ハンカチの木、あるいは幽霊の。
ハンカチノキが花を咲かせているというので千葉市都市緑化植物園へ。ちょうどひと月前に訪れた時に比べ、木々はすっかり全開の新緑になっている。園内を歩き数人が立ち止まっているところに行ってみると案の定うわさのハンカチノキ。ひらひらと白い衣装を身につけていくつもぶら下がっている。花を囲む2枚の苞葉と呼ばれる部分がハンカチに見えることからつけられた。原産は中国・四川省および雲南省付近。ジャイアント・パンダの発見者としても知られるダヴィッドさんというフランスの学者がその存在を世に知らしめたらしい。時は1860年代、牧野富太郎はまだ10歳にもなっていない。
その形状から「幽霊の木」「鳩の木」とも呼ばれるが、この日本ではどうやら「ハンカチの木」が一般的なもよう。個人的には「ハンカチ」よりも「幽霊」に軍配を上げたいのだが、ヤナギという強敵がいるのでその座は譲らざるを得ないのかも知れない。苞葉が夜になると光を発し暗闇でひらひらと踊っていたら、旅人は荷物を放り投げて一目散に逃げ出すような気がする。それを見て苞葉は木から離れ、一反木綿となって追いかけてくるのだ。
近頃は日本各地で栽培され、その姿を見ることができる。「またの名」を知ってすっかり枝に揺れる幽霊の姿が出来上がってしまったが、花言葉は「清潔」だそうで、ハンカチの優勢はどうやら盤石らしい。
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