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【小田急線切り付け事件】列車内でのテロに備えて知っておくべきこと

 昨日(2021年8月6日)夜、東京都世田谷区の小田急線の車内で、男が刃物を振り回し、乗客を無差別に切り付ける事件が発生。幸い亡くなった方はいませんでしたが、重症1名を含む10名がケガをしました。

 犯人は逃亡後すぐに自ら名乗り出て、現在は逮捕されています。調べに対しては、「誰でもよかった。人をたくさん殺したかった」「6年前から幸せそうな女性を見ていると『殺したい』と思うようになった」などと供述しているとのこと。本当に理解しがたい、許せない行為です。

 しかし、残念ながら常識では理解できない行動を起こす人間もいるのが現実。2018年には、東海道新幹線「のぞみ265号」の車内で3名が死傷する事件が発生。鉄道は航空機に比べセキュリティチェックが難しく、現在の仕組みでは、テロを完全に封じ込めることは不可能と言わざるを得ません。

 今回は、これまであらゆる鉄道に乗ってきた自分の経験をもとに、万が一テロが起こった際に少しでも落ち着いて行動できるよう、日頃から備えておくべきことを書きたいと思います。

①SOSボタンの位置を把握する

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(画像:https://www.jr-odekake.net/railroad/service/aed.html)

 新幹線・在来線の車内には必ず「SOS」と書かれた「車内非常ボタン」が設置されています。車内で急病人が出たり、火災や事件が発生した際にボタンを押すと車掌に通話で速報でき、緊急停車などの対応を取ることができます。電車に乗ったら、まず自分の車両のどこにSOSボタンがあるか把握する習慣をつけるべきです。

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(画像:https://company.jr-central.co.jp/others/report/solidarity.html)

 大体の場合は車両の一番前か一番後ろにあり、赤いステッカーが貼ってあります。そういう意味で言うと、車端部はSOSボタンに近く、隣の車両へ逃げる場合も真っ先に移動できるので、テロ発生時には比較的安全といえるかもしれません。

②ドアの近くに立つ

 走行中の列車内でテロが発生し、乗務員がそれを把握した後、多くの場合は次の駅まで走行してドアを開けるのではないかと思います。前の駅を出た直後など、次の駅まで距離がある場合は、防護無線などで周囲の列車を停止させたうえで、乗客を線路上に降ろす対応を取るかもしれません。いずれにせよ、可能な限り「密室」という状況から速く抜け出すには、ドアの近くに立っておくことが有効です。

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(画像:http://yamada.sailog.jp/weblog/2009/03/post-542e.html)

 また、都市部の通勤電車によく乗る人にはおなじみの写真だと思いますが、列車のドア横には「非常用ドアコック」という、強制的にドアを開ける装置がついています。多くの車両のドアは圧縮した空気の圧力によって閉じられているので、中のコックをひねって空気を抜くことでドアが開くようになる、という仕組みです。

 ほとんどの場合は乗務員がドアを開けると思いますが(有事の際に乗客がドアコックを勝手に開け始めたら余計混乱してしまうので)、本当に目の前に危険が迫っている状況に備え、存在を知っておいて損はないでしょう。

 ※ドアコックを乗客の判断で扱うことは禁じられており、故意に扱うと法律により処罰されますので、本当の最後の手段として認識ください。

③できるだけ死角を作らず、周りが見渡せる場所に

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 2018年の新幹線殺傷事件では、犯人と通路を挟んで向かいの席に座っていた乗客が最初に襲われました。周りにどんな人がいるか、できるだけ把握できる位置に乗りましょう。具体的には、新幹線や特急ではできるだけ最後部座席、普通列車はドアや壁を背にして立つことがオススメです。

④優等列車は、長時間密室になることを意識する

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 今回の事件が小田急線の「快速急行」の車内で起きたことについて、犯人は「途中で乗客が逃げられないから」と話しています。2018年の新幹線殺傷事件でも、犯人は新横浜を出てすぐのタイミングで犯行に及んでいます(次の名古屋までは1時間以上停車なし)。
 優等列車は駅間が長いため、計画的な犯行のターゲットになりやすいと言えそうです。新幹線や特急、快速などに乗る場合は過去の事件を思い出し、上で書いた①~③をより強く意識すべきだと思います。

■まとめ

 多くの人にとって、列車での移動というのは日頃の緊張を解いて、ホッと一息つける瞬間ではないでしょうか。旅行で乗るときはもちろん、通勤や出張のときでも、ちょっと落ち着いてスマホを触ったり、コーヒーを飲んだりできる時間です。それなのに今回のような理不尽な事件が起こると、何となく列車に乗ることが怖くなって、つい周りの人にも疑いの目を向けてしまう。なんでこんな気分にならなきゃならないんだと本当にもどかしく、許しがたい思いです。

 とはいえ冒頭にも書いた通り、これが現実です。それに、コロナの感染拡大もあり、「公共の場において、自分の周りにどんな人がいるかを意識して行動すること」は、個人の果たすべき責任としてますます強く求められていると思います。万が一に備え、できることは最大限心がけて、列車という空間を楽しめるようになりたいです。

(ヘッダー画像:NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210806/k10013186631000.html?utm_int=all_side_ranking-access_001)

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