「WALK ON THE EDGE」陶芸家・和田均展
陶芸界のホープというか今や日本を代表する陶芸家の一人という和田均(わだあきら)氏の展覧会へ。会場は地元の佐倉市美術館。小規模ながら興味深い企画も多く、年数回足を運んでいる。陶芸はあまりなじみがなく、旅先で時折立ち寄ったりする程度なのだが、この展覧会はちょっと気になっていた。なんてったって「WALK ON THE EDGE」なのだ。ちなみに和田氏は千葉市生まれで現在この佐倉市に工房を構えている。陶芸を産業としていない佐倉で陶芸家を志すことは、数々の約束事から自由でいられるという利点があったという。
エントランスを入ってまず出迎えてくれたのがとぼけた顔のこけしと思いきや「ようこそ」と名付けられた大きな香炉。いきなり脱力の「WALK ON THE EDGE」なのだ。
その対面にはビーナスの誕生、ではなく和田氏の作品シリーズ「ふわふわ」誕生の瞬間?「マスターピース」とあるのでその頂点に君臨しているのが君なのか。触りたくなるのをぐっと我慢。
「屋外にも作品がありますのでぜひそちらから」と案内される方へ行くと大小の石が所在なげに置かれている。「弥次郎さんとの思ひで」というらしい。弥次郎さん、誰?
直線と曲線が織りなすシャープな彫刻的造形が作品の特徴だという。間近で見れば陶芸特有の質感はもちろん伝わってくるのだが、いくつかの作品はぱっと見さながら紙細工のようだ。もちろん揶揄しているのではなくその錯覚が面白い。白磁をベースとしたその作品群を見て回りながら、色って一体なんだろうと考える。
エントランスにあった「ふわふわ」の子分たちのスペースもある。色とりどりのオブジェは座ったり触ったりも自由。野外展示の時は実際に子どもたちが乗ったりはねたりしていたらしい。一休みは白い世界から一転、カラフルな異世界で。陶芸というと身構えてしまう人には、こんな作品たちから入っていくのもいいんじゃないだろうか。