一人で気ブックトークトーク【テーマ:ハンセン病】
『北条民雄全集』(岩波書店)川端康成に認められた「いのちの初夜」をはじめとした物語、童話、手紙などが掲載された一冊。戦前におけるハンセン病の扱われ方、療養所での生活に触れることができる。療養所内で、社会からの差別と日々の生活の苦しさに、読んでいて苦しくなる。
特に、療養所で過ごす子供の様子が描かれた「望郷歌」と、童話「すみれ」が印象深い。閉ざされた世界の中で生きていくしかないという覚悟。「すみれ」は、おじいさんが息子に会いに行こうと、共に過ごしてきたすみれの元を離れることを