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うろおぼえ満洲国 4日目(2018年5月27日)ハルビン市


東方のモスクワ

中国国内でもかなり北方に位置するハルビン市は、冬には大規模な氷雪祭が開催される。札幌雪まつりが思い浮かぶが、札幌は雪像が中心であるのに対し、ハルビンは氷像が中心だそうである。ハルビンと言えばこのイベントなので、最高気温がマイナス2桁という想像を絶する寒さとなるが、国内外から数多くの観光客が訪れる。筆者は5月の訪問なので、ある意味オフシーズンかもしれない。

このハルビン市は、帝政ロシアが清国政府との協定に基づき東清鉄道という鉄道を建設したことによって開発された都市である。そのため、ロシア風の建築物が多く、文化的にもロシアの影響を受けているため「東方のモスクワ」などと呼ばれたりもする。何でもかんでも「東洋の〇〇」だとか「小〇〇」だとか呼ぶ風潮があってどうかと思うけど、ここは由緒正しい。
帝政ロシアによって建設された東清鉄道は、清朝の崩壊、ロシア帝国の崩壊など紆余曲折あったが、そのままソビエトへと継承され、さらに紆余曲折あって満洲国国有鉄道の路線となった。そして南満洲鉄道がその経営を受託した。

夜のおさんぽ

長春と同じ系列のホテル。相変わらず快適

長春からハルビンへは高速鉄道で2時間少々であり、ハルビン駅も市街中心地に近くて便利である。高速鉄道を降りた私はタクシーでホテルへと向かった。
先述の通り私は中国語が話せるわけではないので、いつも紙にホテルの住所をあらかじめ印字して運転手に伝えている。その場で紙に書いても通じる。漢字は偉大である。
住所を見せたのだが、知らないホテルだったのかいまいちピンときてない様子である。どうするのかと思ったら、ダッシュボードにセットされたスマホのチャットアプリで短い音声メモを送信し合って同僚の運転手と連絡を取り合っていた。どうやらこれで住所を確認しているらしい。その後もしきりに音声メモで情報交換している。日本のタクシーのように無線を設置するよりも安上がりで良いかもしれない。

中国とはまた違った異国感
ロシア正教を中心とした教会建築が多い

夜遅かったのでお店などはあまり開いていないが、せっかくなのでホテル周辺を散策する。
少し歩いてみただけでも、中国の他の都市とは明らかに違った異国情緒が感じられる。中国もすでに異国なのに、そこでまた別の異国を感じるのも妙な感覚である。自分がどこにいるのかよくわからなくなってきたな。

余談であるが、海外で夜中に一人で出歩くことはあまり推奨されないものだが、基本的に中国は旅行者にとっては安全である。石を投げればスリか強盗に当たる欧州とは違い、路上はもちろん公共交通機関などでも治安面の不安を感じることはない。それだけ行政権が強力ということだろう。裏を返せば、行政側が明確に禁じていることは旅行者であっても絶対にしてはいけない。

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