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#20"パンとサーカスの都"ローマが起こした悲劇。初期農耕社会にあって古代ローマに無かったもの
古代ローマ帝国では、一時期「パンとサーカス」と呼ばれる一時的栄華が訪れます。
民衆は演劇や格闘を好み、飽食であった反面、政治的感心が薄れていき国民が衆愚と化した一連の流れを指す(ことが多い)です。
人間には3つの「感情システム」があるという風に言われており、
興奮…新しいものや快楽、刺激を覚えるもの。
脅威…不安を覚えるもので防衛本能をもたらす。
満足…安らぎを覚えるもの。
このうちの「興奮」と「脅威」のシステムのみが作動しており、「満足」のシステムがうまく作動していなかったのではないか、と推測されていました。
確かに、珍味などの食事や剣闘士の見世物という娯楽に溺れ、国外からは常に敵が狙ってきている状態。
彼らに足りなかったのは「安らぎ」だったのかもしれません。
事実、自然等の「安らぎ」をもたらすものは人々の体内炎症レベルを下げ、病気への免疫を上げることがわかっています。
当時のローマ市民は伝染病に集団感染し、路上に倒れ込む人々が後を断たない状況だったと聞きます。
今回書いたショート小説"シュガー総統"は、この古代ローマ時代の社会の様な"満ち足りた生活が起こしうる破滅"をテーマの一部としています。
快楽を求めすぎるあまり、その裏にある危険性を鑑みないことへの警鐘を、古代ローマ文明の社会は教えてくれる様な気がしますね。