Das Wunder. ミュンヘンの人形劇フェスティバル
ミュンヘンの人形劇振興協会(Gesellshcaft zur Förderung des Puppespiels e.V. )が主催する人形劇フェスティバル「Das Wunder.」が2022年10月14日から11月8日まで開催される。芸術監督は、ミュンヘン博物館の人形劇コレクションの統括もしているマシャ・エルベルディングさん。
以下は、同協会のHP(https://figurentheater-gfp.de/festival-2022.php)と、受けとったインビテーションメールの翻訳です。
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「物語/歴史をつくって!」"Macht Geschichte!"
このテーマの下、国際人形劇フェスティバル「Wunder.」が開催されます。物語(Geschichte)を伝えるだけでなく、人形やオブジェクトやイメージで実際の歴史(Geschichte)を物語るプログラムです。ドキュメンタリー的自伝劇や、感覚的なマテリアル劇、政治的な人形劇レヴューや、大胆な創造譚、そして参加型ロボット劇などの作品群は、歴史を新たな仕方で体験させ、新たな視点をもたらし、あるいは歴史の一部そのものになるよう観客を促します。
アフガニスタン、ベルギー、エルサルバドル、フランス、オランダ、ノルウェー、スイス、スロベニア、スペイン、ドイツの30作品が、歴史の傷あるいは驚異(Wunde/r)を探究します。
会場はミュンヘン博物館のほか、Schauburg、HochX、Münchner Kammperspiele、セルバンテス協会、Pasinger Fabrikで行われます。
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次の作品はドイツ初演です。
10月21日・22日に上演されるノルウェーのTheater Corpusによる『Simplicissimus』(ジンプリツィシムス)は、ミュンヘン周辺で活動したノルウェー人画家オラフ・ガルブランソンの伝記に基づいて、ナチス時代を扱った作品です。同時に、「芸術や芸術家は政治的態度を明らかにすべきか」という常にアクチュアルな問題も扱っています。人形やオブジェクトを用いながら、1920年代の歌謡曲を散りばめたレヴュー形式で上演されます。
10月19日・20日に上演されるベルギーのCompagnie Point Zéroによる 『The Forgotten Land / L'Herbe de l'oubli"(忘れられた土地) は、ドキュメンタリー演劇とタデウシュ・カントールを思わせる夢のような造形的光景を組み合わせ、チェルノブイリ周辺の無人地帯の生活を伝えています。
10月16日・17日に上演されるベルギーのUgo Dehaesによる『Simple machines』(単純な機械)は、人工知能によって無用の長物となりつつある振付師を描いた、機知に富むレクチャー・パフォーマンスです。
11月3日・4日に上演されるフランスのCollectif F71による 『Move on over or we'll move on over you』(越えていけ、さもなくば我々がお前を越えていく)は、7年間にわたる戦闘的な反抗の歴史を一つのパフォーマンスに凝縮した作品。主人公たちのエネルギーを具現化し、国家権力に対する死に物狂いの態度を追体験させます。独自のコード、独自の視覚的コミュニケーションデザインを作りあげています。舞台はブラックパンサーのチラシやポスターが作られた印刷所。それはポスターや横断幕やフラッグが、まるで命を吹き込まれたように見える巨大な工房です。試作上演をお届けします。
11月6日に上演されるオランダのSilas Neumannによる『Heimat Neuhof』(故郷ノイホーフ)は「カイザーパノラマ」を斬新に再解釈し、家族の過去、ドイツの過去、罪悪感と責任の問題への旅へと誘います。
フェスティバルのクロージングプログラムとして、ドイツとフランスに亡命中のウクライナとアフガニスタンの人形遣いたちによる「亡命人形劇」にもご注目下さい。11月4日午後4時からミュンヘン博物館でパネルディスカッションが行われます。国を離れた人形遣いたちがこれまでの体験や、現在の状況、受け入れ国への希望や願いについて話す機会となります。11月5日午後6時から、Goethe Institutの支援を受け、Bellevue di Monacoで夕食会も開かれます。肩肘張らない雰囲気で、彼らの自己紹介・作品紹介が行われます。