【21/22 プリマベーラ 第22節】サンプドリアU19×ユベントスU19
2022年3月6日、昨季カンピオナート・プリマベーラを1位で終えた、今最も勢いのあるチームの一つであるサンプドリアU19との試合は、ユベントスU19がポーケル(4得点)のゴール祭りで勝利した。
この結果、ユベントスU19は5位から順位を一つ伸ばし4位に浮上、優勝を決めるプレーオフ進出に近づいた。
しかし、2位インテルが勝ち点39、8位アタランタ が勝ち点33と、プレーオフ進出圏内(6位以内)付近は僅差の激戦区となっており、油断は許されない。
U23を唯一持っているユベントスのプリマ事情
イタリア勢で唯一UEFAユースリーグに駒を残せているユベントスU19。
U23に飛び級登録されたスーレとミレッティを欠くチーム状況のもと、UEFAユースリーグと国内リーグの二刀流が要求されている。
そもそも、ユベントスはセリエAクラブでBチーム(U23)を持つ唯一のクラブ。
今季、本来各U19クラブでの最年長クラスにあたる2002年生まれの選手たちは、ユベントスでは全員U23に籍を移しており、実質的に他クラブと比較すると最年長クラスがいないユベントスU19はU18とする方が正しい状況にある。
他クラブに倣うなら、2003年生まれのスーレやミレッティはもちろんながら、本来であれば、2002年生まれのダ・グラカやンテンダ、デ・ヴィンテル、セクロフなども今季ユベントスU19の主力としてプレーしていても全くおかしくないのである。
メンバーリスト
ハイライト
MVP
アーザ
アシストやゴールこそ記録していないものの、豊富な運動量でフル出場を果たし、自分に任されたタスクをしっかりと処理できていたアーザをこの試合のMVPにしたい。
アタッカーとしてキレのあるボールタッチと周りを活かすプレーを得意とするアーザ。
決して身長は高くない(むしろ低い)ものの、U19レベルのフィジカルコンタクトであれば背負うプレーもお手のもの。
ムラッツィ、イリング、キボゾといったスタメンで出場したアタッカーが軒並み交代していったなか、唯一攻撃陣でフル出場を果たしたことも、監督から欠かせないピースとして計算されていたことの証左であろう。
サンプドリアU19
個々の質は高いものの結果的には大崩れ
近年最も勢いのあるU19の一つであるサンプドリアU19は、ダブルボランチのYepesやBontempiといった実力派を揃える本来なら強固なチームで、個人の質はかなり高いレベルにある。
しかし、この試合ではユベントスU19に対して有効的な攻撃を仕掛けることができず(得点もユベントスU19のイージーミスから)、満足する試合運びをすることができなかった。
特に1-1の状況から6分間で3点も許してしまった70分〜80分の時間帯では、失点ごとにグダグダの状況を作ってしまった。
ユベントスU19
キボゾとムラッツィ
今季攻撃の軸を担うのは、キボゾとムラッツィである。
どちらもスピードと敏捷性に長けた切れ味のあるアタッカーであり、今季キボゾは27試合13ゴール6アシスト、RB登録のムラッツィは22試合6ゴール5アシストを記録している。
CFとして攻撃の主軸になるはずだったトゥルコは負傷で長期離脱を強いられており、長身チェッリは今季ハマっているとは言えず、インテル戦で戦犯級の退場をして以降プレー機会に恵まれない。
キボゾは調子に波があるタイプで、効果的に仕事ができている時間帯とそうでない時間帯の差が激しい。
露骨にボールロストが多くなったり、相手DFに完全に消されてしまうシーンも少なくない一方で、重要な場面で決定力の高さを見せてゴールを奪ってきた。
ムラッツィはキボゾほと波のある選手ではなく、RB登録なだけあって安定感のあるタイプ。
両サイドでの起用が可能なサイドアタッカーで、まさにカンセロに例えるのが妥当な選手。
彼がいるといないとでは戦術の選択肢数に大きな差が生まれる。
シェクララツの起用法
ここ最近で徐々に明らかになってきたのが、シェクララツの起用法である。
(たぶんこれに関しては相当U19を見ている方にしか伝わらないと思う)
スーレと同時期の19/20シーズンにスイスからユベントスU17に加入したシェクララツ。
昨季ユベントスU19に登録されると、当初はスーレがそうだったようにアタッカーとして計算されていたものの、ユベントスU19の豊富な攻撃陣を前になかなかチャンスを掴むことができず、サブメンバーとして過ごす時間が長かった。
スーレやダ・グラカ、セクロフなどがU23に移行した今季もアタッカーのファーストチョイスはキボゾやムラッツィであり、ストライドンクやソルベルグ、ムバングラ、マレッサ、アーザなどやはりアタッカー過多なチーム陣容を前に、シェクララツは効果的な起用法が確立されなかった。
そこで見出されたのが、中盤へのコンバートである。
もともとFWであるのでプレッシャー耐性は問題なく、彼の味方を活かすことを第一に考える献身性をボナッティ監督に買われ、セントラルにコンバートされた。
中盤はピザピアやドラティオット、レドンネが負傷離脱中であり、オミッチもUEFAユースリーグ・ベスト16でレッドカードを貰いベスト8出場停止なので、このコンバートは合理的な判断と言える。
このシェクララツと同じルートを歩んだのが、今季セントラルでプレーする10番ボネッティである。
もともとストライカーとしてプレーしており、ユベントスU17では15試合で5ゴール2アシストを記録したボネッティ。
彼もシェクララツと同じく豊富な攻撃陣のあおりを受け、ポジションを下げて中盤でプレーすることになった。
ただ、このコンバートは正直成功と断言できる。
現在、負傷者が相次ぐ中盤を支えているのは他でもないボネッティであり、UEFAユースリーグ・ベスト16でもチームの勝利に貢献した。
シェクララツも、これからボネッティのようにポジションを変えることになっても腐らずにチームに貢献してほしい。
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