見出し画像

次なる舞台は新規事業。最年少執行役員の信念と展望

オンラインとオフライン両面での豊富な経験を活かし、配達代行事業を牽引してきた森山さん。2024年6月からは新規事業部門の本部長として、次世代の出前館を形作る新規事業の創出に挑みます。29歳で最年少執行役員となった森山さんの歩みや仕事観、新規事業領域における挑戦について伺いました。

森山 海太
執行役員|戦略事業開発本部 本部長
2015年に新卒で商業デベロッパーに入社。本部と店舗で自社スマートフォンアプリのサービス企画や利用促進などを担当。2019年にLINEへ転職し、EC向け広告ソリューションの営業などを経験。2020年より出前館に出向、その後転籍し、シェアリングデリバリー本部で配達代行事業の戦略立案・実行をリード。2021年に部長、2022年に本部長に就任。2024年6月より、戦略事業開発本部の本部長へ。


小さなビジネス・地域のビジネスを活性化させるために


── 出前館にジョインする前のご経歴について教えてください。

新卒で入社したのは、商業施設を運営する会社でした。最初の配属は、スマートフォンアプリの企画・開発を担当する部署で、プロダクトマネージャーのような立場を担い、アプリ機能の実装やキャンペーンの立案に携わりました。この経験がオンライン上のビジネスの基礎となり、現在のキャリアの原点となっています。

その後は店舗運営の担当となり、セールの集客やテナントマネジメントなど、幅広い業務に従事しました。店舗運営経験を通じて、オフラインにおける人やモノの動きについて深く理解することができたと感じます。

── オンラインとオフライン、両方のビジネス経験を積むことができたのですね。

はい。店舗運営後は再び本社に戻り、デジタルマーケティングの仕事へ。その後、当時の「LINE」に転職しました。前職で痛感した、流通・小売における課題を解決したいと考えたのが転職の決定打でした。多くのビジネスに言えることですが、特に小売業界では顧客接点の確保や設計が非常に重要です。LINEは、当時からユーザー数8,000万人を超えるプラットフォームだったので、これを活用することで私が感じていた課題を解決したいと考えました。

LINEでは、ショッピングサービスのグロースに関わりました。加盟店に対する営業担当からスタートし、1年後にはサービス全体のマネージャーというポジションを担うように。

その後、LINEグループと出前館が資本業務提携を強化したタイミングで、当時の上司で出前館社長に就任が決まっていた藤井から「出前館に一緒に来ないか」と声をかけられました。ショッピングサービスに強い思い入れがあったので、正直葛藤もありましたが、デリバリーに大きな可能性を感じて、ジョインを決意しました。自分がやりたいことと、出前館が目指す世界観との親和性を感じた背景もあります。

── 森山さんの「やりたいこと」とは何でしょうか?

スモールビジネスに貢献することです。原体験にあるのは、父が経営していた小さなお店。父は、商売自体が得意なほうでもないし、そもそも儲けるつもりがあるのかも分かりません。でも、そうした小さなビジネスと、お客さまになり得る人を繋げることは、新たな出会いと関係性を生み出す意味で大きな価値があると感じています。

前職の商業デベロッパーにいた際には、いわゆる「街のお店」が運営や集客に苦労していることを知りました。その課題も、プラットフォームの力で解決できるのではないかと思っています。スモールビジネスやローカルビジネスを活性化できる可能性を、出前館に感じていますし、それが私のモチベーションの一つにもなっています。

オンライン・オフラインの強みを活かして事業推進


── 出前館にジョインしてからの歩みを教えてください。

配達代行事業であるシェアリングデリバリー®のサービス拡大を担当しました。出前館には、ご注文いただくお客さま、商品をご提供いただく加盟店、そして商品を運んでいただく配達員という三者のステークホルダーが存在します。私はこの中の、配達員のみなさんへの向き合い方や、配達のオペレーションの最適化の面から、事業を成長させることに挑戦しました。

個人的に役立てた点としては、オフラインでの人やモノの動きを理解していることと、オンラインでのサービス推進の経験があることが挙げられるかと思います。両方の経験を活かして、現場での戦略を立て、プロダクト開発にも携わってきました。

デリバリー領域は一見シンプルに思われるかもしれませんが、実際には多くの複雑な要素が絡み合っています。そのため、各領域を行き来して翻訳する、橋渡し役として行動することを心掛けていました。初めは小さな課題から取り組み始めましたが、次第にデリバリー領域の全体戦略を描く役割を担うようになり、マネージャー職、部長、執行役員といった役職をいただくことになりました。

2024年6月からは配達代行事業を離れ、新しく誕生した戦略事業開発本部にて本部長を務めています。

── 新たに立ち上げられた戦略事業開発本部は、どのような部門でしょうか?

