ももクロと明治座
「明治座創業150周年記念第2回 ももクロ一座特別公演」
明治座は
明治座は令和5年で開業150周年というバケモノ級の老舗の劇場です。
こんな歴史のある劇場で興行を打つわれらがももいろクローバーZ。
明治座は1,000席規模の大きな会場ですが、普段大きなアリーナや体育館など1万人超の大箱でライブを行うことの多いももクロなので、彼女たちをとても間近に見られる貴重な会場とも言えるのです。
興行初日に観てきた
今回の興行は2年前に開催されるはずが某感染症のせいで興行延期となってしまった劇のリベンジです。
今回は初日に観てきた感想を残しておこうと思います。
玉野栞里こと玉井詩織
今回のももクロ一座座長、主役しおりんの声はマイク乗りがよくてセリフがとても聞きやすかった。
今年、毎月ソロ新曲をリリースしていることで鍛えられた歌唱力は、これまでより一段も二段もレベルアップしていました。
ミュージカルなのでセリフから歌への転換も必要なのですが、それがあまりにも自然で驚きました。
彼女は歌に感情を乗せるのがほんと上手いと思います。
悲しい歌声、覚悟を決める歌声、感情の乗ったロングトーンは今回の舞台の魅せどころです。
口上のひとつ「天使の歌声聞かせてしおり!」がリアルになってきました。
かなやっここと百田夏菜子
朝ドラの時から積み上げてきた夏菜子ちゃんの演技は、もはや本業の舞台女優さんにも劣らない安定感を感じさせます。
今回、たぶん夏菜子ちゃんの役は当て書きの脚本だったと想像するのですが、彼女は本広監督の意図を超えた かなやっこを作り上げてきました。
セリフの緩急、細かい動きや立ち位置への移動など、いちいち目を惹くのは私が赤推しだからという理由だけではないはず。
しおりんと二人で絡むシーンが多いのですが、このペアなら壇上でアクシデントが起こってもお互いにフォローが効くので大事な場面でも安心して観ていられます。
さあやこと佐々木彩夏
あーりんはどの一瞬を切り取っても足先から手の先まで気を抜いていないように見えました。それはどのステージでも一貫しているあーりんの凄さなのですが。
彼女はいつものライブMCでもモノノフが一番欲しいと感じている言葉を一番のタイミングで吐くことのできる天才だと思っていますが、それができるのは場の空気をしっかり俯瞰でみることができるからなんでしょうね。
今回も場面ごとに演技の強弱をコントロールしているように見えました。
主役を引き立てる芝居を最優先にしながら、その実しっかりあーりんしてるという。
おれんこと高城れに
れにちゃんは芸人永野さんとのお笑いライブのときのような狂気は見せず、劇中の劇団の裏方役をうまく演じていました。
劇団の胃袋を支える料理番という役ですが、「れにちゃん、料理できるのかな」と思ってしまうのは彼女に対して失礼かしら(笑)
しかし、透明感のある声は彼女のストロングポイントで、セリフでも歌でも他の共演者に埋もれることなく「抜けて」聞こえてきます。
この声は持って生まれた才能だと思います。
一座を支える共演者のみなさん
(劇中の劇団の)座長、大友康平氏の生FFの熱唱が聴けたのはとてもありがたかった。
学生の時、武道館でライブ会場警備のバイトをしていて何十回も聴いたハウンドドッグのFF。
「愛が、すべてさ」迫力に飲まれ、警備バイト中に聴き入ってしまって何度もバイトチーフに怒られたのは若かりし頃の思い出です。
オラキオさんは前回同様ももクロ一座のアクセントとしてなくてはならない存在です。
今回もしっかり観客に「ここ笑っていいところですよ〜」というガイダンスをわかりやすく伝えてくれています。実にありがたい。
彩羽真矢さんは、舞台で凛とした立ち姿がすごく美しく、すごい女優さんなんだろうなと思ってみていました。
終演後に調べたら元宝塚のトップスターの方でした。
すごく目を惹かれる「The舞台女優」これから推していきたい。
二部はがっつりライブ
幕間の休憩をはさんで二部のがっつりライブでは、声援・コールが本当にすごかった。
私は今年のももクロライブにも何度も参加していますが、モノノフの側も直近2年間に抑圧されていた反動があるように感じます。
今回も歌声を聞き取りにくくなるほどのコールの音量だった。外を歩いている人にも音漏れが聞こえるんじゃないかなと思うほど。
隣席のおそらくももクロのライブを初めて観られるであろう方の最初の驚きっぷりと、雰囲気に巻き込まれていくまでの過程が本当にリアルでした。
途中のトークコーナーで
ライブの途中、共演者からの質問に答えるコーナーがありました。
「ももクロメンバーは疲れることがないのか」の質問に、しおりんが「稽古後など身体はクタクタになることもあるが、ココロは疲れない」の答え。
ずっとももクロを見てきたモノノフなら彼女たちがスタミナお化けであることを知っています。
しかし、今回の劇ではいつものライブとは違う意味でで大変な努力をして(そして結果を出して)きたことがわかるだけに、この答えには多くの客が感動したのではないでしょうか。
第二部が終わって
緞帳が降り、規制退場のアナウンスが始まっても鳴りやまない拍手。
警備担当の長谷川さんが最前列で両腕をクロスしてバッテン印を出して舞台下の上手から下手にかけてアピール。
諦めて退場の準備をし始めたところで、彼女たちがカーテン前に再登場。
観客の大歓声と拍手に迎えられたのは言うまでもない。
座長の玉井さんからの挨拶に巻き起こるしおりんコール。
会場の一体感最高でした。
舞台袖からももクロ名物マネージャーの川上さんが、警備長谷川さんに「ごめんね」のジェスチャーをしていたのがとても面白かったです。
川上さん、いつも観客の望みを叶えてくれようと考えてくれるんですよ、ありがたい。最近忙しそうですが、ももクロの現場には絶対必要な方です。
ありがとうアニキ。これからもよろしくおねがいします。