よくある創作小説みたいな展開を避けたら逆に彼氏にされてたんですが。
－ハロウィンの渋谷。
◯◯：やっぱすげー人だわ！これはスナップが捗りますね〜
僕、◯◯の趣味はカメラ。今日は撮影にはうってつけの日！
渋谷を歩きながらハロウィン感のある写真を何枚か撮っている。
次は線路の反対側にでも行こうか？そこの細い路地から撮るもありか...あれ？
男１：ねぇいいじゃ〜ん！オレたちと遊ぼうよ〜！
男２：楽しくて気持ちいことしようぜ〜！
？？：やめてっ！誰か...！
男１：こんなとこに来る人なんていないから(笑) 逃げられるとか思っちゃダメだよ？
あー絡まれてるな。昨日noteで読んだ創作だと、「オレの彼女に手出すなよ！」か、彼氏のフリして「お待たせ〜！」のどっちかだったなぁ。
そんなことしたところで押し問答になるだけだし、ここは速さで勝負だな。
路地の反対側から、そ〜っと近づいて...
ｶﾞｼｯ!
？？：何！？
◯◯：逃げるよ！ついてきて！
この子の手を掴んで、一気に走り出す！
？？：何が目的！？
◯◯：喋ってる暇あったら走れ
男１：待てやゴラァ！
男２：逃さねえからな！
まったく。こちとら渋谷に何回来てると思っとんじゃ。
マップは完璧に頭の中に入ってるんだよ、追っかけてこれるわけない。
それはそれは見事に男達を撒き、なんとか銀座線の改札の近くへ。
ここなら万一見つかってもすぐ助けが呼べるからな。
◯◯：ふぅ、めっちゃ走ったけど君大丈夫？
？？：......。
◯◯：うぉっ
急に手を引かれ、また歩き出した。どこかへ連れてかれるっぽい。
交番にでも行くんか？
◯◯：ね、ねぇどこ行くの？
？？：......。
喋りかけても反応なし。
辿り着いた先は東急の改札。しかも中に入りそうな勢い。
◯◯：ちょっと、マジでどこ行くの？
？？：......。
改札の中に入ってしまった。
放送：まもなく、5番線に、各駅停車 元町・中華街行きが8両編成でまいります。この電車は、当駅で、通勤特急 元町・中華街行きの...
どうやらこれに乗るらしい。もう従うしかないっぽい。
◯◯：ねぇねぇ、どこまで乗るかくらい教えてくれたってよくない？
？？：......。
マジで何も言わねえ...。もう諦めよう...。
出発時刻になり、電車が動き出す。ちなみに座ってるけど手は掴まれたまま。
放送：本日も、東急東横線をご利用下さいまして、ありがとうございます。この電車は、みなとみらい線直通、各駅停車...
放送：まもなく、祐天寺です。出口は、左側です...
◯◯：うおっ
急に立ち上がった。どうやらここで降りるらしい。手は掴まれたまま。
改札を出て、少し住宅街を歩いて...
？？：着いた。上がって
◯◯：う、うん
初めて彼女が喋った。どうやらここが家らしい。とりあえず従って上がる。
◯◯：お邪魔します...。
？？：え？
え？
◯◯：え？
？？：「お邪魔します」じゃなくて、「ただいま」でしょ？
◯◯：......なんで？
？？：あなたはさくの彼氏だから
◯◯：ん？？
え？？なんだって？？彼氏？？
頭の整理がつかない。そもそも誰だよこの人。
◯◯：な、なんで...？
？？：だって、ああいう場面で助けるといえば、「オレの彼女に手出すなよ！」でしょ？昨日ネットで読んだんだ〜♪ だからさくはあなたの彼女だよ？
うわー多分これ同じやつ読んでるな。しかも勝手に思考飛躍してるし。
それはいいとして、そんな「当たり前でしょ？」みたいにドヤ顔で言われてもですね...。
？？：あ！私遠藤さくらっていいます！
◯◯：◯◯です、遠藤さんの彼女になった覚えはないけど...
遠藤：え、さくの彼氏は嫌...？
◯◯：嫌ではないけど.../// お、お互い何も知らないからさ？
遠藤：えーじゃあ、お互いのこと全部知ろうか？♡
◯◯：そ、それってつまり？
遠藤：もちろんっ！さくらって呼んでね♡
ﾄﾞｻｯ
◯◯：んぇ...？ここどこだ...？
遠藤：zzz...
◯◯：えーっと、昨日は確か写真撮りに渋谷に行って、絡まれてる女を引っ張って逃げて...あぁ
だんだん思い出してきた。とにかくすごく相性が良かったんだよなぁ...。
遠藤：むぅ...あえ？えーっと...あっ、◯◯くんおはよ♡
◯◯：さくらおはよう...///
遠藤：昨日はすごい良かったよ♡
◯◯：うん......正直、すごく気持ち良かった...///
遠藤：昨日は◯◯くんの口から「好き」って聞けたし、これで正式にさくの彼氏だよね？
◯◯：う〜ん、もうそれでいっかなぁ...
昨日の夜はすごく良かったし。かわいいし。
遠藤：やったっ！じゃあ今からさくの実家に挨拶行かなきゃ！
◯◯：いきなり...！？
多分これからもはちゃめちゃに振り回される予感...。
まあ、かわいいからいいか！！！！
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