架空老師問答の試み(貧富と境遇の差による絶望について)
若者A:わしはフランスやイタリアに行ってみたかったばってん、しかし、外国はおろか、国内を移動したり旅行したりも相当かぎられとるじゃあ。
若者B:わしもそやっ! ついこの前、飛行機のファーストクラスを乗りまわしとる輩のはなしをテレビ聞いたじゃあ。
わしは、飛行機なんぞ乗ったこともあらへん。
パスポートちゅうやつはどこへ行きゃあ手にはいるんや?
つぅか、わしでも手にはいるもんなんけ?
若者C:おらも、新幹線ちゅうやつに乗ったのは修学旅行のときだけじゃ。
修学旅行を除けば、住んでる県を出る機会はまずなかとよ。
せいぜい隣県がええとこじゃ。
老師:ふむ、ほかの人と較べてしもうとるわけじゃな。
よくないことじゃのう。
会社員G:しかし、日本社会は長らく隣人との差があんまり際立たない時代を謳歌していたんです。
ここ20年くらいで、しらないうちに隣人との差がえらく際立ってきたんです。
若者A:老師様、わしも頑張ればファーストクラスば乗れるばっちょか?
老師:若いんじゃから、頑張ってみたらどうじゃ!
若者B:お前なんか、飛行機じたいがまずむりじゃ。
老師:これこれ、そんな子供みたいな…
まぁ、しかし、隣人と較べる時代になってしまったのは確かなようじゃのう。
若者C:頑張ってもファーストクラスば乗れんかったら、勉強したり働いたりする意味はあるとですか?
若者B:そやそや、頑張っても意味ないんやったら、引きこもっとるほうがましやんけ。
会社員G:ファーストクラスなんかに庶民がフツーに乗れたことは有史以来ないよ。また、ファーストクラスに乗れればフツーの人ではない…つまり特別な人だという証にもならないだろう?
老師:そうじゃのう…キリストやゴッホがファーストクラスに乗ってうっとりしたというようなはなしは聞いたこともないのう。
日本は経済大国になる過程でだれもがファーストクラスに乗れると錯覚してしまったようじゃ。
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