産学連携で、ハイブリッド型の研究開発シーズを育てるには
企業の事業活動のニーズから生まれた研究開発シーズは、商品やサービスの開発に必要な技術や知識を取得することが主な目的となります。つまり、企業が自社のビジネスを拡大するために必要な技術や製品を開発するために、研究開発を行うことが多いです。
一方、大学の研究から生まれた研究開発シーズは、学術的な問題解決や新しい知見の発見が主な目的となります。つまり、大学の研究開発は、社会の問題解決や学問の発展を目的としたものであり、企業のビジネス展開とは直接的な関係がありません。
また、企業の研究開発は、商品やサービスの開発に必要な技術や知識を短期間に取得する必要があるため、開発期間が比較的短く、成果が早期に出ることが求められます。一方、大学の研究開発は、時間をかけて綿密な調査や実験を行い、長期的な成果を目指すことが多いです。
以上が、企業の事業開発における研究開発と大学の研究における研究開発の違いですが、どちらが良いというのではなく、うまく掛け合わせることが必要だということです。
うまく掛け合わせるということは、良い出口戦略を持ったプロジェクトを組成するということであり、プロジェクトを投入するにあたっては、資金、知財・技術・ノウハウ、データ、生産環境、ブランド、販路、フィールド(拠点)、ビジネスネットワーク等をベストコーディネートし、「プロジェクト・アセット化モデル」を構築することが必要になると考えています。特に、ヘルスケア分野においては、その必要性は非常に高いと私は考えています。
それでも、枯れるプロジェクトもあれば、花が咲くプロジェクトもありますね。ヘルスケア分野における産学連携支援の難しさは、こんなところにありますが、大学の産学連携本部の多くのコーディネーターはこのことにまだ気づいていないような気もします。従来の工学部で展開してきたような産学連携モデルでは、医療ど真ん中モデルではできても、健康・暮らし・介護等の分野では事業化することはできません。
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