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旅の中で最も良い写真が撮れる瞬間

旅が終わり、いよいよ帰路について日常に戻りかけたとき

楽しかった旅の終わりを寂しく思う瞬間は、誰にでも訪れたことがあると思う。

親が運転する車の中で微睡ながら、いつもの電車に揺られながら、夕暮れの新幹線のけだるい雰囲気の中でボーっとしながら…

そのどうしようもない切なさが漂う時間こそが「旅の中で最も良い写真が撮れる」瞬間だと思っている。

寂しく思うのは、旅が良いものであった証拠

旅慣れるとどうしても身軽になるし、景色や食事の写真も何枚も撮らなくなっていく。荷物が増えれば片付けが大変だし、写真を多く撮ればデータを整理するのも大変なので、次の旅を考えるとどうしても効率的にならざるをえないからだ。

とはいえ外に出るのは楽しいし、帰るときは寂しい。

寂しさ、つまりその旅を惜しく思う気持ちこそが、最後に美しい景色があることを教えてくれるのである。

帰り道の車窓から見た、雨上がりの天使の梯子
バスからのブレブレの写真。日没があまりに綺麗だったので構わず撮った。
雲×夕日はいつも目を奪われる。手前を横切るような雲と電線もいい味を出している。
昏い紫と黄色、そして白い月のコントラストがあまりに綺麗すぎた。

これらは帰り道に撮った写真の一部だが、どれもなんてことない普通の場所で、周りの人は当たり前にカメラなんて構えてなくて、よく見るとピントが合っていなかったり反射が写っていたり…といった、いわゆる”映え”などはないはずの写真ばかり。

でも「寂しいなあ」という気持ちと「ああ、綺麗だなあ」という気持ちが合わさった瞬間にシャッターを切った写真であることは確かで、私にとってはなによりもその事実と共に大切にしたい景色だったりする。

寂しければ寂しいほど、景色はよりセンチメンタルで美しく目に映る。その瞬間に気付くことができて、それをカメラに収めることができたなら。

あのどうしようもない気持ちを写真に託して、次へ向かうことができると思う。つまり、なんてことない場所で景色を撮るためにカメラを構える女がいても、あまり奇異な目で見ないでほしい、ということだ。


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