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【デッカイギ2025】スペシャルセッションの作り方〜歴代・現デジタル大臣登壇90分の裏側ストーリー〜

デッカイギについてネット上のXやnoteでコメントが多かった、歴代・現デジタル大臣4名が登壇した「Special Session : トータルデザインはどこに行った?新しい未来はどんな世界?  〜ゆかいな仲間たちの語らいから探る〜」。

参加者みなさんも、登壇したみなさんも、私たち実行委員たちも、スペシャルセッションとして“創りたい”と思っていた内容に近づけた90分だったのでは、、、と思っています。

あの90分は、実行委員のみんなが色々な議論と活動していた結晶、というか、凝縮された濃厚ジュースの一滴です。そこで、スペシャルセッション・オーナーをさせていただいた北野より、ぜひ、裏側をご紹介してみたいと思います。

(初日朝イチの声かけの様子。初日に初めて、実行委員全員がリアルに集うのです)

セッション・オーナーのお仕事

ご存知の通り、デッカイギはこれまで3回開催されました。どの回も、デッカイギ実行委員自身がワクワクすることをやろう!という想いを大切に作ってきました。

毎年、デッカイギは2日間。その両日ともに、午前中はデッカイギ参加者全員が一緒に集うメインセッションがあります。これは、実行委員全員でテーマを決めています。

セッション・オーナーのセッションの作り方はそれぞれですが、通常、北野がセッション・オーナーの時は、ざっくりと次のような工程を進めていきます。

  1. テーマ確定(タイトルと趣旨)

  2. 登壇者キャスティング

  3. セッションシナリオ設計

  4. ファシリテーター候補と登壇候補者への登壇ご依頼書作成、送付

  5. 候補者への趣旨ご説明、登壇者確定

  6. 登壇者全員の顔合わせ

  7. 90分のタイムライン設計

  8. 投影資料作成

  9. 登壇者の当日会場までの旅程確認

  10. 当日朝の集合時間場所の段取り、当日事前のすり合わせ

  11. 開催(ファシリだったり、裏方進捗だったり)

  12. 会議後のフォローアップ

ただし、デッカイギ参加者全員が集う、メインの「スペシャルセッション」。このセッションオーナーとしては、実行委員みんなの想いの代弁者、に徹して企画を進めます。

めんどうくさいデッカイギ実行委員たちですから、スペシャルセッション・オーナーの裏側とは、「魔球、変化球、豪速球や、時々ファウルボールが四方八方から飛んでくるので、手が痺れてもガッチリキャッチしたり、デッドボールにならないようにスレスレで避けたり、三遊間を抜けないようにダイビングキャッチしたりする」というイメージです。

今年のテーマを決める。

さて。実行委員会Slackの過去ログを見たところ、まず、2024年9月19日に「メインセッション企画提出依頼」というタイトルで、こんな投稿文で、実行委員全員にアンケートを出していました。(当時は用語の揺らぎが生じていて、「メインセッション」と呼んだり、「キーノートセッション」と呼んだりしていました。これも混乱の要因となりますが、それは後ほど…)

たくさんのメインセッション案が集まり、全実行委員の投票を経て、2つのテーマが決まりました。
それが、
・タイトル1:DXは住民、職員、事業者をどう幸せにするのか。
・タイトル2:トータルデザインはどこに行った? 
でした。

変化球をスライディングキャッチする。

まず発生したのが、「今年の参加者は、民間事業者職員も含めた一般公募にしたい!」とワイルド杉井さんが発起した、方針変更です。なぜこれがセッション企画に影響するのか、というと、これをやるならば協賛企業への特典を再設計しよう、ということになったためです。そして、デッカイギ2025の2日目のメインセッションを、プラチナスポンサーの「スポンサードセッション」とすることになりました。

これはデッカイギ全体の企画に影響が出る激しいピボットでした。で、セッションオーナーの北野はこれをニコニコ見守りながら、「…ってことは、プラチナスポンサー企業の意向も考えたキャスティングとセッションのタイムラインとなるかな。タイトル1とタイトル2、どちらがスポンサードセッションのテーマとしてベターかな」と考えて、スポンサードセッションに「DXは住民、職員、事業者をどう幸せにするのか」を選びました。反対に、初日のセッションのテーマ案は「トータルデザインはどこに行った?」となりました。

ファウルボールを捕球する。

上記の2つのセッションの違いを実行委員みんなに説明するときに判明したのが、実行委員の中で用語が統一されてなかったことによる誤解とボタンのかけ違い。

「メインセッション」「キーノートセッション」「スポンサードセッション」などをそれぞれが思い思いに使いながら対話をしていて、実行委員の中で大混乱が発生。「ふたつを分けて、初日はスペシャルセッションって呼べばいいんじゃね?で、2日目がスポンサードのキーノートセッションだろ?」と、江口副実行委委員長から名言が。

