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あの頃、映画館で(10)~「第2章」から「タンポポ」

やっと掘り出した映画のプログラムを50音順に整理。その中から20代(1980年代)までに観たものを思い出しつつ余計なことを考えながらゆるゆると。これでようやく50冊。

「第2章」(アメリカ映画/1980年日本公開)
ニール・サイモン脚本の大人のラブストーリー。ー「グッバイガール」のスタッフがまたも傑作を生み出しました。ーとプログラムにある。両作品とも観ているということは、この頃ニール・サイモンという脚本家に関心があったのか?心のうちに分け入ってみようとも全く思い出せない。あれから40年余、今この映画を観たら何か響いてくるものがあるのかどうか。「第2章」はとっくの昔に過ぎているはずだし。

「台風クラブ」(1985年公開)
亡き相米慎二監督作品。東京近郊の中学校を舞台に台風がやって来る前後、木曜日から月曜日までを描いた青春映画、なんて爽やかで薄っぺらくはない。大人への脱皮の仕方もよくわからない中学三年生が直撃する台風に触発されるかのように内なる狂気を爆発する。豪雨の中、彼ら彼女らが校庭で踊り狂うシーンは言葉を圧倒的に凌駕する。ベルトリッチ監督も称賛の名作。

ロケ地は長野県佐久市の中学校。在校生もエキストラ参加していたがその内容から予定していた完成記念上映会は中止になったそうな。学校はこんな映画だとは思っていなかったんだろう。つまんない人たちであります。

「ダウン・バイ・ロー」(アメリカ映画/1986年日本公開)
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」に続いての観覧。「ダウン・バイ・ロー」とは「勝手に生きていけるアウトロー」あるいは「たよりになる仲間」のスラング。刑務所で出会った3人が脱獄しておかしな旅が始まる。観客はモノクロームの道中を時にニヤニヤしながら近寄りすぎることなく付き合っていけばいい。これがなかなか快適なのだ。トム・ウェイツの初主演作品。

「タクシードライバー」(アメリカ映画/1976年日本公開)
マーチン・スコセッシ監督(プログラムでの表記は「マーチン・スコルセーセ」)監督作品、ロバート・デ・ニーロ主演。14歳のジョディ・フォスターが売春婦の役で出演。カンヌ映画祭グランプリ。ニューヨークの街を流すタクシードライバー。麻薬・ポン引き、娼婦、そして大統領候補者・・・彼が狂気に誘われていく過程が克明に描かれる。全編に漂う当時のニューヨークの虚ろな姿が印象的。

「タンポポ」(1985年公開)
「これはラーメンウエスタンだ!」と表紙で宣言している。「お葬式」に続く伊丹十三監督作品。この頃、監督で映画を観たといえば伊丹十三とジム・ジャームッシュだった。売れないラーメン屋を救うカウボーイハットの男、現れる与太者たち、やがて始まる食をめぐる狂宴。改めてプログラムを開いてみると、ストーリーにあたるページが見当たらない。代わって豪華出演陣のコメントがずらり。主演の山崎努、宮本信子から渡辺謙、大友柳太郎、岡田茉莉子、役所広司、藤田敏八、大滝秀治、津川雅彦・・・。精神分析の岸田秀曰く「”タンポポ”はポルノ映画です」。食の四十八手が堪能できます。

役所広司「生ガキ、もうイや!」黒田福美「エビでくすぐってもらっちゃった」高橋長英「まだチック症が直んないよ」プログラムには美術や料理スタイリスト、衣装、録音など多くのスタッフの方の声も掲載。

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