信されることを想定して作らなければならないので、ある意味UIの一部ですね。上位に入賞した人だけが手に入れられる特別感と、画面映えすることを意識して制作していました。他社の配信サービスだとブランド物をプレゼントしていたりするんですが、それではPocochaの中で結束した絆を表すものとして弱いと感じており、あえて買えないオリジナルグッズを用意しています。

画像3

その他にも、オフラインイベントやCMなども制作しました。あまりアプリ開発のデザイナーっぽくないかもしれないですが、サービスには必要なデザインですね。もともと転職するときは引き続きUIデザインをするつもりだったんですが、楽しいからよかったです。(笑)

■ その中でも特に印象深いお仕事はありますか?
年に数回、『ポコランド』というリアルイベントをやっているんですが、それは思い出深いです。会場に上位人気ライバーさんが30名ほど集まって、その場で2時間配信するんです。その会場デザインのディレクションを手掛けていました。

ポコランドのクリスマスイベントのとき、それぞれのライバーさんのファンから手紙が届く企画をやったんです。メッセージをひとつずつパネルにして並べて飾りました。「おめでとう!」「ようやくポコランドに選ばれたね!」などたくさんのメッセージを前にしたライバーさんがそれを見入って、涙ぐんでいて……その状況を作れたのは「やってよかった」と思えたことのひとつでした。ユーザーさんが嬉し涙するサービスって、なかなかないじゃないですか。エンタメならではのエモーショナルな体験設計ができて、印象深い仕事でした。

また、こういったリアルなイベントの場ではユーザーさんからの声を直接聞くことができるので、それを新たなグッズのデザインに反映していっています。

画像4
画像5
画像6

■ 運営側はただプラットフォームを提供するだけではないんですね。
そうですね、私達自身が配信をよく見ているので、かなり思い入れがあります。Pocochaチームに入って最初にびっくりしたのが、よく配信してくれているライバーさんの名前はほぼ全員覚えていることでした。「昨日のAさんの配信みた?」「あのイベントの勝ち方すごかったね!」みたいな感じで、ライバーさんについて沢山話しています。(笑)

開発の際にも、ペルソナとかカスタマージャーニーマップっていう単語が一切出てこなくて、「Aさんのようなライバーためにこの機能が必要」とか、特定のライバーさんきっかけで機能を作り始めることもあります。私もデザインするときに「これAさんは喜ぶかな……?」「逆にBさんはいやがるかもしれない」と想像しながら作ってます。開発メンバーの中でライバーさんひとりひとりのことが共通認識になっているからこそ、進めやすくなっているのかもしれません。独特な開発方法だとは思いますが、実際には存在しないペルソナより具体性があって私はこのやり方が好きですね。

産休前から復職について話し合っているから安心。充実した子育てサポート体制

■ 今後はどんなデザイナーになっていきたいですか?
開発のフェーズによって、スピードを重視される場合と品質の高さを重視される場合があると思うのですが、それを見極めてどちらも柔軟に対応できるデザイナーになりたいです。クオリティに全振りしたものを作り上げたり、逆に一旦リリースしてから改善していったり、その時々で求められているものを判断できるデザイナーでありたいです。

もうひとつは、たくさんのデザイナーが同じクオリティを担保できる仕組みを作れるようになりたいです。いまのやり方だと、開発規模が大きくなるとそれだけ人数を増やさなければならなくなりますが、人数が少なくてもスピードとクオリティをキープしなければならないので。

挑戦したい領域でいうと、医療系、子育て系の分野に興味を持っています。最近親が病気になったり、子供ができたりしたことがきっかけで、「家族」や「暮らし」に目を向けるようになりました。DeNAは横浜関連やスポーツ、ヘルスケアなどの生活を豊かにするサービスも多いので、いろいろやってみたいと思っています。

■ 田村さんは産休、育休を控えていますが、不安なことなどありますか?
DeNAは産休に関しては引き継ぎさえできていれば何も言われないので、そんなに不安はないです。最近の面談でも、「産休明けにはこんな仕事をして欲しい」と言われて、居場所を用意してくれていることをありがたく感じました。出産関わらず社内がリモートワーク体制なのも助かります。

社内にも子供のいる方が多いので、子育て中の方を誘ってオンラインランチ会をして出産や子育ての情報共有をしています。食材の宅配サービスやベビーシッターの情報など、かなり具体的な話が聞けて、先輩ママがたくさんいるのはすごく頼もしいです……!

さらにこれはびっくりしたんですが、人事部でも子供のいる社員との雑談会を設定してくれました。会社全体で手厚くサポートしてくれています。

■ 最後に。デザイナー視点で、DeNAならではの働く魅力があれば教えてください。
どんな社員でもやりたいことを提案して自走できるならやっても良い、という風潮は良いですね。ポコランドでの手紙のアイディアも、私が提案して実行しました。指示を待って作業をするだけではなく、自分で仕事を面白くできます。

また、面談などでよく「Willはなに?」と聞かれるんです。私の場合、「ゆかりのある横浜に関する仕事がしたい」と伝えた結果、最近ベイスターズの関連プロジェクトに配属されました。面談での要望がちゃんと叶えられているのは、自分のことが尊重されていると感じられました。今後もやりたいことを自分から言ったら、それが受け入れてもらえそうで安心感がありますね。自分の興味やスキルに合わせて環境を変化させられるので、面白く仕事を続けられていると思います。



いいなと思ったら応援しよう!