芝居を見にきてくれと言われ行った会場がまさかのSMクラブだった思い出【昔話】
10年以上も前の話だ知人にダンスをメインに活動している人がいた。
今回はお芝居をすると言うので居酒屋で話をすることになった。
以前から「素人の意見でいいので聞かせて欲しい」と言われたので話をしていた。
集客はまずまずだったようだが、「是非また芝居をするので来てくれると嬉しい」となり集客される1人となった。
「会話は一切なく体の動きなどを使い観客に想像させる物だから期待して欲しい」とも言われた。
これは正直かなり客を選ぶ作品に思えた。
観客を呼ぶ側にとってはかなりハードルが高いと言える。
自分は演技中に「言葉を一切使わない」芝居を見たことがない。
それは観客に想像させると言う事になる、物語を受け取るのは観客の精神状態次第なのだろう。色々思いを巡らせていたが見る前から想像しても結果は出ないので考えるのをやめた。
それだけ、「自信」があるのかそれとも、「もうやるしかない」ところまで追い込まれているのかもしれない。
と言う結論で終わらせた。
芝居の内容以外のこと、次の芝居の予定はあるのかとか、次いつ飲みに行くとかスケジュールをお互いにすり合わせながら色々話をし、チケット代を払ってその場は分かれた。
翌日にメールで「入場可能になった」席は確保したとの意味だろう、日付、時間と場所を確認した。
会場の場所がどうやらチラシの背景なっているらしくGoogleマップでそれらしき建物の入り口が見えた。
当日、場所等も確認できたし仕事の終わりでも見に帰るかと思いながら会場に向かったが、到着できない。
住所は間違っていないか何回かもう確認してその近辺を歩いていると半地下になっいる入り口を見つけた。
どう見てもドクロにしか見えないドアのオブジェだったが、芝居の案内プーレトがドアノブに付いていた。
取り敢えず呼び鈴を鳴らすと「チケットナンバーを教えて下さい」と言われ答えると入り口が開いた。
そして、入った瞬間目の前の壁に黒い影がぶつかった。
バチン!!!
「ウエルカム!!」
面食らった。
黒い影はムチの先端だった。
なんと言えば良いのだろう、
とにかく我に帰るために冷静さを保ちつつ正面をみるとボンテージ姿の女性が先程のムチを構えて仁王立ちになり、「左のカウンターで受付をどうぞ」と促してくれた。
ありがとうございます。と伝えると笑顔でどう致しましてと答えて壁面にある「獲物棚」にムチをしまい、先端がすだれ状になっている短いムチを手に取り木馬のような物をそのムチで叩いていた。
ウエルカムのムチをリアルドロンジョ様だと思いながらカウンターを見ると、受付をしてくれるまた別の若めの受付ドロンジョ様が「ようこそでんやまと様チケットは預かりですね」といい、「腕をこちらへ」と右手を掴みスタンプを押した。
「2ドリンクサービスチケット」になりますとドリンクチケットを渡されて奥に進むと、ドリンクドロンジョ様が「何飲まれますか」と言うのでなんとなくラム酒をショットで頼むとチェイサーにビールが付いてきた。
奥にはさらに緊縛ドロンジョ様が人間らしき物を縛っていらっしゃった。
正直に言えば「しまった!帰りたい!」と思ってしまった。とにかく期待しているような笑みを浮かべながら内心「ムチがこっちに振り下ろされるのではないか」などいらぬ心配をしていた。
逃げることもできず、たまに聞こえるムチの音とジャズがなぜか流れる不思議な空間で芝居が開始される迄の精神鍛錬のような時間が流れた。
ラム酒とビールは美味いのが幸いだったので我に戻った。
会場時間になりドロンジョ様達が「皆さまお待たせしました、会場にご案内します」
バチン!!!
会場に着くとムチが唸り音楽が最大り会場が暗くなり芝居が始まった。
どうも、それからムチが不得意だ。
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