プラットフォームってなんだっけ?
プラットフォームとは、駅のプラットホームやデッキ、演壇、高い足場などの「何かをうまく動かすための土台となる環境」を意味する言葉である。
それが転じて、ビジネスにおいても、「物やサービスを利用する人と、提供者をつなぐ場」のような使われ方をすることが多い。
しかし、多くの場所でプラットフォームという言葉が都合よく、少し間違って使われているように感じる。
少なくとも下記の使い方は違和感がある。
「プラットフォームを目指そう!」
「プラットフォーム戦略でユーザを囲い込もう!」
少なくともビジネスでプラットフォームという言葉を使うとき、それは目指すものでも、ユーザを囲い込むためのものではない。
プラットフォームは、世の中の課題を解決することを目指すうえで選択するビジネスモデルの一つであり、それ自体は目的ではない。
また、ユーザを囲い込むことが目的でもない。出会うべき人や物が適切にマッチングすることを目指していたら、勝手にユーザが集まってくる場所のことだ。
いずれも言い方の順番でしかないが、随分印象が違う。
それは、「電車と人をマッチングして、社会全体の移動コストを下げる」という目的が達成されずして、電車の駅があっても意味がない、というのと同じだ。
新規事業部署にいたりすると、この「プラットフォーム」という言葉が毎日のように飛び交うが、多くの場合違和感のある使われ方をされていた。
そのため、プラットフォームと名の付く書籍を読み漁った時期があるのだが、その時に特に頭の整理になったのは『プラットフォーム革命』という書籍だ。
本書では、プラットフォームをビジネスモデルと明確に定義づけた上で、そのビジネスモデルを成立させるための要素を体系的に記載している。
究極的には、プラットフォームにおいては、「取引を円滑化することによって価値ある取引を多く生み出す」ことが最も重要な要素となる。
ここでいう取引とは、Uberでいえばタクシーへの乗車、Airbnbでいえば他人の家での宿泊という、体験全体のことであり、その体験が円滑に行われれば行われるほど、そのサービスにユーザが集まってくる、ということだ。
円滑な取引を促すこと。ここが他のビジネスモデルと比較して圧倒的に大切になってくる。
本書ではその円滑さを高めるために4つのコア機能が必要であると述べている。
①オーディエンス構築:十分なユーザ数がいること
②マッチメーキング:効率的にユーザをつなぐこと
③中核的ツールとサービス:ユーザが楽する支援をする
④ルールと基準:参加者の行動規範をつくる
文字にしてしまえばシンプルだが、他の書籍にくらべて、最もシンプルにまとまった整理の仕方ではないかと思う。
そして、当たり前だが、プラットフォームというビジネスモデルを成り立たせるには、「①オーディエンス構築」がいの一番に大切だということも分かる。
ここについては、『プラットフォームレボリューション』についてよく整理された章があったので、下記を参考にしてほしい。
言わんとすることは同じ、「鶏と卵問題をどうクリアするか?」である。
「つながる」こと自体が価値だから、「つながる人」がいない最初のユーザにとってそのサービスは価値がゼロである。
それでもサービスはゼロから始めなくてはならない。
多分、プラットフォームについて語るとき、「鶏と卵問題をどうクリアするか?」という議題が初期設定だ。
事あるごとに「プラットフォーム、プラットフォーム」と言ってい人の本気度を判別するには、「鶏と卵問題はどうクリアするか?」という質問を投げかけるのが一番良いかもしれない。
追伸
いくつかあるプラットフォーム本の中でも下記が個人的には理解しやすかった。上記の『プラットフォーム革命』も含めて、全て学者肌の方が書いた書籍なので、個人的な趣味が偏っているのかもしれない・・・。