未曽有の猛暑はとどまるところを知らない。すでに脳は溶け出してはらほろひれはれとなっている。本なんか読んでもちっとも頭に入らねえ。
ところで新潮文庫ってのは現存する日本で最古の文庫ということで、何だか他の文庫本より少しだけ偉そうである。偉そうな理由のひとつにあのしおり紐があると思うが、これが悔しいことにわりと好きなのだ。時々レシートなんかでしおりの代用をすることがあるが、しおり紐はふとしたはずみに落ちてしまうこともなく何よりスマートだ。新潮文庫を買うと読む前にまずたたまれた紐を尻尾のようにひょいと出しておくのが作法である。
「新潮文庫の100冊」といえば「インテリげんちゃんの、夏やすみ。」なのだ。広告制作のようなものをやっていた80年代の糸井重里のこのコピーは、夏が来るたび思い出すマイ季語として確立している。げんちゃんのイメージキャラクターは何と若き小林薫。「青天を衝け」のとっさまが麦わら帽子に釣り竿を担いでいた頃、かっさまはまだ風鈴の下で「うまいんだなっ、これが」と言ってはいない。
蔵書リストを眺めてみると300冊近くは新潮文庫があった。やっぱりそこそこはあるもんだ。ということでその中からマイ100冊。例によって?よくワカラナイ。
見出しのイラストは「本田しずまる」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。