セッションオーナーの北野はこれに乗っかり、「初日がスペシャルセッション! 2日目がキーノートセッション!」という整理を定例会で宣言し、初日スペシャルセッションは、当初の応募概要通り実現可能性度外視であってもよい制約無しの企画ができることになりました。

結果、初日のセッション仮タイトルが「スペシャルセッション:トータルデザインはどこに行った?」と変更になりました。

魔球の投げ合いをかいくぐる。

次に飛んできたのがまさに「魔球」。

第1次石破内閣発足(2024年10月1日)と同時に、デジタル大臣が河野太郎さんから平将明さんに変わりました。この直前ごろに、実行委員のMessengerで「歴代・現デジタル大臣をデッカイギに呼びたくない?」というやりとりが発生。

うわ、面白そう!!というポジティブな声ばかりでなく、どこまで対応できるか?という心配の声もありました。

実は、初回デッカイギin横須賀のときに当時の河野太郎デジタル大臣に登壇いただいた際、警備の対応が大変だった(当時は会場内にSPが入り、会場内は絶対に立ち上がらないこと、会場のドアは開閉禁止となりいかなる場合も出入りできないこと、等)という経験があったためです。

会場設備との調整も発生するので、不動明王(と北野が勝手に思っている)遠藤さんが担当している、運営部会の稼働増加も心配でした。

めんどうくさい実行委員たちが、段取りの進め方、歴代・現デジタル大臣にお声がけすることの意義、自分たちがデッカイギで今回やりたいことの想いを、Messenger上でガチンコ協議。夜12時を過ぎても止まることなく、早朝6時前に、仙人の実行委員長;庄司先生から中和コメントが届き、「まずはお声がけをしてみよう」と落ち着いたのでした。

セッションオーナーの北野はこれをニコニコ眺めながら「歴代3名と現大臣になるかも、か。となると“トータルデザインはどこに行った?”ってタイトルは維持しつつ、もっと未来志向な言葉を加えたいな、当日はフラットな雰囲気にしたい、みんなまとめて“仲間たち”って言いたいなあ」と思いました。

結果、初日のセッションタイトルが「スペシャルセッション:トータルデザインはどこに行った?新しい未来はどんな世界? 〜ゆかいな仲間たちの語らいから探る〜」となったのでした。

その後、歴代デジタル大臣3名と現デジタル大臣だった場合の、90分タイムライン案を、副実行委員長江口さん、ファシリテーターにもなる実行委員長庄司先生と考え、当日のSlidoの使い方サポートに千葉さんとムラえもんをお願いし、歴代大臣3名と現大臣の登壇調整窓口を江口さんと福島さんが担当し、投影資料も準備し、めでたくあの当日を迎えたのでした…!

…とすんなりいかないのが、デッカイギ実行委員たち。

最後の剛速球を受け止める。

デッカイギ開催前夜に、歴代デジタル大臣3名と現デジタル大臣を、セッション中にどう呼ぶか、投影する資料への敬称をどう書くか、で再び議論が勃発。デッカイギの意図は、みんながステークホルダーということ。参加者を仲間として、これまでとこれからの行政デジタルを語り合う90分にしたい。これは目的や背景をしっかり受け止めないといけない直球でした。しっかり整理して、結論が落ち着いたのが、前日の夜 23時34分でした。

(本文とは関係ありません:実行委員たちの中で盛り上がっていたタモリさんの名言)

裏側からのお礼

歴代デジタル大臣と現デジタル大臣の登壇は、当日、登壇者入場のドアを開ける瞬間まで、誰にも言わないこと、プログラムでもどこにも記載しないこと。

これは、登壇者情報がネット情報に載ることで現地の混乱が生じる可能性を危惧したためでした。が、結果的に、サプライズ演出のようになりました。会場のドアが開いて、平井卓也さん、牧島かれんさん、河野太郎さん、平将明デジタル大臣の顔が見えた時の、会場参加者皆さんからの驚きの声は、実行委員全員が、素直に嬉しかった声だったと思います。

歴代デジタル大臣3名と現デジタル大臣も、国の職員も自治体職員も、民間事業者も、メディア関係者もみな、行政デジタル改革という難題に立ち向かう仲間だという目線で、お互いにエールを送り合う時間にしたい。そういう場作りをしたくて、実行委員のみんなと、デッカイギを創ってきました。

スペシャルセッション・オーナーとして、参加者の皆さんに、あの90分で「新しい気づきと元気の源」をもらえたというような意見をSNS上で書いてもらえたこと、そして何よりも、実行委員みんなの想いの代弁者としての役目が果たせていたら、本当に嬉しく思います。