75歳で資産は使い切れ!墓場にお金は持って行けない。
老後2000万円問題などで不安になり、必死に老後資金を貯めている方は多いのではないでしょうか。しかし、そのお金はいつ、何に使いますか?
引退して、いざバカンスを満喫しようにも、その年齢で海外に行って生活したり遊ぶ程の行動力は残っていますか?南国のビーチでダイビングしようと思ったら65歳以上で断られたというのは良く聞く話です。
実は日本人は、死ぬ時に世界一多くのお金を残す国と言われています。これはつまり、今必死に働いたり、我慢して貯めてるお金を最終的に使わずにドブに捨てるのと同じ事ではないでしょうか?それだけではありません。どうせ使わないなら辛い思いしてそんなに働かなくても良かったということになりますから、時間も浪費してしまったことになりませんか?
「子供に相続できるからいいんだ!」という方もいるかもしれません。しかし、自分が80や90歳になった時、子供ももはや引退まじか。こんな時にお金をもらったところでなんの役に立つでしょうか?初めに書いたように、この年齢から積極的にお金を使うのは難しいものです。さらに孫に引き継ぐとしても、その度に相続税を徴収されて目減りしていくだけです。子供が本当にお金を必要とするのは、大抵は30や40歳前後。このくらいの時期に早めに資産援助などで使っておくのが理想です。
でも、今の時代は100年時代とも言われており、「長生きした時のために蓄えがないと!老後生活に困窮するなんて嫌だ!」という方がいるかもしれませんね。
そこで私が提案するのは75歳までに全ての資産を使い果たし(子供や孫に相続も完了)あとは年金で生活することです。
「いやいや、日本の年金なんてほとんどの人が自分が払った分も取り戻せない破綻した制度だよ!」という方もいるでしょう。ですが、本当にそうでしょうか?
年金制度は破綻していると叫び、政府の年金運用に悲観する方は多いですがそれは正しい情報でしょうか?SNSでフォロワー数を稼ぐために、みんなの心配を過剰に煽るような偽の情報に騙されてはいないでしょうか?
国は一貫して、年金は破綻することのない安心の制度と言っています。
これは国民を騙すために言っているのでしょうか?それとも本当に安心できる制度なのか。現状をどれだけ我々国民は理解できているのでしょうか?
正確な情報やデータを国は公表しておりますが、みなさんどれほどその情報を見ていますか?実はこのような情報は言ってみれば「つまらない」のでSNSにはあまり出てきません。
実際にいくつか見ていきましょう。
①まず、年金は徐々に減少して、もらえる額が少なくなっている。という良く聞く話ですが、実は物価の上昇にあわしてむしろ年金は増額されています。今年は2.7%増額されましたね。今の高齢者は昔の想定よりも多くもらえているということです。
②生産年齢人口が減少しているため、高齢者を支える人口の減少から、おみこし型→騎馬戦型→肩車型というふうにどんどん若者の負担が増えていく。これも良く聞く話ですが、嘘です。下の図のように、確かに65歳以上の人口に対しての65歳未満人口の負担で計算するとそうなりますが(図2)、昔と今では状況が大きく異なります。昔は60歳で早々に引退していましたし、女性もほとんどが専業主婦という時代でした。今では、女性の社会進出や高齢者の再雇用などで、支えられる側(働かずに年金を受け取る)の人口の減少と、これに対して支える側(働いて年金を納める)の人口増加が著名ですから、実は1970年代と比べてもむしろ一人当たりの負担は軽くなっているのが現状です(図3)。2040年でも1990年代と同様なのです。
AIをうまく活用しながら、高齢者や女性にいかに社会で活躍してもらうかというのが大きなテーマということがかわかっていただけるのではないでしょうか?
