プロデューサーはクリエイターなのか?解釈が割れる話:クリエイティブ編
プロデューサー。
いろんな業界で、いろんな人が名乗る仕事。
実に玉虫色で「どんなことする人なんですか?」という学生の質問が飛んでくると、困り顔になるプロデューサーも多い。実際、業界によってその役割は全然異なる。
音楽産業では、秋元康・つんく・亀田誠治といった顔が思い浮かぶし、ジブリの鈴木敏夫は映画界のレジェンド・プロデューサーだ。そういえば最近、不動産プロデューサーなる人物にも会った。
僕はクリエイティブ産業でプロデューサーとして活動する機会が多いが、おなじ業界の中でも、肩書きに対する解釈がよく割れる。
というポイントは認識が共通しやすいが、人によって解釈が割れやすいのは「プロデューサー=クリエイター?」というテーマだ。
別に正解を出す必要はないテーマだ。
たとえば、プロデュース部とクリエイティブ部が分かれている広告代理店や制作会社が結構ある。
特に、かつての「営業部」がプロデュース部に改名されたケースが多い。
スーツ&革靴のプロデューサーと、スニーカー&パーカーのクリエイティブディレクターがコントラストを成して名刺交換に現れるイメージだ。(もちろんスーツのクリエイターもいるんだけど、わかりやすく言うとね)
蛇足的に歴史をたどると、日本最大の広告代理店である電通では、創業当時は「連絡局」と名付けられていた部門が約30年前に「営業局」へと改名され、2018年に「ビジネスプロデュース局」となった。営業さんはビジネスプロデューサーさんになり、そしてクリエイティブ局にはクリエイティブプロデューサーが所属しているという構図。
そういった大きな流れがあるクリエイティブ業の中では、プロデューサーは営業的な色が強く「自分はクリエイターではない、クリエイティブ部にいる人がクリエイターだ」と思っている人が多いように感じる。
体感でしかないが、おそらく過半数よりも多いはず。
別にこれは悪いことでもなんでもない。
役割分担がはっきりしていることは、組織として効率的に生産していくための必要条件だ。
でも僕が6年間広告代理店で営業職として働いていた時代には、この分担意識が悪影響を及ぼすシーンがあった。
それは「遠慮」だ。
企画や、デザインの内容に対して遠慮してしまうのだ。もはやそれが当たり前になって遠慮している意識もないケースの方が多いかもしれない。
プランナーやディレクターが順に企画案を発表した後に、宣伝部長の考えに反していないかを一言添えるのがプロデューサー。
そういうタイプの組織では、プロデューサーが企画会議にアイデアを持ってこなくても変な空気にはならない。クリエイティブのスタッフが出したアイデアを取りまとめて、見積もりとスケジュールと体制のスライドを追加するのがプロデューサーのゆるがない安泰タスク。
繰り返しになるけど、これは全然悪いことではない。
効率的なチームのモデルだと思う。
でも僕は営業職時代に、こういう場面に遭遇するたび、毎度はげしい違和感を持って気持ち悪くなってしまった。
アイデアで稼ぐ仕事がしたくてクリエイティブ業界に入ってきたのに、プロデューサーが企画に対して発言するのが「クライアント視点」のコメントだけだとすると、寂しすぎる。
だから、僕はクリエイティブ部門のスタッフと横並びで企画書を書いたし、プレゼンは必ず共同で行うようにしていた。
それでも嫌な顔をしてくるクリエイティブスタッフはほとんどいなかったし、とても恵まれた広告代理店時代を過ごすことができた。(Tokyu Agency、ほんといい会社っすよ)
まとめとして、僕のチームの話をすると
Konelのプロデューサーはもれなく全員クリエイターです。
そう言い切れる理由は「企画に自分のアイデアが混ざってないと気が済まない人」ばかりだから。
企画・デザイン・実装に対して、自分の内側から湧いてくるアイデアを注入して役に立ちたいと思っている時点で、間違いなくクリエイターです。
Konelの中でプロデューサーが遠慮してると、変な空気になります。
僕も忙しさが理由で企画会議にアイデアを持ってこれないと、舌を噛むことになります。
だから僕はKonelの自己紹介をするときに「全員がクリエイターの企業です」と端的に伝えています。
もちろん、冒頭に書いたようなプロジェクトのコンディションを整える役割は担ったうえで、アイデアにも加担していくので、結構忙しいです。
でも、営業責任は背負ってません。そこはちょっと珍しいかも。
会社全体で営業目標はもってるけど、全員野球でゴールを追いかけるスタイルです。
まだまだ話したいことはたくさんあるんですが、今日はここまで。
共感も異論もウェルカムなので、もっと話したい人は会いにきてください。
プロデューサーがクリエイターとしての自覚を持って活動するチームもあるよってことが伝わったら嬉しいです。
<お知らせ>
こんなスタイルで突っ走ってきたら、取り組みがいのあるプロジェクトが溢れてしまい、プロデューサーを急募しています。
「営業的」な枠の仕事にとどまっていることに窮屈さを感じている人。
一緒にクリエイターとして活動しませんか?
ぜひ気軽にコンタクトください。
デムラ Twitter(DM okです)
Mail :hello@konel.co.jp
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