新規事業を通じて、出前館の掲げるミッションやビジョンの実現に貢献していく役割を担う部門です。ミッションは「テクノロジーで時間価値を高める」で、ビジョンは「地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ」。テクノロジーやライフインフラというキーワードに関係するような事業を創出していくことが、大きな目線での今後の方向性です。

新規事業部門の範囲は企業によって異なってくると思うのですが、出前館における新規事業部門は、0→1はもちろんのこと、1→10くらいまでの、初期的なグロースまで担当します。

出前館のユニークなアセットである配達領域や、お客さまや加盟店のネットワーク、LINEヤフーとのシナジーなどを上手く活用しながら、ミッションやビジョンの実現により近づけていきたいと考えています。

最速でキャリアを構築した背景にある、努力とビジョン


── 森山さんは、29歳で出前館最年少の執行役員となりました。その話を受けたとき、率直にどのようなお気持ちだったのでしょうか?

驚きとともに、責任の重大さを感じました。周囲からは立場ある人間として見られると思うので、私自身の仕事ぶりや、意思決定の質や精度などについて、より研鑽を積む必要があります。執行役員になってもならなくても、自身のコミットメントは変わりませんが、それでもやはり身の引き締まる思いでした。

── 最速でキャリアを積み重ねられた理由を知りたいのですが、森山さんは仕事において何を意識されてきましたか?

「日々の努力」と「中長期的なビジョン」です。日々の努力としては、期待値を上回り続けることを意識していました。納期よりも早く成果物を納品する、質の高い成果を出すなど、質・量・速さという評価軸の中で、少しでも周囲からの期待を超えていくこと。自分らしいやり方であれば、超え方は何でもいいと思います。

中長期的なビジョンの観点では、自分の独自性がどこにあるのかを見極めながら、発揮できる環境を作ってきました。私の場合は、やはりオンラインとオフラインの両方の経験があることと、領域や人の間に立って橋渡し役ができることが強みだと認識しています。その強みを発揮できる環境で、サービスの成長と自分の成長を重ね合わせ、中長期的な視点からキャリアを構築してきたように思っています。

── 森山さんの強みについてお伺いしましたが、出前館の強みについてはどのように捉えていますか?

出前館は、お客さまと加盟店と配達員が有機的に動くことによって成り立っているサービスです。それにより、膨大な量かつ生活圏に近いデータを持っている点がユニークだと思っています。次のビジネスのアイデア創出や現在のビジネスを良くするための参考にできるからです。LINEヤフーのグループとしてシナジーを発揮できることも、強みとして挙げたいです。

既存事業と新規事業の両軸でミッション実現を目指す


── 森山さんが思う、出前館の企業文化についても教えてください。

メンバーから「出前館はベンチャーっぽい」という声を聞くことがあるのですが、事業成長が急スピードなだけでなく、企業文化の面でも変化が激しいと感じています。

以前は、大胆かつアグレッシブなプロモーションで、一気にシェア拡大を推し進めた時期もありました。しかし、コロナ禍を経てからは、より客観的で論理的な判断を重視する文化が根付いたように思います。

一方で、今後の出前館には、主観性や遊び心も必要だと思っています。新しい事業を創り出し、次の成長フェーズに入るためには、論理的な考え方だけでなく、「こういったものを世の中に出したい」という強い意志やユーモアに富んだアイデアが重要だと考えるからです。

変化が激しいと述べましたが、変わらない文化もあります。それは、ユーザーファーストの姿勢です。どのようにして各ステークホルダーに貢献するかを常に考え続ける企業文化は、ずっと引き継がれています。

── 出前館に合う人は、どのような人だと感じますか?

出前館のバリューの一つに「チャレンジ」という言葉があるのですが、チャレンジするマインドが何よりも大事だと私は思います。

そもそも常にチャレンジングな仕事が求められるという環境でもありますし、自分自身に高い目標を設定して挑戦することで、個人の成長だけでなく、事業やサービスの成長にも繋がっていきます。このようなチャレンジ精神を持った方が、これからの出前館でも活躍していくと感じますね。

新規事業という部門に絞ると、「巻き込み力」が重要になると思います。他の会社では新規事業部門の中にすべてのアセットが揃っている場合もあるかもしれませんが、出前館は他の部門のみなさんを巻き込んでいきながら、新しいものを創っていくという仕事のスタイルです。時に、利害関係が一致しないこともあるでしょう。その中で、ギブアンドテイクの「ギブ」を大事にしながら、まずは相手に貢献し、他の部門の方々にとって新規事業をどう意味付けるのかを考え、巻き込める人はきっと活躍できると考えます。

── 最後に、森山さんの目標を教えてください。

一番の目標は、出前館のミッションやビジョンの実現を、早め、近づけることです。日本のデリバリーサービスは諸外国と比較してまだまだ浸透率が低く、市場拡大の余地が十分に残されています。デリバリー市場そのものをグロースさせていくことと、既存事業だけにこだわらず、新たな事業の柱を作っていくことにも取り組んでいきたいです。

そして、個人的にはやはり、スモールビジネスへの貢献に強い思い入れがあります。出前館のプラットフォームを通して、規模に関係なく、志あるビジネスが成功に近づくことができる世界を実現していきたいです。

取材・執筆/早坂みさと