ごっくん馬路村
大学時代の恩師から今年も「馬路村のゆず」が送られてきた。かれこれ20年くらいになるだろうか、中元(勤め先でそういう厄介な慣習はなかったので、文字通り親しい人のみ)代わりに露地物の枇杷をお贈りしたところ、このユズ飲料を送っていただいたのが延々と続いている。近頃はご本人も体調を崩し電話に出られないため、もっぱらパートナーの方に対応していただいているのだがありがたいことこの上ない。
馬路村は高知県の山間部にある人口わずか700人足らずの小さな村。幾度の合併話を乗り越え独立を保っている稀少な自治体だ。わが小庵がある高齢化進む「ご町内」の人口が2000人余だから、その規模の小ささたるやにわかには想像できない。
この自治体の経済を支えているのが、ユズの加工品。自治体ばかりか農協も単独での生き残りを図り、そのブランド化に成功した。1980年に3000万円ほどだったその売上高は、1993年に10億円を突破、インターネットでの通信販売が軌道に乗った2005年には30億円に達するという成長を遂げた。品目はドリンクに始まり入浴剤化粧水などバラエティに富んでいる。恩師は当時画期的ともいえる馬路村のこの試みを積極的に応援したかったようなのだ。
そんな馬路村でも他市町村同様、人口の減少にどうやって歯止めをかけるかは当然ながら喫緊の課題。今年若年減少率が50%を切り「消滅可能性自治体」リストから脱却したらしいが、なんせ母数が圧倒的に少ない。いつまでこの灯火を絶やさずにいられるかどうか。
さて、毎年送っていただいているのはユズ飲料の詰め合わせ。親分格の「ごっくん馬路村」はユズとはちみつだけを使った添加物不使用のドリンク。「ゆずの村 ゆずドリンク」は「ごっくん」よりも少し濃いめ。そして忘れちゃいけないご当地の偉人「おーいりょうまごっくん 飲まんかえ」は「ごっくん」のペットボトルタイプ。暑い夏にさわやかなユズの酸味とはちみつの甘さが、ごっくん旨し。