ジーンズに穴があいた。
もう長年履いているジーンズの膝上部がぽっかりと口をあけてしまった。若い頃ならダメージジーンズもそれはそれで好きだったのだが、齢60歳も過ぎてしまうとダメージジーンズ即ちダメジイになってしまうことは目に見えている。お気に入りの1本なので処分するには忍びなく、どこかにSTONESのワッペン(あのベロの!)があったはずだと思っていると、ツマが「STONESは見当たらないけれど吉田拓郎があった」と持ってきたので「おお、これでもいいか」と即採用。ツマの手を煩わせるのもなんなので、スーパーで発見した裁縫不要貼るだけの簡単手芸的なチューブを試してみた。何度か履いたが、まだ剥がれることなく持ちこたえている。よしよし。
ジーンズと付き合いだしてもう半世紀。毎日がオフになった今はほぼジーンズで、もうこれ以上落ち着くスタイルはない。学生時代はラッパ、スリム、オーバーオールと変遷し、結局はオーソドックスなストレートに行き着いて今に至っている。ストレッチ系は試してみるもののいまだに何だか心許なく、ゴワゴワしたトラディショナルな生地がいい。街で老若男女を問わずかっこいいジーンズルックを見かけると「ああ、いいなあ」と思うのだが、こちとらはあの頃のスタイルはどこへやらの無残な体型。とブツブツ言っているが、オノレはさしたるシャレオツでもなく製品へのディープなこだわりや知識も持ち合わせてはいない。それでも「ジーンズを履く」ということが大げさにいえば、もはやidentityを保つための重要な行為の一つになっているような気がする。
見出しのイラストは「つめだえん」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。