メッシュ構造でユーザー理解を深める
こんにちは。松栄(@deka_wanwan)です。
いつのまにか、heyに入社して5ヶ月が経ちました。早い!
こちらはhey初の年末だしhey Advent Calendar 2021に参加してみました〜の記事です。
さて今回は、heyに入社して最初に行ったユーザー理解のお話をします。頭の中でこんなことを考えながら進めました、という体験談です。
私はheyで「 STORES 」というネットショップをかんたんに作れるサービスのプロダクトマネージャーをしています。
STORES は業種によらず、広く様々な商材のお店で使えるサービスのため、Horizontal SaaSの特性を持っています。ただ、ECという特性上、扱う商品によって必要になる機能が大きく異なり、Vertical SaaSっぽく各業界の詳細を把握しにいく必要もある、という面白い立ち位置にあるサービスです。
わかりやすく例を出しましょう。たとえば、洋菓子を売っているお店と、服を売っているお店があるとします。
洋菓子であれば、商品の生産は日々行えるため在庫は増やしやすいですが、配送で受け取ってもらえず返送されると商品は廃棄になってしまいます。また、お中元やお歳暮、ギフト対応がとても重要になります。
一方、服であれば、商品在庫は増やせない場合が多く、在庫数を間違えると大変です。保管はしやすく再配達もそれほど困りません。ただブランドの世界観が大切なので、ストアデザインで個性を出せることは重要です。
機能に対しての優先度が全く違うことがおわかりになるでしょうか。こんな風に商品や業態によって大きな違いがあるため、詳細を把握せずに機能の内容や優先順位を決めてしまうと失敗しやすくなっています。
メッシュ構造で把握する
ではどんな風に全体感をつかみながら詳細を把握していったかを話します。まず、前提として、STORES では毎日たくさんの機能改善要望をいただきます。入社すると、数百件の機能改善要望が目の前に積まれている状況を目にします。さて、眺めているだけで頭がパンクしそうで、これはどうしたものか…となります。
が、落ち着いて、具体的にはユーザーさんをメッシュ構造で捉えた上で、定量、定性両面から見ていきました。
整理する軸は、業種×規模×フェーズの3軸です。
まずは定量から。ユーザーさん数とマーケットを見ます。
自社には今どの業種のユーザーさんが多いのかに加え、どの業種のシェアを取れているのか=マーケットでどの業種に強いのかを把握します。業種ごとにマーケットでの母数に違いがあるため、自社ユーザーさん数だけ見ると認識を誤りやすいので注意します。
次に、3軸のメッシュをもとに、自社に来ている大量の機能改善要望を見ます。これも定量です。どんな要望が来ているのかと、誰から要望が来ているのかを見ます。
先ほどのメッシュをもとに、要望が来ている枠、来ていない枠を把握します。
要望が来ていない状態は、ニーズが満たされているか、届いていないだけのどちらかです。が、ニーズが完璧に満たされていることはほぼないので、要望を拾えていないと把握します。
例では、実は業種Eの要望、中規模や始めたばかりの人たちの声があまり拾えていないことがわかります。
要望の内容をざっと確認し、軸ごとに大まかな傾向を把握します。業種Eの人たちは非常に忙しいのではないか、始めたばかりの人たちは要望を出していいのかわからないのかもしれない、など仮説も立てます。
そしてここから定性です。自分から要望が来ていない層にアプローチし、どんな要望があるか、要望が来ない理由は何かを把握します。
ちなみにこれをせずに、届いた機能要望の数で判断してしまうと、無意識に声の大きい層向けのサービスを作ってしまいます。声の大きい層の課題解決をした先にできるプロダクトと、本来目指すべきプロダクトが一致しないことも多いので注意が必要です。
さらに定性で全体的に詳しく把握していきます。要望が来ている層も、数行の機能要望コメントを見るだけでは、いくら量があろうと真意や背景がわかりきらないのでヒアリングをします。
定性で把握していくとだんだんと上記の軸以外の分け方で分類できることもわかってきます。ECの場合であれば次のようなものです。
在庫は無限か有限か
在庫は大量か少量か
商品は製造か仕入れか
同一商品在庫はあるかないか
保管可能期間は長期か短期か
輸送は難しいか簡単か
こういった分類で整理していくと、似たようなニーズだと思っていた枠同士の共通点と相違点を見つけやすくなります。
機能の優先順位や対象範囲を考える際は、これらの軸をもとに検討します。インパクトや必要要件、リターン見積もりをするのに役立ちます。
実際には、業種を分ける自体のが難しい、マーケットの把握が難しい、メッシュの全枠かつ有意義な量のヒアリングをしようとすると時間がいくらあっても足りないなど、難しさは多々あります。
しかし、ただやみくもに見ていくより、漏れや重複少なく、ポイントを掴み、正しく意思決定をしやすくなります。
以上、ユーザー理解のためにしたことのお話でした。奇抜なことをせず、基本に真っ直ぐやっています、といったところですね。
もうちょっと詳しく聞いてみたいという方がいらっしゃれば、お気軽にTwitterのDMでお声がけください。
またheyではプロダクトマネージャーを大募集しているのでそちらもぜひ。
お読みいただきありがとうございました!メリークリスマス!!
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