
周りに「距離感おかしい」って言われてきた関係。
山下:◯◯〜!起きて!!
◯◯:ふぁ...朝か...
山下:おはよっ!◯◯!
◯◯:美月おはよう...
山下:はい、おはようのちゅー!
◯◯:ん
チュ
山下:今日も頑張ろ〜!
◯◯:朝から元気だなお前は...
今起こしにきたのは、◯◯の幼馴染の山下美月。
小さい頃からお隣さんで、家族ぐるみで仲良く過ごしてきた。
山下:はい、準備できた?
◯◯:おけ、美月は忘れ物ない?
山下:もちろん!はい、手!
◯◯:ん
いつからか、こうやって毎朝起こしに来て、手を繋いで一緒に学校に行くのが高校になった今でもずっと定番となっている。
山下:現代文の課題やった?
◯◯:あんなん昨日配られたその授業内で終わったわ
山下:◯◯は現代文強者だもんね〜。私はできないから...
◯◯:...見せろと
山下:その通り!
◯◯:はぁ、もっとこう申し訳なさを出したまえよ
山下:そんなの今更じゃん、何年一緒にいると思ってんの
◯◯:親しき仲にもってやつだろうが
山下:私と◯◯の仲だからいいの〜
そうして学校に着くのだが、この後周りに言われるセリフは決まっている。
友人:お〜!今日もラブラブカップルしてるねぇ!
◯◯と山下は頭に「?」を浮かべる。
◯◯:例えばどの辺が?
友人:手繋いでるのとかモロそうだろ!付き合ってもないのにこんなことしてるのは距離感おかしいって!
◯◯:ふーん。そういうもんなのか
山下:世の中色々あるんだね〜
なんか手を繋ぐのはカップルのすることらしいが、この2人にとってはこれが普通だから、ついていけない。
その後も◯◯は一日中「美月とカップル」について考えていたら授業が終わっていて、教室には誰もいなかった。
◯◯:美月とカップルになりたいかと言われたら別にって感じだしなぁ...でもなるのは嫌なのかと言われたらそうでもないし...あ〜マジわからん。カップルってなんなんだよ...
久保:このカフェ来てみたかったんだよね〜!
◯◯:わざわざ呼び出して悪いな久保
久保:いやいや全然!しかも奢ってくれるって言うし!
◯◯:恋愛マスターシオリの話を聞けるならこんくらい安いもんだわ
◯◯は知り合いの中で最も恋愛に詳しい、久保史緒里に話を聞いてもらうことにした。
久保:で、今回のご用件は?
◯◯:実は...最近みんなにやたらと「距離感おかしい」って言われるんだよな
久保:山との?
◯◯:うん...。カップルじゃなかったらおかしいって言われるんだけど、別にそういうのでもないし、というかそもそもよくわかんないからさ
久保:ふーん。ちなみにどんな感じなの?毎日
◯◯:まず、美月が起こしに来て、ちゅーするだろ?
久保:はぁ!?
◯◯:え、なんかおかしかったか
久保:まぁ...とりあえずいいや、続けて?
◯◯:うん...それから、朝飯食って、2人で手を繋いで学校に行く。普通に授業受けて、帰る...くらいだけど
久保:うーん...キスまでするのはさすがに付き合ってないと変というか...
◯◯:そういうもんなのか...欧米の人とかはよくスキンシップでやるだろ、あれと似たような感じだと勝手に思ってたけど...
久保:でも◯◯と山は口と口でしょ?それだとまた変わってくると思うな。ちなみに◯◯は山のことどう思ってるの?
◯◯:どうって...普通に小さい頃から一緒の、お隣さん?幼馴染?だけど
久保:そっか...。あの、こんなこと聞くのはアレかもしれないけど、その...2人は、そういうことまではさすがにしてないよね?
◯◯:そういうことって?
久保:あの...その、えっち的なこと...とか
◯◯:あー...まぁ、ほんと時々だな。マジで全部が都合よければ、する時もあるよ
久保:マジか...それはどういう理由で?
◯◯:普通に気持ちいいからかな。ストレス解消みたいな感じ?身近だしお互いWIN-WINでしょ?
久保:そうなのか...
