映画を観た記録28 2024年1月28日 マルガレーテ・フォン・トロッタ『ハンナ・アレント』
市民主催の映画祭でマルガレーテ・フォン・トロッタ『ハンナ・アレント』を観る。
イスラエルがアイヒマン裁判したことにより、西ドイツの反省がイスラエルに奪われてしまったのである。
その結果、ハンナ・アレントの真摯な善悪についての思考が、非難されてしまうことになってしまうのである。
本作品は、アイヒマン裁判をニュースフィルムで挿入し、そのニュースフィルムをハンナ・アレントを観て、傍聴記録を書くのである。
ニュースフィルムには、アイヒマン本人が写され、アイヒマンは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
判決は、絞首刑であり、アレントは当然だと受け止める。そのアレントは、アイヒマンを凡庸な悪と表現するのである。
アイヒマンを俳優が演じるのではなく、ニュースフィルムを使うことで、悪は後世に残るのである。
ちなみに、本作品にはスピルバーグの名前がクレジットされている。彼はユダヤ人であることに強いアイデンティティを持っているから、本作品になんらかの協力をしたのだろう。