絵を描くひとびと。
地元の美術作家の作品が一堂に会する展覧会が佐倉市立美術館で開催されている。友人が出品していることもあり、定例会などを含めここ数回観覧させていただいている。2フロアを使い公募、審査を経た入選作品が200点近く展示されているので、なかなかに見応えがある。
しかし絵を描くということはどういう事なのだろう。制作の多くはいく日もいく月も、あるいはいく年もかけて人々の目に触れるようになるわけで、こうして伊右衛門ほうじ茶を飲みながらいい加減な戯言を打ち込んでいるのとはワケが違う。日々の些事大事を抱えながら長い時間カンバスに立ち向かうというのは、寄り道目移りつまみ食いで時を費やしている自分には到底できないことで、それだけで感服の至りなのだ。
その人の心象や生活史が垣間見える(勝手な想像ともいう)のは、作品を身近にする不可欠な「ほころび」だと思う。とりわけこういう市井の人々は、個々のバックボーンを全く知らないだけに、そこを見つけるのはことのほか愉しい。みんな何を思い、何を伝えたくて(あるいは隠したくて)絵筆を握っているのだろう。
時代性や批評性に富んだ作品はあまり見当たらない。低刺激でやさしい空間だ。「憂き世」を活写したものなどはあまり歓迎されないのかな。