◯◯:...それも変なのか
久保:まぁ...。じゃあさ、◯◯は山が別の男と付き合ってたらどう思う?
◯◯:んー...ごめん、想像できないな...美月が僕以外の男といるところが想像できない。良いとか嫌とかじゃなくてね
久保:う〜ん、難しいね中々
◯◯:じゃあ、逆に聞くけど久保は僕たちの間柄にどう思ってる?
久保:さすがに付き合ってないと変と思っちゃうかな。さすがにキスとかえっちまでは...
◯◯:そっか...う〜ん......
久保:なんか力になれなくてごめん。また相談して
◯◯:うん...
山下:距離感ってなんだろうね
梅澤:◯◯くんとの?
山下:うん...毎日おかしいって言われるでしょ?でも私たちにとってはあれが普通なの、だからまさか変だと思わなくて
梅澤:2人は付き合ってないんでしょ?
山下:うん
梅澤:毎日どんな感じなの?
山下:毎朝私が起こしに行くよ。おはようのちゅーして、学校行く時は手を繋ぐ、これが昔からの習慣
梅澤:う〜ん...習慣ねぇ...
山下:やっぱり変?
梅澤:付き合ってないのにこれはさすがに変だね...
山下:そうなの?私たちの中だとおはようのちゅーも手を繋ぐのもえっちも全部普通にすることだし...
梅澤:えっ!?2人ってそこまでいってんの!?
山下:普通にするよ?気持ちいいじゃん
梅澤:付き合ってないのに?
山下:だって、身近にストレス解消できる相手がいるんだからめっちゃ合理的じゃない?
梅澤:う〜んなんとも言えないけど...2人がいいならそれで良いとも思うし。山は◯◯くんのことどう思ってる?
山下:◯◯?うーん、お隣さん、幼馴染?
梅澤:◯◯くんが別の女の人といたら?どう思う?
山下:えぇ?◯◯が?想像できないなぁ私以外の女の子といるところ
梅澤:◯◯くんが隣にいるのが当たり前ってことだもんね
山下:うん...いないことが想像できない、今までそんなことなかったし
梅澤:それって、案外無意識のうちに◯◯くんを大切に思ってるってことじゃない?
山下:そうかなぁ...
梅澤:でもどうせこの先も一緒にいるつもりなんでしょ?
山下:そうだね、◯◯がいないこと考えられないし
梅澤:じゃあ付き合っとけば?減るもんじゃないし
山下:......確かに
梅澤:じゃあ今日か明日にでも◯◯くんに聞いてみなね
山下:そうだね〜
梅澤:おはよ〜。2人ともそんな顔真っ赤にしてどうしたの?
山下:私たち、付き合うことになった...///
梅澤:そうなんだ!おめでとう?かな?
久保:おは〜!なになに、どうしたの?
梅澤:山と◯◯くんが付き合うことになったって話
久保:そうなんだ〜!でも2人のことだし何も変わらなくない?
◯◯:それがさ...
ガチャ
山下:◯◯〜
◯◯:おー、美月どうした?
山下:私たち付き合わない?
◯◯:へっ?なんで急に?
山下:梅が、「減るもんじゃないし付き合ってみたら?」とか言ってたからさ!実際その通りだし
◯◯:まあ確かにそうか。梅澤の言う通り減るもんじゃないし、試しにでも付き合ってみようか
山下:うん!じゃあまた明日ね!おやすみ〜
◯◯:おう、おやすみ
...
山下:起きて...◯◯起きてっ...
◯◯:ん...朝か、おはよう美月
山下:お、おはよ...///
◯◯:......///
山下:......///
◯◯:......今日はしないの?///
山下:っ!そ、そうだよね...///
チュ
◯◯:......///
山下:......///
山下:行くよ!忘れ物ない?
◯◯:ないよ。美月も大丈夫?
山下:うん...あの、手...繋ぐ...?///
◯◯:そ、そうだな!繋ぐ...か...///
◯◯:「付き合った」ってことを改めて意識すると恥ずかしくなっちゃって...///
梅澤:なんじゃそりゃ
久保:はぁ...。相談乗って損したかも...
山下:へへへ...///