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椅子にもなる段ボールベビーベッド

夜間や薄暗い場所での作業、夕暮れ時の外歩きなど、暗がりでの視認性が重要な場面はたくさんあります。そこで活躍するのが『色』です。

一般的には黄色やオレンジなどの明るい色が良いとされており、実際、夜間工事などで使われる安全ベストや小学生が登下校時に被る帽子などはその多くが黄色です。

しかし、使用シーンによっては黄色ばかりが良いとは限りません。




段ボールで作る防災製品

以前、避難所での使用を想定した段ボールベビーベッドの開発に関わる機会がありました。

東日本大震災において、乳幼児を抱える家庭では周囲への気遣いによるストレスから、避難所を利用せずに車内や倒壊の危険がある自宅で過ごしたケースがみられました。また、備蓄としてベビーベッドが供えられていない避難所もあり、発災直後の雑然とした避難所に乳幼児を連れて行くのが困難な場合もあります。 ※2014年当時に調べた情報です。現在は改善されている可能性があります

そんな状況に何か提案できないか、と動いたのが『タマパック株式会社』です。

タマパック株式会社
段ボールや紙器、緩衝材などを扱うパッケージメーカー。企画、設計、デザインもしており、カメラや腕時計、食品などさまざまなパッケージを製造。

タマパックさんのメイン商材の一つである段ボールには「軽くて丈夫、加工しやすい」「畳んでコンパクトになる、廃棄(リサイクル)しやすい」「生産スパンが短く、緊急時にもすぐに提供できる」など、数多くの強みがあります。これにパッケージメーカーであるタマパックさんの設計力を加えて作ろうと考えたのが『段ボールベビーベッド』です。



椅子にもなる段ボールベビーベッド

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段ボールベビーベッドは発災直後から一定期間の使用を想定しています。

パーテーションもない雑多な状況の避難所で、ベビーベッドとして赤ちゃんの安全なスペースを確保します。ある程度の高さを確保しているので、誰かが蹴躓く心配もありませんし、床から離れているので冬場などでも冷えづらくなっています。

また発災から時間が経ち、ベビーベッドの需要がなくなってきたらカバーを外して2脚の椅子にできます。大人が座っても十分な強度があり、肘掛にもしっかりと強度があるので、立ち上がる際の補助として肘掛に体重を預けても問題ありません。

刻一刻と状況が変わる避難所において、臨機応変にその在り方を合わせられます。


明かりもいろいろ


この製品は発災直後のパーテーションもない雑多とした避難所での使用を想定しています。人だけでなく、様々な物が床に置かれている状態です。また夜間は明かりの確保が困難なため、そこかしこに暗がりがある状況です。この状態で赤ちゃんをベビーベッドに寝かすのは不安です。高さは確保していますが、そこに赤ちゃんがいることを視認させる必要があります。

一般的には黄色が一番視認性の高い色となりますが、開発時に想定した災害はまだ春には程遠い気候の頃に起きています。夜は『明かり 兼 暖をとる』ためにストーブが使われていた場所もあります。オレンジ色の明かりのもとでも黄色は目立つ色となるのでしょうか。

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避難所の灯油ストーブを囲んで座る被災者たち(2011年03月20日)
出典:時事ドットコム【東日本大震災】宮城県南三陸町の状況 写真特集
https://www.jiji.com/jc/d4?p=mst311-jlp10620043&d=d4_quake

というわけで、ストーブの明かりの可能性も考慮した暗がりでの視認性調査を行うことになりました。


暗がりでの視認性調査


準備したのは『カラーチャート』『照度計(スマホアプリ)』『ハロゲンヒーター』です。簡易的な調査なのでカラーチャートはインクジェットプリンタで印刷したものです(苦笑)

暗がりでの視認性.001


二種類の背景(黒い布/段ボール)を用意します。黒い布は暗闇の想定。段ボールは避難所で多く見られる背景として用意しました。検証する明かりは蛍光灯とハロゲンヒーターの二つで、対象から1.5mの距離にハロゲンヒーター(900W)を設置。このハロゲンヒーターの明るさが8lxだったので、蛍光灯も8lxに調整しました。

結果はご覧のとおりです。

暗がりでの視認性.002

黒い布を背景にしたパターンでは「01:赤」「02:橙」「03:黄」「11:桃」「12:赤桃」が目立っていますが、段ボールを背景にしたパターンでは「01:赤」「12:赤桃」が見えづらくなっています。

これだけ見ると「03:黄」が一番良いですが、昼間の見え方も重要です。明るい状態での見え方を考慮して「02:橙」がベビーベッドを構成するカバーの色に選ばれました。この後、橙の色味を何種類か検討して決定しています。

昼間の視認性

<補足>
視認性だけなら上画像の一番右(黄-黒)ですが、「危険」を表す組み合わせとして別の用途があるため、一番左(橙-白)となりました。

ちなみに蛍光灯では視認性が高かった「04:黄緑」ですが、ハロゲンヒーターの明かりでは段ボールとほぼ一体化してしまっているのは、個人的に面白い結果でした。


まとめ


いかがでしたでしょうか。
まわりの環境や状況に合わせて、適切な色は変わります。この記事が色について少し考える機会につながれば幸いです。

ちなみに、今回紹介した『段ボールベビーベッド』は販売しておりませんが、それ以外のパッケージや梱包資材の相談などがありましたら、是非タマパックさんまで!

タマパック株式会社:http://tama.mpx-group.jp/


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妄想工場 https://www.delusion-factory.com

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