エコシステムとSONY
エコシステムってecology system?economy system?前回久しぶりにちっちゃいスマホ Xperia SXを手にして、ついつい今回の話を書きたくなったのだ。私も昔はSONYのファンだった。あえて過去形だ。これは昨年何とか使いこなそうとして苦戦したXperia 5IIIへのオマージュである。
一時Xperia SX、Xperia Z3 Tablet Compact、VAIO GN-SZ70とSONY製品に囲まれて幸せな時期があった。コンパクトでいつもなでなでしていたSX、Z3 Tablet Compactは神期と呼ばれるだけあって、本当になぜここまで軽くて薄くて、しっかり機能が詰め込まれているんだろう、と感嘆していたものだ。それに比べてVAIOはいまいちだった。例によってスペックを比較し、検討し、カタログの美辞麗句に乗せられ、届いたノートパソコンのプラスチッキーさに落胆したことを今でも覚えている。
今思えばSONYは日本のメーカーでやっぱりAppleに継いでエコシステムが構築できた(これも過去形)メーカーだったのだ。メモリースティックに随分長い間こだわり続けていたし、本気だったんだろう。PC、スマホ、TV+ホームシアター、ヘッドフォン、AIBO、プレステ、カメラ・・・・。趣味の世界はSONYブランド一つで事足りるはずだった。たとえそれぞれが連携していなくても。
Xperia 5 III。本当に失望した。軽くてそこそこの性能で、カメラ重視の私にはベストな選択だ、と期待したのに、なんだこれ、なのである。ぜんぜん中華メーカーに追い付いていない。何がαゆずりのカメラメニューだ。何がナチュラルな色彩だ。確かにスペック上ではiPhoneと変わらない12Mのカメラかもしれない。「並べて比較しても見劣りしない」ここ重要。昔からSONYの突き抜けていない方はそうだ。そこそこのスペックで糊口をしのぎ、サントリーばりの上手な宣伝で手に取らせてしまう。昔は(実家のどこかに眠っている Walkman PROFESSIONALも、そう)WOW、すっげーや、と感動したのだ(タイマー発令で調子が悪くなったとしても)Xepria SXもXperia Z3 Tablet CompactもWOW、だったのに。
令和のSONYは単なる収益至上メーカーに成り下がっていた。Xperia 5IIIは白とびはひどく、望遠も粗く、天気が良い日にたっぷり光があるとき以外、なんともうまくなかった。結局思うに、ソフトウェアの開発資金が無いだけじゃん。あっ言っちゃった。SONY信者の方から文句が来そうだが、ほんと如実にそれを感じる。コンピュテーションな画像処理が開発できないだけっしょ。それをナチュラルで自然な色って言ってるだけっしょ。別に撮影メニューがαなだけで、スマホの薄い機体じゃ特に操作性が良いわけでもなく、機能的には中華メーカーのプロモードでそれ以上のことが当然できる。カメラだけでない。Walkmanアプリやその他SONY謹製のアプリがことごとく無くなっていて、なんじゃこりゃなのだ。
今の日本の社会の縮図が透けて見える。開発やメンテナンスを継続したいのに、収益性、費用対効果を口酸っぱく言われて、きっと役員会で通らなかったんだろうなあ。いくらイノベーション的なものを考えついても、委縮させるこの構図。衰退するだけだわ。
というわけでエコシステムを作れなかったSONYの胆力のなさを嘆くだけになって、本当はがんばってエコシステムをきちんとバックキャスト視点で着々ときずきあげているHuaweiや、ひところの勢いにちょっと陰りが見えているサムスンと比較したかったのだが、時間だ。
この話はきっと続く。
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