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あの頃、映画館で(11)~「チャンス」から「ナチュラル」

20代までに観た映画のプログラム、整理ついでに始めてしまった11回目。ぱらぱらとページをめくりながぶつぶつ呟く。

「チャンス」(アメリカ映画/1981年日本公開)
ハル・アシュビー監督、製作は1979年。ピーター・セラーズ主演。数十年も屋敷から出たことのない庭師が主人の死から生れて初めて街に出る。手にはそれが彼の唯一の楽しみだったテレビのリモコンを持って。ハル・アシュビー監督の作品は「さらば冬のかもめ」や「ウディ・ガスリー/わが心のふるさと」「帰郷」などやさしく切なく機知に富んでいる。イエールジ・コジンスキーというポーランド人作家の小説「庭師 ただそこにいるだけの人」(出版当初は「予言者」)をベースにコジンスキー氏自らが脚本を書いた。「庭師 ただそこにいるだけの人」だったら岩波ホールあたりでかけられそうだ。

「チャンプ」(アメリカ映画/1979年日本公開)
フランコ・ゼフィレッリ監督作品。落ちぶれたかつてのボクシングの世界チャンピオン(ジョン・ボイド)。競馬場の厩務員として働きながらトレーニングには余念がない。そんな父親を「チャンプ」とよび尊敬する一人息子(リッキー・シュローダー)。そこに今は富と名声を手に入れた元妻(フェイ・ダナウェイ)が現れ・・・。これはもう名優2人を押しのけてリッキー・シュローダーの演技につきる。いい映画です。

「追憶」(アメリカ映画/1974年日本公開)
シドニー・ポラック監督作品。政治には無頓着なイケメンの大学生(ロバート・レッドフォード)とクラスメイトで政治に目覚めた活動家(バーブラ・ストライサンド)。ふたりの第二次世界大戦をはさんだ20数年にわたる愛の姿を描く。重厚でしっかりした作りのラブ・ストーリー。シドニー・ポラック監督はこのプログラムで「若手映画監督として、最も将来性が期待されている1人」と紹介されている。このあと「コンドル」「スクープ悪意の不在」「トッツィー」などを世に送り出すことになる。

「追憶」のプログラムからはらりと出てきたのがジョディ・フォスター出演「ダウンタウン物語」のチラシ。「新春第2弾ロードショー」有楽町そごう側スバル座なのだ。

「時をかける少女」(1983年公開)
説明するまでもない原田知世主演、大林宣彦監督の「尾道三部作」のひとつ。「読んでから見るか見てから読むか」ほぼ映画を見てから読むということはなかったのだが、この角川映画は観てから読んだような気がする。そして筒井康隆の文庫本がひたすら増えていったような。

プログラムに掲載の広告。原田知世この時15歳。1981年の「君は天然色」から天然色が時をこえて再びトレンドワードに。

「ナチュラル」(アメリカ映画/1984年日本公開)
バリー・レビンソン監督作品。ロバート・レッドフォード主演。夢の実現のためネブラスカの田舎町を出た天才野球選手。その途上で彼に不幸が襲いかかる。それから16年、35歳にしてメジャーの舞台に彼は突然姿を現す・・・。物語を織りなす数々の女性とのエピソードも、レッドフォードだから脇が甘かろうがそれでいいのだ。

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