抜管する時は呼吸器に接続したまま抜いてください!
みなさん、抜管は加圧抜管と吸引抜管のどちらを選択していますか?
麻酔科医へのアンケートでは、加圧抜管が優勢で、吸引爆管は少数派。一部の方は加圧も吸引もせずに抜管するという結果でした。
麻酔科の手技というのは個別の麻酔科医が個々人で磨いていくというところがあり意外と共有されていない事実もありますが、こういった細かな抜管手技などはその一例ではないでしょうか?
加圧抜管では肺胞の虚脱を防ぎ、かつ咳を促す効果が望めます。しかし、吸引抜管の時のようなカフ上部の垂れ込みを処理しながらチューブを抜く事ができません。吸引抜管では逆に肺胞を虚脱させてしまうリスクがあり低酸素の患者では不利でしょう。
そこで両方のメリットを活かすために、呼吸器に接続したまま抜管するというのはいかがでしょうか?
ICUの患者は特に誤嚥リスクも高く垂れ込みはしっかり引きたいし、酸素化もギリギリで肺胞を虚脱させたくないという方がほとんどだと思いますので、個人的には必須手技だと思っています。
手順としては、
①まず前酸素化と同時にPEEP8とか10(患者にとって安全な値)にあげます。
②閉鎖式の吸引チューブを使っている病院がほとんどであると思いますので、これを気管チューブよりも数センチ先端が出るように進めます。
③閉鎖式チューブの吸引を開始した状態でカフを抜きます。
④通常の吸引抜管の手順でカフ上部の垂れ込みを吸いながら気管チューブを抜去します。
⑤この時、PEEPによって上昇した肺胞内圧とカフを抜くことで解放された大気との圧格差で気道内の分泌物が大量に口腔内に湧き上がるので最後に口腔内をしっかり吸引します。(閉鎖式吸引チューブでそのまま吸えれば良いが、粘稠度が高くかつ大量のため、念のためヤンカーサクションを準備しておくと安全)
人工呼吸器に繋いだままにしておくことで、吸引してもカフを抜いても、呼吸器がフローを補ってくれるので肺胞内圧が低下しません。これによって、加圧そして吸引抜管どちらのメリットも残したままの抜管が可能となります。
いろんな方の抜管を見てきましたが、このやり方をしている人は他にいません。
しかし理論的には非常に合理的であり臨床的にも気道内に分泌物を残すことなく引き切れるため非常に有益と感じております。
是非参考にしてください。