「仮名加工情報」の定義
「仮名加工情報」とは、個人情報を、その区分に応じて次に掲げる措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工して得られる個人に関する情報をいう。
(1) 法第 2 条第 1 項第 1 号に該当する「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」である個人情報の場合
当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること
(2) 法第 2 条第 1 項第 2 号に該当する「個人識別符号が含まれる」個人情報の場合
当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること
(この措置を講じた上で、まだなお法第 2 条第 1 項第 1 号に該当する個人情報であった場合には、同号に該当する個人情報としての加工を行う必要がある。)
「削除すること」には、「当該一部の記述等」又は「当該個人識別符号」を「復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む」とされている。
「復元することのできる規則性を有しない方法」とは、 置き換えた記述等から、置き換える前の特定の個人を識別することとなる記述等又は個人識別符号の内容を復元することができない方法である。
なお、法において「特定の個人を識別することができる」とは、情報単体又は複数の情報を組み合わせて保存されているものから社会通念上そのように判断できるものをいい、一般人の判断力又は理解力をもって生存する具体的な人物と情報の間に同一性を認めるに至ることができるかどうかによるものである。
仮名加工情報に求められる「他の情報と照合しない限り 特定の個人を識別することができない」という要件は、 加工後の情報それ自体により特定の個人を識別することができないような状態にすることを求めるものであり、 当該加工後の情報とそれ以外の他の情報を組み合わせること によ って特定の個人を識別することができる状態にあることを否定するものではない。
仮名加工情報を作成するときは、法第 41 条第 1 項に規定する個人情報の保護に関する法律施行規則(平成 28 年個人情報保護委員会規則第 3 号。以下「規則」という。)で定める基準に従って加工する必要があり、法第 2 条第 5 項に定める措置を含む必要な措置は当該規則で定めている。
(仮名加工情報の作成に必要な加工義務については、 2-2-2-1(仮名加工情報の適正な加工)参照)
【条文】
法第 2 条(第 5 項)
5 この法律において「仮名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいう。
(1) 第 1 項第 1 号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること。
(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)
(2) 第 1 項第 2 号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること。
(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)
法第 2 条(第 1 項)
1 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
(1) 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第 2 号において同じ。)で作られる記録をいう。 以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
【上記、条文の整理】
(1) 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
・文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された、個人識別符号を除く一切の事項をいう。
・他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。
(2) 個人識別符号が含まれるもの
法第 2 条(第 2 項)
2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。
(1) 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
(2) 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの
法第 41 条(第 1 項)
1 個人情報取扱事業者は、仮名加工情報を作成するときは、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないようにするために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、個人情報を加工しなければならない。
個人情報保護法ガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)(PDF : 492KB)
2-1-1 仮名加工情報(法第 2 条第 5 項関係)より引用
【その他の用語の定義は?】
以上です。