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カンファレンス企画のDX!デッカイギのセッション管理の裏側

行政デジタル改革共創会議(通称:デッカイギ)実行委員で企画部会部会長の関です。

2025年1月10日〜11日に開催する次回デッカイギの準備が着々と進んでいます。今回、42件もの魅力的なセッション応募から、12件の素晴らしいプログラムを選出するまでの過程で、私たちは Sessionize というツールを活用して運営を効率化しました(村越さんの記事「デッカイギのセッション企画の審査ってこんな感じだったってさ」もご参照ください)。他のカンファレンスでも使えるノウハウだと思いますので、その舞台裏をちょっとだけお見せします。

デッカイギが大切にしていること

デッカイギは、行政DXを推進するため多様なステークホルダーを招いて知見を共有し、対話を通じて新しい可能性を見出すカンファレンスです。単なる一方向の講演会ではなく、参加者同士が活発に意見を交わし、新しいアイデアや協働のきっかけが生まれる場を目指しています。そのため、セッション自体も一般から公募し、参加型のカンファレンス設計を行っています。

また、コミュニティ主導のカンファレンスとして、運営の透明性も大切にしています。今回この記事で、セッション選定のプロセスを公開させていただくのも、その一環でもあります。

セッション運営の課題と解決策

一般に、セッションを一般公募するカンファレンス運営では、セッションの募集から選定、プログラム編成、ウェブサイトへの掲載まで、多くの作業が発生します。たとえば、セッション応募をGoogleフォームで受け付け、集まった企画提案に対して何らかの方法で選定を行い、応募者とメールでやり取りを行うでしょう。また、スケジュール調整やプログラム編成をスプレッドシートで管理し、ウェブサイトへ随時反映させる必要もあるでしょう。非常に煩雑な作業です。

このような運営フローには、いくつかの大きな課題がありました。まず、情報が複数のツールに分散して、管理が非常に面倒になっていました。また、手作業による転記作業が多いため、ミスが発生するリスクも常に存在していました。さらに、メールでのやり取りが膨大になり、重要な情報の見落としの懸念もあります。加えて、評価プロセスの透明性を確保することも難しい状況でした。

これらの課題を解決するため、前回のデッカイギから、私たちは Sessionize というカンファレンス運営に特化したツールを導入しています。

Sessionizeの活用事例

Sessionizeの導入により、セッション管理のワークフローが大きく改善されました。応募フォームからデータベース登録までが自動化され、複数のレビュアーが同時に選定のための評価作業を進められるようになりました。評価基準を明確に設定できるため、より公平な選定のための審査が実現できています。

タイムテーブルの作成も、直感的なドラッグ&ドロップ操作で簡単になりました。登壇者の都合も一元管理できるので、スケジュール調整の手間が大幅に削減されています。変更が生じた場合も、タイムテーブルが自動で更新されるため、柔軟な対応が可能です。

また、登壇者とのコミュニケーションもより円滑になりました。採択通知の一括送信や、スケジュールの調整、必要書類の管理など、これまで個別のメールでやり取りしていた作業が、Sessionizeで一元化され、運営側の負担が大きく軽減されています。

42から12を選ぶ舞台裏

セッションの評価にあたっては、以下の5つの審査軸でポイントを割り振ることとしています。(公募ページにも記載していました。)

  • デッカイギの主旨と今回のテーマ「~お疲れさまです2025迎春~」に沿っているか

  • 登壇者予定者は当該企画のテーマに適しているか

  • 「ともにつくり、ともにかんがえる」という共創の理念との親和性は高いか(複数のステークホルダーが関与するか

  • 参加者もセッション当日なんらかの形で関与できる工夫がなされているか

  • 実行委員会メンバー(自分自身)がこのセッションを聞きたいと思うか

Sessionize には、複数のレビュアーがフォームを通じて各セッションの評価を行える機能があります。この機能を使って、運営委員の皆が評価を行いました。その合計点をベースに、企画部会で話し合いながら最終的に採択されたセッションを選出しました。

(セッション評価ページ。Sessionize のサイトより。引用元:https://sessionize.com/playbook/stars-rating-evaluation-mode-guide )

複数のレビュアーによる評価を行うことで、異なる視点からの多角的な評価が可能となり、評価の偏りを防ぐことができました。また、応募いただいた方への当落の通知もSessionizeから一括で送信しました。

トラック設計とサイト反映

デッカイギのプログラム編成は、4トラックが同時に走る形式になっています。まずトラックの設計を行い、選定されたセッションをトラックの枠に当てはめていきます。登壇者が被らないようにしないといけないですし、会場のサイズとセッションのバランスなども考慮する必要があります。

Sessionizeを使うと、ドラッグ&ドロップしていくことでセッションスケジュールを作成できます。

(Schedule Builderの画面)

プログラム情報は、APIを通じて HTML形式やPlain Text、JSON形式で出力することができます。デッカイギのプログラムページは、この機能を使って作成しています。プログラムページや登壇者情報はセッションオーナーや登壇者自身で編集することができ、それも自動的にHPに反映されるので、プログラム構成や登壇者情報が変わるたびに作業をする必要が無くなりました。

デフォルトで出力されるHTMLは機能的に不十分だったので、JSON形式のデータを元にHTMLを出力するプログラムを作成しました。github でプログラムを公開していますので、もし Sessionize を利用される場合、ご活用いただけるかもしれません。

みなさまへのメッセージ

今回採用された12のセッションは、行政DXの最前線で活躍する方々の経験談から、地域での実践事例まで、幅広いテーマをカバーしています。各セッションでは、参加者との対話を重視した内容となっていますので、ぜひ積極的に質問や意見交換をしていただければと思います。

また、採用に至らなかったセッションの中にも、非常に興味深い提案が多くありました。今回は残念ながら採用できませんでしたが、今後も引き続き、デッカイギやその他のイベントでの応募をお待ちしています。

カンファレンス当日は、運営スタッフ一同、みなさまにお会いできることを楽しみにしています。セッションでの学びはもちろん、休憩時間での交流も含めて、充実した時間を過ごしていただければ幸いです。