③年金財政は破綻間近であるという噂ですが、これもあり得ません。みなさんご存知のように、NISAやiDeCoのような投資による資産運用を国が推進しておりますが、私たちにだけやらせて国自身が何もしていないと思いますか?実は国も年金の余剰資金を投資運用して資産形成に取り組んでいます。当然プロ中のプロ。特に、「国のお金」なので安全な運用で4%前後の堅実な運用ではありますが、額が大きいので恐ろしい利益が出ています(下図)。現在運用資産は248兆2274億円で国家予算の倍を遥かに超えているわけです。複利に詳しい方ならお分かりと思いますが、収益は二次関数的に伸びていくわけですから、今後の推移がどうなるかここに記載しなくても恐ろしい額になることが予想できると思います。
以上のように今の所、日本の年金に対して悲観する要素は少ないのが現状です。もちろん未来には何が起こるかわかりませんが、みなさんの資産運用で失敗する可能性よりは国の資産運用が失敗する可能性の方が極端に低いことはご理解できるかと思います。
それでは具体的に、どのようにこの年金制度を利用するか?つまり題名に書いた75歳で資産を使い果たすとはどういうことかについて記載していきます。
簡単にいうと、75歳まで年金をもらわず、自分が蓄えたお金で生活します。明確に75歳という目処があるので計画を立てやすいはずです。『残り何年であと何万円あるから一年当たりこれくらい使えるな。では、旅行に行けるぞ!とか、孫にお小遣いを奮発だ!』と出来るわけです。人生があとどれくらいあるか分からず、どれくらいのお金を残せば良いか分からないからみんな不安になるのです。
いざ75歳になったら、それまで貰わなかった年金の受給を遅らせて開始します。つまり繰り下げ受給制度を利用するということです。これを利用すると、繰り下げた月×0.7%増額した年金がもらえるので、75歳までの10年間この制度を活用したとすると84%増額された年金が貰えます。
これを平均的な世帯の年金の受給額(下図)で計算すると
28.3万円×1.84=52万円となります。75歳の夫婦が毎月52万円もらってどうして生活に困ることがありますか?そしてこれは仮に120歳まで生きようと140歳まで生きようと永遠に払い続けられます。健康寿命が伸びて120や140歳まで生きることを想定したら、そのお金を自分で賄おうとすればいくらお金を蓄えても安心できませんよね?でも増額された年金があればこの不安は払拭されます。この額なら、豪遊しなければ、いいものを食べて、旅行に行ったりする事も全く問題無いでしょう。これによって、75歳の時点で資産が0になっても全く問題無いという事が言えるのです。
「75歳まで繰り下げ受給して早死にしてしまったら、せっかく払った分の年金をもらって元を取れないから損ではないか!?」という方がいらっしゃいます。しかし、あなたは死んだ後に後悔できますか?仮に損していても死んでるんだから何も心配はありません。黙って成仏してください。
そもそも、年金というのは自分が払った分を受け取るような積立貯金や資産運用とは違います。完全に保険です。具体的には、「長生きしてしまった時のための保険」です。120歳まで生きてしまった時に、子供や孫に迷惑かけずに生活費を賄うための制度なのです。まずはそこから考え方を変えないといけません。払った分をもらわなきゃ損という考え方をすると、早めにもらい始めないと損すると思って、逆に繰り上げ受給してしまい、受け取る年金が少なくなって100歳や120歳になってお金が足りなくなるから、それこそ後悔することになるのです。
おわかりいただけたでしょうか?75歳で資産を使い果たすという理論について。
あらかじめ何歳までに資産を使いきればいいという目処が立つと、計画が立てられるので有意義なお金の使い方ができます。後に残すことを考えなくても良いのだから非常に簡単になります。
まとめると
1、死ぬ時に多額の資産を残すのは勿体ないだけでなく、その使わないお金を稼ぐために本来なら働く必要のないかった今の大切な時間を無駄にしんどい労働に使っていることにもなるということ
2、人間は75歳以上ではお金の使い道は限られるため、184%に増額された年金のみで十分生活できるということ(活動的なうちに資産を使用し、子孫への財産援助で成功に導いてあげよう!)