確立操作
確立操作(Establishing Operation : EO)とは,人が好む(拒む)物や事象の効力を強めたり,弱めたりすることで,行動を増やしたり,減らしたりする操作のことです。
2つの例をあげて説明します。
前日に,学校の給食で大好きなハンバーグがでることがわかった男の子は,もっと美味しく食べるために,翌朝から何も食べずに登校しました。
この例では,もともと大好きであるハンバーグ(男の子が好む食べ物)を,もっと美味しく食べるために,朝食をぬいていました。みなさんもお腹が空いている時に,好きな食べ物(好きでなくても)を食べると,より美味しく感じたといった経験があると思います。
男の子は,朝食を食べないことで,大好きなハンバーグの美味しさを操作していました。朝食をぬくことで,とても美味しいと感じた場合,次から男の子は,自分が好きな食べ物(ハンバーグなど)が給食で出てくるとわかったら,「朝食をぬいて登校する」といった行動が増えるかもしれません。
この例では,食事を「遮断」しています。
応用行動分析学では,このような方法を「遮断化」と言います。
こういった方法を用いることで,療育や他のトレーニングの際に子どもの動機づけを高めます。
ハンバーグを美味しく食べることができた男の子は,自宅に帰るとお腹が空いていたので,食べ物を探してお腹いっぱい食べました。夕食の時間になると,母が「今日はあなたの誕生日なので,大好きなハンバーグを作ったわ。」と言い,男の子が大好きなハンバーグを出しました。しかし,男の子はお腹がいっぱいなので,大好きなハンバーグがいつもより美味しく感じませんでした。
誕生日にハンバーグがでることを知らなかった男の子は,満腹な状態であったのでハンバーグをいつもより美味しく食べることはできませんでした。
美味しく食べることができなかったのは,間食して満腹にした(操作した)ことが原因だと考えられます。おそらく男の子は,自分の誕生日にはお腹をすかせて夕食を食べようとするかもしれません(誕生日の日は,間食をするといった行動が減る)。
この例では,男の子のお腹は「満腹=飽和」な状態でした。
応用行動分析学では,このような方法を「飽和化」と言います。
減らしたい行動を操作する際に活用できます。
例えば,授業を聞かずに折り紙をしている子がいたとします。先生は授業に集中させるために,紙をとりあげました。すると,その子はまた新たに紙を取り出して折り紙をはじめました。何度もそれが続いたため,先生は,次の休み時間にその子の気の済むまで折り紙をさせました(確率操作:飽和化を試した)。その子はやっと折り紙が完成すると,折り紙に飽きてしまいました(飽和)。次の授業の時間,その子は折り紙をせずに先生の話を聞くことができていました。
この例で適切かわかりませんが(行動分析家の先生教えてください),こういった感じです。
次は,分化強化について解説したいと思います。
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