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うろおぼえ満洲国 2日目(2018年5月25日)長春市
市内の移動について
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2日目から本格的に市内をめぐっていく。
今では地下鉄が整備されているようだが、私が訪れた当時は公共交通機関といえば軽軌と呼ばれるトラムとバスが主であった。地下鉄がないと外国人観光客にとっては一気に難易度が上がる気がするが、建造物めぐりという性質上徒歩移動が大半なので問題はない。
満洲国をさがして①
長春駅(旧新京駅)
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旅のスタートはやはり長春駅である。
長春は満洲国時代には新京と呼ばれた首都であり、政治経済文化の中心地であった。その玄関口である旧新京駅は、当時の駅舎は残っていない。しかし現在でも国内各地との長距離列車も発着する巨大なターミナル駅だ。
ちなみに長春市の人口は900万人以上あり、東京都レベルの都市が中国にはそこかしこにある。したがって駅の規模も半端ではない。
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満洲国皇宮(偽満皇宮博物院)
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満洲国皇帝であった愛新覚羅溥儀が執務や日常生活を送った満洲国皇宮。日本でいえば皇居ということになるが、後述する地質宮が完成するまでの仮のお住まいである。
ちなみに今後登場する満洲国関係の施設について、本文中では省略するが一貫して頭に"偽"という言葉が付いている。これは中国政府としては満洲国を国家であったとは認めていないため、徹底して偽物の存在であったことを強調している。でもそんなこと言いながら保存してくれてるだけでもありがたいね。
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「紫禁城の黄昏」の著者でもある溥儀の家庭教師レジナルド・ジョンストンも写る。
このような当時の写真が多数展示
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婉容皇后が「皇帝陛下に一万年の栄光を」と乾杯するシーンが印象的
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満洲国文教部
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満洲国文教部、つまり文部科学省のような機関である。現在では東北師範大学附属小学校として利用されている。なんと巨大な小学校か。隣には附属中学校も存在。今でも教育機関として利用しているのね。
満洲国総合法衛部
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満洲国総合法衛部、検察庁のような機関。現在では人民解放軍附属病院として利用されている。
満洲国交通部
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満洲国交通部は、その名の通り交通や電信電話を統括した機関。現在では吉林大学公共衛生学院として利用されている。入口には人獣共通感染症研究の実験室があるようなことが書いてあった。やはり漢字は偉大である。
ちなみにこのあたりで、私と同じように満洲国の建造物巡りをしている中国人のおじさんに出会った。特に会話はしていないが、行く先々で出会うのでおじさんも察していたことだろう。
満洲国経済部
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満洲国経済部も、その名の通り経済産業省のような機関。現在では吉林大学附属病院として利用されている。
満洲国司法部
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満洲国司法部も、その名の通り法務省のような機関。現在では吉林大学医学部として利用されている。附属病院のすぐ向かいにある。
満洲国国務院
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満洲国国務院、満洲国行政の最高機関。満洲国においては結局議会が開かれることはなかったので、国政のすべてを掌握していたようなものである。地下道で新京駅や関東軍司令部と繋がっていると言われる。現在ではこちらも吉林大学医学部として利用されている。
私が写真を撮りに敷地に入った際、卒業のタイミングではないとは思うが、黒衣を着た学生たちが記念撮影していた。カメラを持った私を見て、撮影してほしいと話しかけてきたが、話しかけてから中国人ではないことに気づいたのか困惑させてしまった。しかしカメラの使い方は万国共通なので問題はない。安心である。
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以前は観光客でも内部を見学できたそうだが、見学できなくなったとの事前情報を得ていた。ここでも満洲国交通部で出会った例のおじさんと合流してしまったのだが、なんとおじさんは堂々と扉を開けてずけずけと内部に入っていくではないか。あれ?入って良いのか?と思った私はおじさんに付いて入ってみたが、即座に見つかりおじさん共々工事作業員と思われるおじさんに追い出されてしまった。良い子は真似をしてはいけない。
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満洲国軍事部
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満洲国軍事部、これもその名の通り軍事・軍政を司る陸海軍省のような機関。現在では、吉林大学の先程とは別の医学部附属病院として利用されている。満洲国国務院の向かい、かつ後述する地質宮のある文化広場という公園に面している。
地質宮(満洲国新宮殿)
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先述した満洲国皇宮はあくまでも仮の宮殿であったが、こちらが本来宮殿となるはずであった地質宮である。地質宮とは正式名称ではなく、長春地質学院に利用されていることによる後付けの名称である。戦況の悪化などにより結局この宮殿は満洲国時代には完成せず、戦後になって完成した。したがって溥儀はこの宮殿では生活したことはない。
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豆知識であるが、中華王朝の建築物には屋根の角から伸びる部分(隅棟)に仙人や神獣をかたどった装飾が並んでいる。これらには魔除けや火除けの意味があるそうだが、位の高い建物ほど多く並んでいる。おそらく北京の紫禁城が最も多く並んでいると思うが、この地質宮にももちろん設置されている。ちょっとかわいいので中華建築を見かけた際は探してみてほしい。
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この地質宮の敷地は文化広場という広大な都市公園となっており、長春市民の憩いの場となっている。子供向けの遊具もあり歌謡曲ライブなどのイベント、凧揚げ、ただぼーっとしているおばちゃんなど日夜多くの人が集まる。満洲国の首都であった巨大都市のイメージとはまた違った、この長閑な雰囲気が大変気に入った筆者は、何度かぼーっとするためだけに文化広場へ出掛けた。おばちゃんの気持ちがよくわかる。
北朝鮮レストラン
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夕食は仁風閣というレストランへ。いわゆる北朝鮮レストランであり、北朝鮮政府が外貨収入を得るため中国国内で経営しているレストランだ。
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店内には生演奏・生歌唱の北朝鮮歌謡が流れており、中国人客も曲に合わせて手拍子しながら大盛り上がりしている。やっぱり中国の人も好きなんだね北朝鮮歌謡。日本でも大人気の「攻撃戦だ」は流れていなかったが、「金日成将軍の歌」など超有名曲も聞けて大満足である。
肝心の料理はどれも美味しかった。そもそもお手軽なレストランではないので値段は少々お高いが、それでも日本国内での食事代とそう変わらない。
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諸般の事情により北朝鮮を旅行することは難しいが、お手軽にその気分は味わえるのでお店の雰囲気も併せておすすめ。