【連載小説:ホワイトハニーの未来へ】「第2章 有効に使ってほしい」(2-1)
(2-1)
医者が言うのは発見が遅かったのが原因らしい。その事を言われた時、大樹は最初、母が自分を責めないかと不安になったが、母は静かに話を聞いていた。涙は止まり、完全ではないにしろ、いつもの母の顔に戻りかけている。
母が何種類かの書類を書き終えた。事務作業を終えると、看護婦さんが良ければ泊まっていくかと提案してきたが、母が帰ると言ったのでタクシーを呼んでもらった。二人を乗せたタクシーが病院を出て自宅に戻る際、ずっと大樹は黙っていた。交差点に差しかかかった時、ようやく